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親子でサヨナラ勝ち!鳴尾浜では今成が決めた《5/28 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
55日ぶりに1軍へ戻った今成選手。写真は24日のファーム・楽天戦(甲子園)です。

きのう28日、阪神甲子園球場で行われていた楽天戦は前日に続く延長戦にもつれ込みました。11回、満塁となった場面で打席は前日と同じ福留選手、マウンドにいたのも同じ戸村投手。そして結果は押し出し四球でのサヨナラ勝ち!即座に歓喜の輪ができなかったのは、やはりストライクとコールされてもいいような際どいコースに来た結果球のせいでしょうか。でも判定はボールでした。大きなジャスチャーで訴え、そのあと座り込んだ楽天バッテリーの気持ちも十分にわかりますね。

サヨナラのきっかけを作ったのは、この回2死から鮮やかな右前打を放った荒木選手です。きのうはプロ5年目で初の猛打賞!しかも6打席すべて出塁して、さらに最後は2死一塁からの果敢な盗塁を成功させ3連続四球を呼ぶという、ファームでもなかなか見られないくらいの“荒木デー”でした。昇格直前の淡路で獲得した『ヒーロー賞』よりもっと大きな仕事をして、初めて登ったお立ち台。言葉通り「最高!」だったに違いありません。

「最後まで1軍で!」と同級生がエール

荒木選手は1988年生まれ。田中将大投手や前田健太投手ら、まさに時代を引っ張る選手たちの世代です。阪神でも小豆畑選手や山本投手、森越選手、また以前には野原将志選手、橋本良平さん、横山龍之介さんもいました。中でも、今は地元の新潟で胎内市役所の職員として働く横山龍之介さんとは仲がよく、新潟遠征の時に会えるのを横山さんも楽しみにしているのですが、昨年は新潟県三条市へウエスタン・中日戦で遠征する1週間前に荒木選手が1軍昇格。「会えないのは残念だけど、いいこと」と喜んでいました。

淡路でのウエスタン広島戦で“ヒーロー賞”を取った荒木選手。
淡路でのウエスタン広島戦で“ヒーロー賞”を取った荒木選手。

そして今季は来週末の6月6日、7日に三条での試合(今回はイースタンとのファーム交流試合で日ハム戦)があり、また直前に荒木選手が1軍に行ったなあと思っていたところです。同級生の横山さんにとっても嬉しいすれ違いであり、荒木選手にとってもタテジマを着て頑張っている姿を見せられるのが一番なので、喜ばしいこと。ましてや昨夜のような活躍は何よりだったでしょうね。

横山さんは「きのうはテレビ中継がなかったので、ネットで情報を見ていました。1軍でシーズン終了を迎えて欲しいですね!」と激励しています。そうそう、横山くんも市役所の軟式野球チームでピッチャーをしていて、昨年は全国大会に出場したくらい。「頑張って」と言ったら「別な横山くんが頑張ってくれますよ」という返事が。あ、新潟ではなく山形出身の横山雄哉投手のことですね。「“横山代表”で頑張って(笑)」とエールも届きました。新潟の横山さんの近況は、来週の三条で会えるはずなので後日またお伝えします。1988年生まれといえば…ハンカチ王子は三条に行くのかな?

親子6試合でサヨナラ勝ちが4試合!

さて、きのう28日は鳴尾浜で行われたウエスタン・ソフトバンク戦もサヨナラ勝ちでした!こちらは3連戦の最終日ゆえ延長戦に入らないことはわかっていたものの、初戦と同じく9回にまた二神投手が追いつかれたと聞いてビックリ。でも、その裏に今成選手のタイムリー二塁打で勝っています。私は結局、延長10回で引き分けた27日の試合しか見に行っていませんが、いや~3戦とも疲れる戦いだったんですねえ。

26日は2点リードで迎えた9回に追いつかれ、延長10回に梅野選手のタイムリー内野安打でサヨナラ勝ち。27日は逆転されたあと、横田選手のソロで延長に持ち込んで引き分け。そして28日は初回に4点取りながらジワジワと追い上げられ、9回に同点。その裏にサヨナラ勝ち。つまり3試合で延長戦2つ、サヨナラゲーム2つです。そこに1軍の楽天3連戦を合わせると、親子で6試合のうち延長戦が4試合、サヨナラ勝ちが4試合!しかも負けは1つもなし。これはなかなかないでしょう。全部ご覧になった方、大いに自慢してください!

ちなみに阪神ファームが“同一カードで2つサヨナラ勝ち”したのは、2013年5月1日と2日のソフトバンク戦(鳴尾浜)以来です。これは2戦連続だったんですね。1戦目は9回に追いつき、延長10回に浅井良選手のタイムリーで3対2の勝利。2戦目は4回に同点とされ、1対1のまま迎えた9回に2死ランナーなしで、初回に先制タイムリーを放っていた野原将志選手が金澤投手からサヨナラホームラン!という内容でした。

きょう29日から1軍は西武3連戦(西武)、ファームは中日3連戦(ナゴヤ、蒲郡)とどちらも遠征です。そんな中、鳴尾浜でサヨナラ打を放った今成選手は所沢へ、甲子園でプロ初打席に立った北條選手はナゴヤへ、ということになりました。昨年は2日半、今回は3日間だけだった北條選手…。次は長期滞在してヒットも打ってきましょう!すぐにチャンスは来ますよ。

今季2度目のサヨナラ勝ち

では、きのう28日に行われたウエスタン・リーグ、阪神-ソフトバンク(鳴尾浜)の結果と試合経過です。この日は1軍から俊介選手、森越選手、北條選手の3人が参加。先発は、4月12日のルートインBCリーグ・福井戦(福井市営)以来、公式戦では3月22日の中日戦(鳴尾浜)以来となる歳内投手でした。

《ウエスタン公式戦》5月28日

阪神-ソフトバンク 10回戦 (鳴尾浜)

ソフ 100 101 001 = 4

阪神 400 000 001x = 5

◆バッテリー

【阪神】歳内-筒井-桑原-○二神(3勝1敗2S) / 小豆畑

【ソフ】帆足(7回)-大場(1/3回)-日高(2/3回)-●伊藤大(2敗)(1/3回) / 細川

◆本塁打 梅野1号3ラン(帆足)、上林2号ソロ(歳内)、カニザレス3号ソロ(二神)

◆二塁打 真砂、今成

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]中:俊介   (3-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .333

〃左:一二三  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .105

2]二:森越   (3-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .250

〃二:西田   (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .210

3]遊:北條   (2-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .242

〃遊:植田   (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .182

4]左右一:中谷 (3-1-1 / 1-1 / 0 / 0) .331

〃走:田上   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .400

5]右中:江越  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .278

6]指:梅野   (3-1-3 / 0-1 / 0 / 0) .364

7]三:今成   (4-2-1 / 1-0 / 1 / 0) .161

8]捕:小豆畑  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .164

9]一:黒瀬   (2-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .185

〃走右:横田  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .187

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

歳内 5回 62球 (2-3-3 / 2-2 /12.15) 142

筒井 2回 32球 (1-3-2 / 1-1 / 3.80) 143

桑原 1回 18球 (2-2-0 / 0-0 / 1.59) 146

二神 1回 13球 (1-0-0 / 1-1 / 2.25) 145

試合経過

まず1回、約1ヶ月半ぶりに先発した歳内がノーヒットで1点を失います。先頭・牧原に四球を与え、1死後に連続四球で満塁。5番の上林に中犠飛を許しました。しかし、その裏に打線が大逆転!俊介は中前打と帆足のボーク、森越の一ゴロで三塁へ進み、北條の四球で1死一三塁として中谷が左前タイムリー。2死後に梅野がレフトへファーム1号の3ラン!今成もピッチャー内野安打と盗塁でさらに攻めますが、小豆畑は三ゴロで終了。それでも4対1と引っくり返しました。

歳内は2回を三者凡退、3回は先頭の牧原に左前打されるも無失点、ところが4回にこれまた先頭の上林にライトへ2号ソロを打たれます。これで4対2。5回は三者凡退で交代しました。5イニングで62球、2安打3四球3三振で2失点です。6回の筒井は(また少しフォームが変わっていたそうな)先頭の塚田に四球、松中と上林を打ち取ったあと白根にも四球を与えて2死一、二塁。続く真砂に左翼線へタイムリー二塁打を浴び、ついに1点差となります。

なお7回はきっちり3人で片づけた筒井に代わって、8回は桑原が登板。連続三振で2死を取りながら上林と白根に連打を許し2死一、三塁としましたが、真砂を二ゴロに打ち取って無失点。

こちらの打線は1回に4点を取ったあと、2回から7回まで帆足にパーフェクトピッチングを許してしまいます。中でも5回の俊介から6回の江越にかけては5連続三振を喫するなど、誰ひとり塁に出られず。8回は2人目の大場に対して黒瀬が死球で出て、1死後に日高と交代。内野のエラーなどもありましたけど、結局はノーヒットで得点もなし。4対3と1点リードのまま最終回へ。

9回表は二神が登板して、1死後に代打・カニザレスを迎え、初球の真っすぐ(145キロ)をレフトへ…。そのあとは3人でキッチリ抑えた二神ですが、4対4と追いつかれてしまいます。そしてその裏、先頭の中谷は四球を選び、代走・田上が江越の犠打で二塁へ進み、梅野は死球で1死一、二塁。続く今成が伊藤大のストレートをセンターへ!これが中越えのタイムリー二塁打となり田上が生還してサヨナラ勝ちです。

ナリさん&梅ちゃんの談話

メリハリの効いた試合というか、得点した1回と9回以外は1本もヒットが出ず、その間も8回に死球とゴロのランナーがいただけで、真ん中は見事に三振と凡打の山ですね。では試合後のコメント、打点を挙げた2選手だけ教えてもらいましたのでご紹介します。

ヒーロー・今成選手は「高めのボールをちゃんとスイングできて、よかったです。あのバッティングが続けばいいですね。あの打席に関しては、初球のファウル(139キロの真っすぐ)もよかった」と話しています。そして「これからもしっかりゲームをこなしていきたいなと思います」と締めくくったそうですが、その前に声がかかりましたね。きょうはもう1軍でムードメーカーの役割を果たしていることでしょう。

1回の1打席目で盗塁を成功させた点については「そろそろ僕も盗塁王を目指さないと。冗談ですけどね(笑)。たまたまですよ」と話していたとか。この元気印さんがいなくなるのは少し寂しいけれど、もう鳴尾浜に戻ってくることのないよう、しっかり1軍で頑張ってきてください。

1回にドカンと3ランを放った梅野選手は「打ったのは多分シュート。状態は悪くないです。バッティングは悪くない」と言っていたそうです。確かに打撃不振とかでファームに来たわけではないですからね。24日に登録を抹消され、26日が4打数3安打1打点、27日は4打数0安打でしたが、28日は3打数1安打3打点で合計11打数4安打4打点と、なかなかインパクトのある成績。最短での再昇格に向け、梅ちゃんは牙を研いでいます。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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