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阪神ファームは9連敗、ついに4位へ…《5/13》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
前半、素晴らしい投球を見せた先発の石崎投手。松中選手の1発を反省しています。

きのう13日は台風一過の青空が広がる鳴尾浜球場で、ウエスタン・ソフトバンク戦が行われました。鳴尾浜での試合は4月30日以来、それから遠征に出かけた阪神ファームはソフトバンクと広島、さらにオリックスとの9連戦で8敗1分け…。そうなんです。あれから勝っていないんです。12日は台風で中止になり、さあ連敗ストップ!といきたい試合でしたが…。昨年8月に記録した“ここ24年間ではチームワーストの9連敗”に並んでしまいました。10連敗となると記録を調べるのが大変なので、きょうは何が何でも止めてください!

今季初実戦でショートの守備についた森越選手。
今季初実戦でショートの守備についた森越選手。

13日の先発は、5日のこのカード(雁の巣)で塚田選手と猪本選手にホームランを浴びるなど5回9安打5失点(自責3)で負け投手となった石崎投手。一方、ソフトバンクは翌6日の対戦(八代)で阪神が2安打完封負けを喫した千賀投手です。なお4月初旬から右肋軟骨損傷によりリハビリを続けてきた今成選手が実戦復帰、また安芸キャンプ序盤に右ひざを痛めて2月24日に『右ひざ半月板クリーニング術』を受けた森越選手も今季初実戦に臨んでいます。

《ウエスタン公式戦》5月13日

阪神-ソフトバンク 6回戦 (鳴尾浜)

ソフ 000 001 200 = 3

阪神 000 000 100 = 1 

◆バッテリー

【阪神】●石崎(1勝2敗)-筒井-桑原-鶴 / 岡崎-小豆畑(8回~)

【ソフ】○千賀(4勝)(6回)-金無英(1回)-柳瀬(1回)-S東浜(1敗3S)(1回) / 張本

◆本塁打 松中2号ソロ(石崎)

◆二塁打 白根、荒木

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]左:柴田   (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .321

〃投:桑原   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃投:鶴    (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

2]右:横田   (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .153

3]三:北條   (3-1-0 / 0-1 / 0 / 1) .257

4]中:江越   (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .300

5]指:今成   (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .214

〃走指遊:森越 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .000

6]一:西田   (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .243

7]二:荒木   (4-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .089

8]捕:岡崎   (2-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .250

〃打左:緒方  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .182

9]遊:植田   (2-0-0 / 1-0 / 0 / 1) .203

〃打:原口   (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .206

〃捕:小豆畑  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .179

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速 キロ

石崎 6.1回 91球 (7-5-1 / 3-3 / 3.98) 146

筒井 0.2回 12球 (0-0-1 / 0-0 / 4.70) 140

桑原  1回 8球 (1-1-0 / 0-0 / 2.45) 146

鶴   1回 8球 (0-0-0 / 0-0 / 6.14) 146

経過 現役三冠王の1発

石崎は3回までパーフェクトピッチング!4回1死から牧原に左前打されたのが初ヒットですが、後続は内野フライ2つで無失点。5回は猪本に144キロ、146キロと、この日の最速を連発して最後は144キロの真っすぐで空振り三振を奪いました。上林はショート植田の捕球エラーで出し、白根の右前打、2死後に曽根への四球で満塁とするも釜元を中飛に打ち取っています。

打線は1回、2死から北條と江越が連続四球を選んでまたとないチャンスだったのですが、今成は二ゴロでそれを生かせず。2回も2死から岡崎が中前打したものの無得点。そして3回からは3イニング連続でパーフェクトに抑え込まれました。

松中選手の先制ソロに沸くソフトバンクベンチ。金網越しの写真ですみません。
松中選手の先制ソロに沸くソフトバンクベンチ。金網越しの写真ですみません。

0対0のまま後半に突入。先に失点したのは石崎です。6回、先頭の牧原に左前打されながらも塚田を三ゴロ併殺打(5-4-3ではなく5-6-3でした!)に仕留めてランナーなし。ところが、次の松中にカウント1-2としてから岡崎のサインに首を振って投げた4球目の、おそらくカットボールをライトへホームラン…。猪本は見逃しに切って取り最少失点にとどめます。

しかし7回、白根の右中間二塁打と張本の右前打で1死一、三塁とし、久保投手コーチがマウンドへ行って間を取りましたが、続く9番の育成2年目・曽根に右前タイムリー(ファースト西田の右横を抜けていく)を浴びて2点目。石崎はここで降板、なおも1死一、三塁の場面で筒井に交代です。代打・カニザレスは三ゴロでサードの北條が捕って一塁へ送球、これが少し逸れてセーフとなり張本が生還。記録は北條のエラーですが、カニザレスに打点はつき、石崎の自責点でもあります。この回2点を追加され3対0となりました。

約3週間ぶりに登板した鶴投手。9回1イニングを三者凡退です。
約3週間ぶりに登板した鶴投手。9回1イニングを三者凡退です。

その裏、ようやく阪神は反撃。2人目の金無英から先頭の今成が11球粘って、ショート牧原を強襲する中前打を放ち、代走で森越が出場して1死後に荒木の右翼線タイムリー二塁打で生還!続く代打・緒方は牧原の捕球エラーで1死一、三塁としますが代打・原口は初球を打ち上げて一飛、柴田は空振り三振で1点返しただけ。

8回は桑原がセカンド内野安打で出した上林の盗塁を、この回からマスクをかぶった小豆畑が刺すなど3人で片づけ、9回は鶴が三者凡退に斬って取りました。しかしこちらの打線も、8回は柳瀬に、9回は東浜に三者凡退。3対1のまま試合が終わり、9連敗です。

「塚田先輩と猪本さんには…」

石崎投手は、まず松中選手に許した先制の2号ソロが、2球同じ球を投げて打たれたものだと言い「1球目がうまくいった(空振り)からといって、2球目も続けてうまくいくかというと、そうではないですね。首を振って、絶対に抑えてやろうと思ったけど高さもコースも甘くなってしまった」と反省。

石崎投手は、前回の反省点をクリアできたのが収穫と話しています。
石崎投手は、前回の反省点をクリアできたのが収穫と話しています。

プロ最長の6回1/3を投げ「最初はテンポよくいけたし、途中まで球数も少なくて自分自身はそんなにバテてはいなかった」と振り返りつつ「3巡目のバッターに対して、1打席目や2打席目に抑えた球を使いすぎたかなと思う。投球の幅をを広げないと。その辺の投球術をもっとつけたいです」と課題を挙げました。

これまで2巡目でつかまることも多かった石崎投手ですが「きょうは、自分としては尻上がりにいけたと思います。ただだ配球面が。もうちょっと突っ込まないといけないところがありました。打者の観察がまだまだかな。相手のことをもっと頭に入れていけたら」とも話しています。

試合後、確認するようにキャッチボールをする石崎投手。
試合後、確認するようにキャッチボールをする石崎投手。

ところで塚田選手に対し、1打席目は何度もサインに首を振っていましたね?「前回、ホームランをかちこまれていたので。地元の先輩でもあるし、きょうは絶対に抑えてやる!と。真っすぐは調子よかったけど、真っすぐ以外も投げられることを見せたくて、あえて首を振りました。投げたのはカットボールです」。結果は見事に空振りの三振!

それと5回、急に球速が上がったような…。それも先頭の猪本選手に対した時が一段と速かった気がします。もしかして?「はい(笑)。猪本さんにも前回ホームランを打たれたから、やっぱり意識がありました」。ここも空振り三振で、マークしていた2人はしっかり抑えています。「やられたら、やりかえさないと」。お、かなり強気な顔が見えますね。「調子がよかったからというのはあります。ギアチェンジしてどういけるか、ってのも見たかったので」

残念ながら2敗目を喫していまいましたが「収穫と反省があり、前回はインコースを攻めきれなかったけど、きょうは突っ込めたというのが大きな収穫ですね。ランナーを置いてからの投球術など、まだ課題はあります」とのこと。

久保投手コーチは「2回り目、3回り目で落ちた時に、どう対処するか。同じ球にスパイス(高低や強弱など)を加えていけるように。投げながらリズムに乗ってスピードも出てきたね。もっと出ると思うよ」と言います。極端なインステップだった点も改善したそうです。

鶴&小豆畑、そして山本

鶴投手は「いい方向に向かっている」と笑顔も少し。
鶴投手は「いい方向に向かっている」と笑顔も少し。

4月19日の広島戦(鳴尾浜)で1イニング投げて以来の登板だった鶴投手。2試合続けてリリーフで失点していたこともあったのでしょうか、この3週間は「クセが出ないよう徹底的に直していた」と言います。「ピッチングコーチにアドバイスをもらいながら、力強い球を投げるにはどうしたらいいか、頭ではだいぶわかってきました。ポイントでいうと一番は、突っ込まないようにということですかね。足を上げた時、できるだけ突っ込まないよう意識しています」

それは“ためて”という感じ?「ためているというよりは、軸をしっかりするという意識です。入りすぎると軸がぶれちゃうので。たぶん今までと逆の動きをしているかもしれませんね。これまでは根拠がなかったけど、今はしっかり根拠があって、それを理解しながら投げられている。いい方向に向かっていると思います」

小豆畑選手は「久々に鶴さんの球を受けたんですが、これまでと違いましたね!カーブが。たてにポーンと曲がる。しかも真っすぐが来ていたので、カーブが余計に効いたと思う」と少し興奮気味に話しました。また8回からマスクをかぶった自分自身のことで「雁の巣のソフトバンク戦(5月5日)で4つも盗塁されて。松中さんにも走られたんですよ。それで送球エラーも2つ…。そのあとオリックス戦で13点取られたのも僕で。なのに使ってくれた監督に感謝です。嬉しい」という小豆畑選手。盗塁も刺しましたね。「はい。よかったです」とホッとした顔。

なお、きょう14日は山本投手が公式戦初先発で、小豆畑選手がスタメンマスクです。山本投手は昨年秋のフェニックスリーグ以来の先発に「楽しみですね、やっぱり。何回まで投げるとかは聞いていませんけど、何とか連敗を止めなくちゃいけないんで」と責任感を持ってのマウンド。小豆畑選手は「山本は、かわさずに向かっていくタイプですね。1イニングずつ積み重ねていく感じでいければ。あいつのために頑張りますよ!」と頼もしい女房。同級生バッテリーで、ぜひ連敗ストップを。

戻ってきた今成

元気印の今成選手が実戦復帰を果たしました!
元気印の今成選手が実戦復帰を果たしました!

今成選手は5番DHで先発出場して3打席に立ち、7回に金無英投手からヒット。打球はショート牧原選手が弾いてセンター前に到達しています。ここで代走を送られて交代しました。11球粘っての中前打に「追い込まれてから対応できた」とのこと。1回は千賀投手の前にチャンスで二ゴロだったのは「打てなかったですね。悔しいです」と言いながらも「速いボールに対してスイングもしたので。ヒットも出たし、ファーストストライクから振りにいけてよかった」と振り返っています。

1軍復帰への展望については「すんなりゲームに入れたし、次も続けていければ。試合をこなして結果を出しながら納得して上がりたい。1日でも早くそういう状態にして上がりたいです」と今成選手。守備に関して「わき腹は問題ない」と話していて、1軍交流戦での復帰?と聞かれると「試合で、ある程度たたないと見えてこない」と慎重なコメントでした。

「玉ねぎはもう十分です(笑)」

森越選手は2月の安芸キャンプ序盤で右ひざを痛め、本隊に合流したところで再び悪化。結局、手術に踏み切ったわけです。その後のリハビリを経て、きのうベンチ入り。どこでどんなふうに出番が来るかは聞いていなかったらしく「途中に、今成さんが出た時に代走からと言われた」そうです。代走で出てボークで二塁へ進み、荒木選手の二塁打で生還。そのままショートの守備について打球を2つ処理。さらに打席も回ってきて、言うことなしですね。

森越選手の堅実な守備、期待しています!
森越選手の堅実な守備、期待しています!

守備も問題なし?「打ち取った当たり2つでしたから。派手さより堅実なプレーを目指しているので、ピッチャーが打ち取った打球はアウトにしてあげないとピンチになるでしょう?ファインプレーなんてのは言葉の通り滅多にないことですもんね。そういう意味では、きょうの2つは無難にこなせたと思います」。はい!我々も森越選手の堅実な守備を期待しています。

今季初打席では、ソフトバンク東浜投手に空振り三振を喫しました。
今季初打席では、ソフトバンク東浜投手に空振り三振を喫しました。

バッティングは9回の1打席だけでしたが、2球ストライクで1ボールのあと空振り三振。「初球から積極的にいきたいなと思ったんですけど…ストライクを見逃してボールを振ってしまった。次は初球から、真っすぐに振り負けないよう頑張ります」。なお試合に出てみて、右ひざの状態は「大丈夫です」とうなずきました。

ということは森越選手、週末の淡路(広島戦)も行けますね~と言ったら「もう玉ねぎはいいですよ」と大笑い。そう、昨年のボールパーク淡路は中日戦で、森越選手が大活躍!2試合で玉ねぎ40キロとお米10キロを賞品でもらったんです。さすがに玉ねぎは寮に寄付したと言っていたのを思い出しました。相性のいい淡路で、ことしも打ちまくりましょう。「でも玉ねぎはもう十分です(笑)」。じゃあ淡路ビーフでも。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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