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元阪神のパナソニック・梶原康司監督、阪口哲也選手ともに都市対抗初勝利!

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
パナソニックの梶原監督(左)と、声を限りにチームを鼓舞する阪口選手(右)。

社会人野球のビッグイベントである『第88回都市対抗野球大会』が今、東京ドームで行われています。14日は開会式に続いて、昨年の優勝チームである豊田市・トヨタ自動車と福岡市・九州三菱自動車と対戦。これがソロ1本ずつの1対1のまま延長戦に突入し、タイブレークとなった12回に満塁ホームランが出て、トヨタ自動車のサヨナラ勝ち!すごい幕開けでしたね。

元阪神タイガースの選手たちが所属するチームは、パナソニック(梶原康司監督、阪口哲也選手)、新日鐵住金鹿島(玉置隆投手)、三菱重工神戸・高砂(若竹竜士投手)、セガサミー(前田忠節コーチ)が出場しています。また日本新薬には榎田投手の弟・榎田宏樹投手がいて、三菱日立パワーシステムズ<三菱重工長崎を統合>には江越選手の弟・江越海地選手もいるので、気になるところ。

その三菱日立パワーシステムズは、きょう17日の第1試合で日本生命と対戦し、5対4で勝ちました。リリーフした奥村政稔投手がピンチをしのぎ、もと巨人の加治前竜一選手が8回に代打で勝ち越しタイムリー、その代走に江越海地選手と、元長崎勢がしっかり勝利に貢献!なお9回にレフトの江越選手が構えた上を抜かれる三塁打を浴び、そこから1点差に迫られたものの奥村投手が守り切っています。

東京ドームの入口に置かれた都市対抗野球の組み合わせ。
東京ドームの入口に置かれた都市対抗野球の組み合わせ。

また先ほど終了した第3試合では、三菱重工神戸・高砂とNTT東日本が対戦。三菱重工神戸・高砂の絶対エースである守安投手が中盤に味方エラーで逆転を許し、そこから追加点を奪われて降板してしまいました。9回に3点を返したけど及ばず、7対5で敗れています。終盤、ベンチで見つめる若竹投手の姿がテレビに映っていたんですが、出番はありませんでしたね。

私は13日夜に静岡でフレッシュオールスターゲームがあったので、そのまま東京へ行き15日のパナソニック戦は見てきました。ただ、そのあと19日の新日鐵住金鹿島までが長く…ことしは1回戦がうまく並んでくれなかったんですよね。なので、1回戦を突破して次がまだあるパナソニックですけど、ひとまず“嬉しい初勝利”をご紹介しておきます。

梶原監督も阪口選手も初、都市対抗の1勝

おなじみパナソニックのマスコット・エボルタくんと一緒に河内音頭で応援!
おなじみパナソニックのマスコット・エボルタくんと一緒に河内音頭で応援!

就任2年目の梶原康司監督は、阪神タイガースを退団後すぐパナソニックに入社。その2005年からずっと4番を打ち続け、都市対抗野球の本大会には10年連続(2度の補強を含む)で出場しました。現役を退いて1年後の2016年から監督となり、今回で2年連続の東京ドームです。近畿の第4代表として2年ぶりに出場した昨年は、1回戦で初出場の山形市・きらやか銀行に延長戦の末、惜しくも負けてしまいました。

そして、同じく阪神からパナソニックに入った阪口哲也選手は、1年目の2015年がまさかの予選敗退で、昨年は自身の出番なく1回戦で終わってしまった初めての都市対抗に、悔しいやら悲しいやらで涙しました。今回もまた試合には出なかったけど、試合後の表情がまったく違います。「初勝利!」とニコニコ。梶原監督も、監督としては都市対抗初勝利ですね。

昨年の様子は、こちらでご覧ください。哲ちゃんの泣き顔も… →<1回戦敗退にリベンジを誓う、元阪神タイガースの選手たち>

1点差を守り切ったパナソニック

完投したルーキーの吉川投手。
完投したルーキーの吉川投手。
円陣からも阪口選手(中央)の大きな声が聞こえました。
円陣からも阪口選手(中央)の大きな声が聞こえました。

7月15日 第1試合

パナソニック-三菱自動車岡崎

 (門真市)    (岡崎市)

パナ 200 010 000 = 3

岡崎 001 000 100 = 2

<試合経過> ※継承略

先取点を挙げたのはパナソニックです。1回に先頭の田中が四球を選び、犠打などで2死二塁として4番・柳田がレフトへ2ラン!2回も1死後に8番・三上の三塁打と連続四球で満塁となりましたが、ここは後続を断たれて追加点なし。3回と4回は三者凡退です。

先制2ランの4番・柳田選手。5回もタイムリーです!
先制2ランの4番・柳田選手。5回もタイムリーです!
戻ってきた柳田選手(左)にグラブと水を渡す阪口選手。
戻ってきた柳田選手(左)にグラブと水を渡す阪口選手。

一方、パナソニック先発の吉川は3者連続三振で立ち上がると、2回も1死球を挟んで3奪三振。3回は連続三振のあとに1番・豊住のソロホームランで1点返され、次いで左前打を浴びながらも三振を奪い、3回までの9アウトがすべて三振でした。

パナソニック打線は5回、1死から連続四球を選び、またまた4番の柳田が中前タイムリー!ここで投手が交代して1点止まりだったものの、ようやく追加点を入れ3対1となります。

吉川は4回に2安打、5回は四球で走者を出すも難なく抑えて、6回は三者凡退。ところが7回、先頭sの6番・中村に右中間への三塁打を浴びて、1死後に8番・清水の遊ゴロ(諸永が横っ飛びで抑えるもこぼれ、セカンド法兼が一塁へ送球しアウト)で1点差に!

6回からは三菱自動車岡崎の3人目・戸田の前に4イニング連続三者凡退を喫したパナソニック打線。しかし吉川は3対2と迫られた後の8回、9回をキッチリと三者凡退に仕留めて試合終了です。

4番が打って、先発が完投!

すぐ横でインタビュー中の監督に褒められ、照れながらキャッチボールする吉川投手。
すぐ横でインタビュー中の監督に褒められ、照れながらキャッチボールする吉川投手。

完投勝利を挙げた吉川峻平投手(22)は、関西大から入ったルーキーです。この日は9回を投げて5安打2四死球、奪った三振が14個という投球内容でした。でも聞くと「最多は15三振」だそうですよ。1回から3回までで9三振、気合入っていましたね?「はい。後ろに先輩方がいるので、僕は前半から飛ばしていこうと思って」。最後までいけるとは「考えていなかった。いかせてもらいました」と最後は少し笑顔。勝ち進めば、また投げるでしょう。注目です。

頼りになる4番・柳田選手。予選のうっぷんを晴らしましたね!
頼りになる4番・柳田選手。予選のうっぷんを晴らしましたね!

そして見事な4番の仕事っぷりだった柳田一喜内野手(30)にも、以前から話をさせていただいている厚かましさで聞いてきました。1回の先制2ランは素晴らしかったですね。「いえいえ、あれは交通事故です(笑)」。またそんなご謙遜を。そのあと5回にも中前タイムリーを放っていて、これが最後まで大きな支えとなった気がします。吉川投手にも、チームにも。「前の打席(3回は一邪飛)がよくなかったので、何とかしようと。あそこは狙っていきました」。さすがです!今後も頼りにしています。

会う人ごとに苦笑を返す藤井選手。
会う人ごとに苦笑を返す藤井選手。

また阪口選手と同い年で仲のいい藤井健(つよし)外野手が出てきて、目が合うと苦笑い。9回に代打で出場したものの空振り三振で、最後はフォークボールかな?と聞いたら「フォークです。真っすぐしか考えていなかった…」。なるほど、思いっきりスイングしていたもんねえ。でも次があるので。「はいっ!頑張ります」。阪口家の皆さんとも、次で取り返すことを約束して引き揚げました。

勝利監督インタビューに答える梶原監督。
勝利監督インタビューに答える梶原監督。

なお梶原康司監督(39)も通用口に姿があったんですけど、いつ見ても取材か関係者の方々と会談中で…さすがに話しかけるのは申し訳ない気がしたので諦めました。また機会があれば聞いてみたいですね。きっといつものように「哲くんはねえ、出なかったですねえ」と笑って終わりだと思いますけど。チャンスがあるように次もぜひ勝ってください。それと、“哲くん”をよろしくお願いします!

「次は試合に出て勝ちたい」

昨年は終了の瞬間に、思わず涙が出てしまった阪口哲也選手(24)。初めての都市対抗、初めての東京ドームなのに、出番がないまま終わるなんて悔しかったんでしょう。ことしも出ていませんが、終わりじゃないですからね。この日の選手交代も9回に7番DHの伊藤選手に代打・藤井健選手が出ただけでした。

それに阪口選手の“働きっぷり”は素晴らしかった!声の大きさも、攻守交代時の動きも。最後に整列して戻る時はカメラに気づき、ヒーローばりのガッツポーズとVサインで笑顔を披露してくれています。

試合後、私が通用口のところへ行ったら、阪口選手は既に家族の皆さんと対面中でした。早いね~と言ったら「誰よりも早く出てきましたよ(笑)」と。昨年は負けてしまったし、初めてのことで通用口で家族と会う勝手もわからなかったけど、もう慣れたものです。それにしても勝ってよかったねえ。「はい、よかったです!」。われらが哲ちゃんも頑張ってもらわないと。「次は僕も出ます。出て勝ちますよ!」。楽しみにしています。

試合終了後の哲ちゃんスマイル!左が本当のヒーロー・柳田選手です(笑)
試合終了後の哲ちゃんスマイル!左が本当のヒーロー・柳田選手です(笑)

2回戦は21日、東京ガスとの顔合わせです。ちなみにパナソニックが勝ち、玉置投手のいる新日鐵住金鹿島が19日の1回戦で西濃運輸に勝てば、23日はこの2チームがベスト4をかけて戦うことになりますね。高校の先輩、後輩対決が準々決勝で見られたら最高だけど、どちらかは負けるわけで。ま、それよりまず目の前の試合に勝つのが大切です。頑張りましょう!

     <掲載写真はすべて筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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