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前回はサヨナラ勝ちした巨人戦、今度は初回の6連打で敗戦《10/25 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
試合後にイベントがあったため、外野の位置からスコアボードを撮影してみました。

きのう25日はフェニックス・リーグ最後の日曜日とあり、県内各球場は多くのお客様で賑わったようです。阪神はKIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎で巨人と2度目の対戦でした。前回15日は珍しくアイビースタジアムでの開催だったのですが、やはり巨人戦はサンマリンが落ち着きますね。雲ひとつない快晴で汗ばむほどの陽気なのに、北寄りの風が相当強かったので日陰は寒くて震えました。

15日の対戦では秋山投手が4回までパーフェクト!5回に味方エラーから2点を失いましたが、6回に伊藤隼選手のタイムリー二塁打、そして9回に2死満塁として北條選手が2点タイムリーを放ち、逆転サヨナラ勝ちしています。今回は、3度目の先発だった田面投手がいきなり初回に先頭から6連打されて4失点…。打線は9回に相手エラーで1点返しただけです。

試合後のキャッチボールイベント。これは後半の野手編です。
試合後のキャッチボールイベント。これは後半の野手編です。

なお試合後には、両チームの選手が参加してフェニックス・リーグ恒例『キャッチボールイベント』が行われました。この模様は後日ご紹介します。

《フェニックス・リーグ》10月25日

巨人- 阪神 (サンマリン)

阪神 000 000 001 = 1

巨人 400 011 00X = 6

◆バッテリー

【阪神】田面-榎田-鶴-島本 / 小豆畑

【巨人】今村(7回1/3)-土田(2/3回)-公文(2回) / 鬼屋敷

◆本塁打 小林ソロ(榎田)

◆三塁打 北條

◆二塁打 大田

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]指:伊藤隼 (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

2]一:森越  (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃遊:植田  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

3]遊二:北條 (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0)

4]右:中谷  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

5]三:陽川  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

6]中:横田  (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0)

7]左:緒方  (3-1-0 / 1-1 / 0 / 0)

8]捕:小豆畑 (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0)

9]二一:西田 (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責)

田面 5回 80球 (8-3-2 / 5-5)

榎田 1回 11球 (1-1-0 / 1-1)

鶴  1回 9球 (1-0-0 / 0-0)

島本 1回 13球 (0-1-0 / 0-0)

試合経過

まず投手陣。先発の田面は1回、吉川に中前打、橋本に右前打で無死一、三塁として中井の右前タイムリー。続く4番・大田の左前打で無死満塁となり、岡本が左前タイムリー、和田恋も中前タイムリー。なんと先頭から6連打で4点を失っています。7番・小林から空振り三振を奪ってようやく1死。鬼屋敷と大累を打ち取り、何とか打者9人で攻撃を終わらせました。

2回もまた吉川からの攻撃ですが、今度は空振り三振。橋本に四球を与えたものの、中井は遊ゴロ併殺打と3人で終了。3回は1四球のみ。4回は三者凡退。ところが5回、2死を取ってから太田の二塁打(セカンド、センター、ライトの真ん中にポトリ…)、続く岡本に左越えタイムリー二塁打を浴び、1点を追加されます。

6回は榎田。先頭の小林に2球目をレフトポール際へ運ばれ、ソロホームランで6点目が入りました。あとはピシャリと抑えただけに残念。7回の鶴は先頭の代打・北之園に中前打を許しますが、中井を併殺、大田は三ゴロで無失点。8回に登板した島本は三者凡退!最後はスライダーでの空振り三振でした。

一方、巨人・今村の前に1回は三者凡退だった打線。4点リードされた直後の2回は先頭の中谷が左前打を放つも、陽川の二ゴロ併殺打で2死ランナーなし。ここから横田が左ヒジに死球を受け、緒方の右前打で一、二塁(横田は少しオーバーランしましたが、すぐ戻ってセーフ)。ついで小豆畑の左前打で横田がホームへ!しかし返球の方が先に到着…。絶好のチャンスを逃して無得点です。

すると3回、4回、5回はビシッと三者凡退に斬って取られ、6回に西田の内野安打と森越の右前打で1死一、二塁としたものの北條と中谷が連続三振で0点。7回はまた三者凡退でした。8回に先頭の小豆畑が右前打し、西田の三振のあと投手交代。後続を断たれて得点なし。

そして6対0で迎えた9回。巨人3人目の公文から、先頭の北條が右中間へ三塁打!ただ中谷は遊ゴロ、陽川は一邪飛で還れません。続く横田が遊ゴロで、これを捕った吉川の一塁悪送球でようやく北條がホームイン。二塁へ進んだ横田と、続いて四球を選んだ緒方を置いて、最後は小豆畑の二ゴロで試合終了。1点返しただけでした。

立ち直れた収穫、同じ失敗をした反省

3度目の先発・田面投手。初回に浴びた猛攻から立ち直れたことは収穫。
3度目の先発・田面投手。初回に浴びた猛攻から立ち直れたことは収穫。

田面投手は、まだグラウンドでキャッチボールイベントが行われている時間に球場を離れ、空港へ向かいました。夕方の便で帰阪し、きょうから鳴尾浜での練習に合流です。きっと久保投手コーチが話を聞こうと待ち構えていることでしょう。田面投手が先発した20日と25日の2試合は、直接ご覧になっていませんからね。そうそう、20日の西武戦は鳴尾浜で試合経過をチェックしながら「よしよし、いいね!」と喜んでいた久保コーチの様子を田面投手に伝えると「ほんとですか?嬉しいなあ」と笑顔。きのうの試合も含め、鳴尾浜で“根掘り葉掘り”聞かれたでしょう。

その前に、私も聞きました。まず初回、立ち上がりの6連打4点について。「ボールが高かったというのもありますけど、あんなに続くとは…。もうちょっとどこかで切り替えるなり、何かできたかなと今は思います。流れがそうなってしまっていました」。確かにあれは攻撃している方にとっても、そういう“流れ”だったかもしれません。

いつも言うことですが、去年までなら連打の途中やあとに四球が絡んだりして、もっと大きな傷になっていた可能性はありますね。1回は何とか7番からを抑え、2回と3回は四球を出しながら13球、9球という球数。4回はわずか6球で三者凡退でした。「そうですね。そのへんは抑えられました。それに2回以降はリズムよく、先頭も全部打ち取れたので、いけましたね。1回に35球くらい投げていたので、これは5回で何球になるんだろうと思ったけど」と苦笑い。無事?80球で終わっていますよ。

秋季キャンプは、安芸へ呼ばれず鳴尾浜であっても「場所は関係ない」という田面投手。
秋季キャンプは、安芸へ呼ばれず鳴尾浜であっても「場所は関係ない」という田面投手。

ただ悔やまれるのは5回だと言っていました。2回からはリズムよく抑えられたからこそです。ここも先頭から2死をしっかり取っていたのに、連続二塁打で1失点。「岡本に対して、球種は違いますけど(1回と)同じようなカウントで、2ストライクと追い込んでから打たれた。同じことをしてしまったのが反省です」

前半は中継ぎで2試合、後半は先発で3試合に登板。ことしのフェニックス・リーグを振り返り「先発をするとは思っていなかったんですが、途中からやらせてもらって、長いイニングを投げて感じたことも多かった。自信、というわけじゃないけど5回を投げられるっていうものを得られたかなと思います」と田面投手。四球などで自滅してしまうこともなく、十分な手応えが感じられたのではないでしょうか。

「点は取られていますけど、3試合続けて投げられたので。多く投げさせてもらったのはありがたいですね」。まもなく始まる秋季キャンプは「場所がどこでも構いません。しっかりやるだけです」と話しています。ことしは4月からの3ヶ月をルートインBCリーグの福井へ派遣され、違った環境での野球を経験。そして締めは宮崎で大きく前進したシーズンでしたね。次は支配下選手に復帰するための一歩を踏み出してください。

榎田は1発を悔やみ、鶴は制球重視で

野球教室で笑顔の榎田投手。この日はご両親もお見えだったそうです。
野球教室で笑顔の榎田投手。この日はご両親もお見えだったそうです。

6回に登板した榎田投手は、いきなり小林選手に浴びたホームランを「スライダーです。初球はいい感じで振らせたので、もう1球と思って投げて…少し抜けた感じになりました」と反省の言葉。そして「シーズン中もそうですね、甘く入って打たれることがあって。シーズン中はランナーが出ていて、ああいうのが多かった」と振り返っています。でも以降は3人でピシャリ。「はい。そのあとを抑えられたのはよかったです。でも1発だけは気をつけないと」と繰り返しました。と

ちなみに、きのうは12日に続いて大和選手のご両親が観戦されていました。毎年、大和選手が来ている時と、それ以外にも美味しいお弁当を作って来てくださいます。大和選手のお母さんは榎田投手が通っていた中学校で教師をされていたし、弟・宏樹投手(日本新薬)の担任でもありました。だから、きのうも「前田先生が来られていた」と伝えたら「あ、そうなんですか!きょうはうちの親も来ていたんですよ」と榎田投手。あー残念!ご挨拶すればよかったなあ。

鶴投手も小さな子どもたちの送球に、この笑顔でした。
鶴投手も小さな子どもたちの送球に、この笑顔でした。

続いて鶴投手。18日の日本ハム戦で6失点、22日のヤクルト戦は5失点と、1イニングで大量点を奪われる試合が続いていたものの、きのうは先頭にヒットを許しながら併殺打など3人で片づけています。「コントロール重視で、ゾーンを下げて、フォークをチェンジアップ気味に投げました」。言葉を1つ1つ区切ってのコメントです。

1年前とは違う自信と落ち着き

島本投手は「きょうはよかったですね。この前(22日、先発したヤクルト戦)はランナーを出してから制球が甘くなったんで、きょうはツーアウトを取ってからクイック入れたりしてみました。悪い部分をこういうところ(フェニックス・リーグ)で修正したいと思っていたので。それとシュートでも空振りが取れたのもよかった」と言います。

去年もこのキャッチボールイベントに参加していた島本投手。
去年もこのキャッチボールイベントに参加していた島本投手。

ことしはCSファーストステージがあったため、島本投手は後半からの参戦でした。1年前を思うと涙が出そうになると言ったら、島本投手は「1年前もここで巨人戦があって、先発して4回パーフェクトやったんですよねえ」としみじみ。

そうそう!昨年は宮崎へ行かないかも…と暗い表情だったのが途中から参加し、先発で素晴らしいピッチングを披露。そこから支配下登録、沖縄キャンプ、開幕1軍、1軍デビューと駆け足でした。最後はCSまで。「出てませんけどね」と苦笑いの島本投手。いやいや、ここまで来たらもう出る出ないは関係なかったでしょう。でも来年はもっと上のものを求められますから、しっかりオフを過ごしてください。

よく走ったけど「足がチュチュチュ」?

「あ、北條!」と子どもたちから呼び捨てにされる北條選手。人気がある証拠でしょう。
「あ、北條!」と子どもたちから呼び捨てにされる北條選手。人気がある証拠でしょう。

9回に右中間へ三塁打を放ち、相手エラーではありますが完封を阻止するホームを踏んだ北條選手。打ったのは?「真っすぐやと思います」。三塁まで必死のパッチでしたね。というか危なかったかも。「センターの大田さんがすぐ投げへんかったんで、それを見ながら走ってたらセカンド回ったとこで足が “チュチュチュ” ってなって。そこから足が動かんかった」。これは…北條語録ですね。チュチュチュって(笑)。でも現場で目撃した身としては、その雰囲気がすごく伝わります。はい。

残り1試合ですね。「打率を上げたい。3割いってないんで。複数打ったら上がるでしょう?5試合連続打った時はよかったけど、止まった時に1本でも打っとけば」と後悔はあるようですが「あした、最後までしっかり課題持ってやります」と締めくくりました。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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