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阪神タイガース 春季キャンプのメンバー発表・後編

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
ドラフト1位の高山俊選手。全体練習のあと外野でキャッチボールをして締めくくり。

鳴尾浜の阪神タイガース選手寮・虎風荘で22日、1軍とファームの監督、コーチが出席して『合同コーチ会議』が行われました。その席で練習メニューや参加メンバーの最終確認がなされ、2016年の春季キャンプの詳細を決定しています。日程、練習試合、参加メンバー、そして金本監督と掛布監督、矢野バッテリーコーチなどのコメントは、こちらでご覧ください。

<阪神タイガース 春季キャンプのメンバー発表・前編>

きょうは後編として、ルーキーではただひとり1軍キャンプに参加するドラフト2位・坂本選手と、手術をした右手を考慮し安芸スタートとなったドラフト1位・高山選手、3年目で初の沖縄切符を手にした岩崎投手横田選手、そして今年は“完走”を誓う同じく3年目の陽川選手の話をご紹介します。

「元気と声と存在感を出して!」

坂本誠志郎選手は、まず1軍キャンプに決まって「そこを目指してやってきたつもりでした。でも、ここからが大事だと思うので、もう一度気持ちを引き締めてやっていきたい」とコメント。新人では1人だけですが「それは特に。自分をアピールしないといけないので」と言います。アピールについては「その場面で自分ができることをしたい。若いし、何もわからない中ですけど元気出して、声出して、存在感出してやります!」と3つ重ねました。

取材を受ける坂本選手。同期は1人ですが同い年のピッチャーが沖縄にいますね。
取材を受ける坂本選手。同期は1人ですが同い年のピッチャーが沖縄にいますね。

矢野1軍バッテリーコーチも声は大事だと話しています。年上の人が多いけど大丈夫?「プレーになれば上下関係なく、自分が思っていることは伝えないといけないし、下からも言ってもらった方がわかるので、声をかけることは大事にしていきたいです。やっぱり元気を出していくのは求められる部分だし、自分でも応えていくことが必要だと思う」

ここまでの合同自主トレを振り返って「トレーニングも走るのもしっかりできている。体作り、体のコンディションはまったく問題ない」そうです。キャンプは楽しみ、不安のどちらが多いかと聞かれた坂本選手は「楽しみが多いですね。不安は特に感じない。選んでいただいたからにはやらなきゃいけないと思うのでアピールしたい」と意欲満々です。

受けるのを楽しみにしているピッチャーはいますか?「どのピッチャーも見てみたいです。コミュニケーションを取らないと。誰というのはありません。これまでにない経験ができると思う。聞いてみたいこともたくさん出てくるだろうし、それも楽しみ。自分の中で新しい発見を楽しみにしたいですね」。ぜひ収穫の多い1か月にしてください。

「まず自分を万全にしてキャンプへ」

坂本選手とは大学も一緒で、よく「誠志郎」と呼んでいるのを聞きますが、初めてのキャンプは別々になったドラフト1位・高山俊選手。でも安芸スタートについて「僕のことを考えてくださって、本当にありがたいというか、頑張っていこうと思います」と感謝の思いを口にしました。両監督からは何か?「いや、きょうキャンプのことは特になかったです。掛布監督とはさっき千葉の話を(笑)」。そうそう、掛布監督が「高山は千葉なんだよ。習志野の隣で」と楽しそうに言っていたんですよね。

ドラフト6位の板山選手とキャッチボールをする高山選手。
ドラフト6位の板山選手とキャッチボールをする高山選手。

昨年10月に右手有鉤骨を手術しており、ちょうど22日に初めて打撃投手の“投球”を打ったところ。それまではティー打撃のみで「3ヶ月ぶりに、前から来るボールを打ちました」と、高山選手自身も声が弾んでいます。「打った数はわからないけど、2分×3セットです。無理しない程度に」。力加減はどれくらい?「ティーバッティングは100%でしたが、これは100というより形を考えて、目と体をならすという感じで」

打ってみて「久しぶりだなあという感覚です。全部が全部、納得した打球というのは無理だけど、懐かしいなという感じ」で、ケガをする前の手応えは「まだですね。完全に復帰してから。今はケガを治して、みんなと同じことをやるという段階では、いい感じできている」と言います。どういうところをチェックして打ったかと質問され「細かい部分をチャックするほどにはまだいかず、ボールに慣れたりタイミングをみたり大きくとらえながら」と答えました。

今後は「打つ量を増やすか、このままで強く打つか、トレーナーさんと相談して」になるようです。キャンプに向け「初めてだし、流れもわからないので僕としては一日も早く100%を目指していくという気持ち。もちろん以前から言っている通り、アピールはしていきたいですね」と高山選手。最後に、キャンプ地へ持っていく物を聞かれて「物は…。それよりまず自分を万全にしていけるようにしたいです」と。クールな返しでしょう?

「今季はローテの3番手か4番手を狙う」

1年目に5勝、昨年は3勝を1軍で挙げている岩崎優投手ですが、沖縄キャンプ参加は3年目で初。選ばれた感想は「今のところすごくいい状態なので、キャンプでしっかりアピールできるように頑張ります」というもの。昨年は左肩の状態が良くなかったこともあり安芸キャンプスタート。1軍で15試合に先発したものの、前半はなかなか乗り切れませんでした。それも踏まえてなのか、ことしはハイペースで仕上げています。

この日、岩崎投手の写真が撮れていませんでした!ごめんなさい…。昨年のものです。
この日、岩崎投手の写真が撮れていませんでした!ごめんなさい…。昨年のものです。

聞けば、投げない日がほとんどなかったとか。「はい。オフもずっと投げていますよ。年末年始も休みなく」。それは、あえて意識して?「そうですね。どんどんアピールしていかなきゃいけないので」。キャンプ最初の試合からいける?「そう思ってやっています」。2月6日のシートバッティングも?「投げられる状態にはあると思います」。囲み取材でのコメントと、あとで個別に聞いたものを合わせて書いていますが、考え込むことは一切なく、ほぼ即答でした。

さらに、先発の枠を奪いに行くかと聞かれ「去年は5番手に入れるようにと頑張ったけど、それでダメだったので、その上の3番手や4番手を狙っていかないと。それくらいの気持ちでいきたい」と答えています。沖縄で主力投手と一緒に過ごすキャンプは刺激になる?「どうですかね。高知でスローペースだったので、どうなるかわからないけど。そういう“上を目指す”強い気持ちは前よりあります」

なるほど。その強い気持ちが表れているんでしょう、きっと。いつもの岩崎投手と変わらない淡々とした言葉なんですけど、その端々から静かな闘志が伝わってきました。ことしは鳴尾浜で会う機会が少なくなるかもしれませんね。いいことです。

「沖縄では全員を見て盗みたい」

横田慎太郎選手も沖縄キャンプは初参加です。前編でも書きましたが、昨秋のキャンプは掛布監督にいる鳴尾浜で、今春は金本監督のいる沖縄。両監督が『はないちもんめ』をしたみたいな感じでしょう?もちろん私の勝手な想像ですけど。でも選手冥利に尽きる話ですねえ。1軍から「あのこがほしい」と言ってもらう小虎が急増するシーズンでありますように。ところでK(金本監督)とK(掛布監督)の間にY(横田選手)って、トンカツみたいな…。

前編と同じ「頑張るぞ~」ポーズの横田選手。少し角度を変えてみました。
前編と同じ「頑張るぞ~」ポーズの横田選手。少し角度を変えてみました。

さて20日の新成人祝いに続いて、この日も多くの報道陣に囲まれた横田選手。1軍キャンプに選ばれた感想は「嬉しいです!」でした。ちょうど横田選手がバッティングをしていた室内練習場に両監督も入っていったので、何か言われたかと思ったのですが「特に何も」とのこと。沖縄に行けるかなという予想はしていた?「いえ、まあ普通に行けたらいいなと思っていました」

金本監督が「秋季キャンプを1日しか見ていないので、その成果が見たい」と話していましたよ。「ずっとやってきたので、それがいい方向に出せればいいなと思います」。アピールするのはどこ?「打つだけじゃダメなので、守備も走塁も今までやってきたことをしっかり出せればいいかなと」。バッティングでは?「飛ばすとこ。練習だけじゃなくて、試合で自分のバッティングができるようにやっていきます」

1軍レギュラー陣で見てみたい、話をしてみたいという選手は?「皆さん、すごい選手なので全員しっかり見て盗みたいです。誰というのはないですね」。なお今回の受け答えは本人が「きょうは頑張りましたよ」と自己評価したように、なかなかの出来だったと思います。でもこのままでは物足りないので、もうひとつ。沖縄には行ったことがあるかと聞かれて「初めてです」と答えた横田選手。沖縄にどんなイメージがある?「遠い」…確かに。「暑そう」…間違いではない。ありがとうございました!

「自慢の打撃で結果を出すだけ」

最後に“初沖縄”ではありませんが、岩崎投手や横田選手と同じく3年目の陽川尚将選手の話も書いておきます。陽川選手は昨年も沖縄キャンプに参加しながら、2月13日の練習試合で左肩を亜脱臼。残り半分は安芸で、しかもリハビリで過ごしました。2年目、初めての沖縄キャンプ、開幕1軍を目指して意気揚々とスタートしたでしょうに、相当くやしかったはずです。

内野でノックを受けたあと、トンボを手に整備中の陽川選手。沖縄、完走してください!
内野でノックを受けたあと、トンボを手に整備中の陽川選手。沖縄、完走してください!

だからこそ、ことしは何が何でも完走しましょう!「そうですね。去年は離脱したので、ことしはケガなく乗り切りたいと思います」。アピールポイントは?「もちろんバッティングですし、台湾(ウインターリーグ)で試したことがあったので、それをどれだけキャンプで出せるか。しっかりやっていきたい」。試したというのは?「秋季キャンプで言われたことと、他に自分で気づいて自分なりに考えてやったことです」

陽川選手は「ケガなくキャンプを乗り切るのは当たり前のこと。あとは結果を出すだけなので」と締めくくりました。同じ3年目といっても横田選手とは違って「あのこがほしい」と言ってもらうのを待っている時間はない、という決意でしょう。あのスイング、あの打球を1軍の試合で!楽しみにしています。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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