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タイガース・安芸キャンプ練習試合《2/14》 守屋デビュー、玉置3回8K、横田V三塁打

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
横田選手は11日に続いて三塁打を放ち、これが勝ち越しの2点タイムリー!

きのう14日は阪神タイガースの安芸キャンプで2度目の練習試合が行われました。バレンタインデーとあって、カラフルな包みのプレゼントがファンの方から選手の手に!またこの土日はルーキーをはじめ、選手のご家族が来られています。植田選手のお母さんも試合を楽しみにされていたのですが出場せず。実は試合前の守備練習中に、本人いわく「三遊間のボールにグワッと行ったら」右足首を捻挫してしまったとのこと。「出る気満々でしたよ…」と寂しそうでした。残念です。

ハンファの立石コーチ。今も変わらず身振り手振りの指導です。
ハンファの立石コーチ。今も変わらず身振り手振りの指導です。
同じくハンファの古久保コーチ。
同じくハンファの古久保コーチ。

この日の相手は韓国プロ野球のハンファ・イーグルス。今、高知市営球場でキャンプをしている1軍が、きょう沖縄へ移動。来週も同じハンファとやりますが、その時は2軍キャンプメンバーだそうですね。よってキム・テギュン内野手もきのうはベンチにいました。でも試合に出たのは「1軍経験はあるけれども、ことし頑張ってほしい選手」だったようで、レギュラークラスはスタメンマスクで4番のジョン・バムモ選手くらいしか出ていません。

タイガースのファームではおなじみの立石充男さんや、他にも西本聖さん、庄田耕三さん、古久保健二さん、安部理さんが1、2軍のコーチを務めています。試合前の練習でノックをする立石コーチは懐かしの背番号88でした。立石コーチは沖縄へ行かず、来週の試合にも安芸へ来られるみたいですよ。

さて、試合はドラフト4位ルーキー・守屋投手と、ハンファもルーキーのキム・ミンウ投手が先発。植田選手の欠場もあってか、関本選手がセカンド、坂選手がショートという守備で始まりました。では結果と経過をどうぞ。

《練習試合》

阪神-ハンファイーグルス(安芸)

HE 002 000 000 = 2

阪神 000 200 400 = 6

※特別ルール 9回裏まで

◆バッテリー

【阪神】守屋-松田‐田面‐玉置 / 小豆畑

【HE】キム・ミンウ(2回)-キム・ジョンミン(2回)-チェ・ウソク(2回)-ク・ボンボム(1回)-イム・ギョンワン(1回)-クォン・ヒョク(1回) / ジョン・バンモ-ジ・ソンジュン(8回~)

◆三塁打 横田

◆二塁打 一二三

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]中:横田  ( 4-2-2 / 1-1 / 0 / 0 )

2]遊:坂   ( 4-1-1 / 2-1 / 0 / 1 )

3]二:関本  ( 3-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

〃走右:狩野 ( 2-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

4]指:新井  ( 3-1-1 / 0-0 / 0 / 0 )

〃投:玉置  ( 1-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

5]一:一二三 ( 5-1-1 / 1-0 / 0 / 0 )

6]左二:俊介 ( 4-2-0 / 0-1 / 0 / 0 )

7]右左:田上 ( 5-3-1 / 1-0 / 0 / 0 )

8]三:岡崎  ( 4-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

9]捕:小豆畑 ( 3-1-0 / 0-1 / 0 / 0 )

◆投手(安-振-球/暴投-失策/失点)最速

守屋 2回 24球( 2-2-1 / 0-0 / 0 )141

松田 1回 27球( 2-1-1 / 0-0 / 2 )148

田面 3回 43球( 0-3-1 / 0-0 / 0 )

玉置 3回 41球( 0-8-0 / 0-0 / 0 )

2試合連続13安打!逆転勝ち

先発の守屋は“プロ初登板”。1回は右打者を遊ゴロ、続く左打者2人をチェンジアップと真っすぐで連続空振り三振の三者凡退で立ち上がります。2回は先頭に左前打されるも、小豆畑が盗塁阻止。次いでサード岡崎が追いつけなかった打球がショート内野安打となり、2死後に死球で一、二塁。しかし最後は左打者を二ゴロに打ち取って、予定の2イニングを無失点で終えました。

2人目は松田投手。「148キロ出ても打たれちゃダメ」と反省しきりでした。
2人目は松田投手。「148キロ出ても打たれちゃダメ」と反省しきりでした。

3回は松田。先頭に死球を与え、犠打で二塁へ。2番の中前タイムリーで先制を許し、3番にも中前打。1死一、三塁となって4番の遊ゴロでもう1点。5番はスライダーで空振り三振に仕留めたものの、2安打2失点です。4回は田面が登板して先頭を見逃し三振に切って取るなど三者凡退。このあと打線が反撃を開始します。

1回に四球を選んだ横田は盗塁失敗、2回まで3人ずつの攻撃で、3回は田上が右前打と暴投で1死二塁となりましたが無得点だった打線。4回は先頭の坂が四球、関本の投ゴロで1死二塁となり、新井が左前タイムリー。2死後、俊介の中前打で一、二塁として田上が左前タイムリー。なおも2死一、二塁で岡崎は中飛に倒れるも、この回3安打で同点に追いつきました。

田面投手は3イニングで無安打無失点。今キャンプで着実に自信をつけています。
田面投手は3イニングで無安打無失点。今キャンプで着実に自信をつけています。

田面は5回に先頭をショート坂のエラーで、6回は2死から四球でそれぞれ走者を出しますが、危なげないピッチングで3イニングを無安打3三振の無失点。こちらの打線も5回は三者凡退でした。6回は先頭・関本の中前打、2死後に俊介と田上の連打で、二塁から関本がホームを狙うも…センターの返球でタッチアウト。勝ち越しはなりません。

しかし7回、岡崎と小豆畑の連打で無死一、三塁となり、続く横田が左中間越えの三塁打!2人を還して勝ち越しです。さらに坂の左前タイムリー、2死後に一二三がセンター前にポトリ。この回5本の長短打で4点が入っています。8回は小豆畑の死球と横田の左前打があったものの追加点なし。

なお4人目の投手・玉置が、7回と8回をすべて三振!6者連続奪三振で、9回は先頭が二飛だったため7連続はならず。ところがそのあとも連続三振で、なんと3イニングで8奪三振という素晴らしいピッチングでゲームを締めました。申し合わせにより行われた9回裏、一二三が放った打球はセカンドの後ろへ落ち、ライトが捕り損ねて出塁。ヒットのランプはついたのですが…記者陣で協議した結果「ライトのエラー」としました。2死後に田上が三振、一二三の盗塁失敗により併殺で試合終了です。

守屋、無失点デビュー

初登板ながら、三凡退と上々の立ち上がりを見せた守屋投手。「思ったより緊張せず投げられた」と言い、プロ初試合の感想は「最初に整列がなくて『あっ、そうか』と思った(笑)」だそうです。内容を振り返って「きょうのピッチングじゃまだダメですね。セットポジションになって初球のカーブが死球。こういうの初めてじゃないんです。社会人でもあった。そこを改善できないと次はない」と冷静に自己分析。

初登板初先発のルーキー守屋投手。奥さんもチョコレートを持って観戦に来られました。
初登板初先発のルーキー守屋投手。奥さんもチョコレートを持って観戦に来られました。

「最近あんまりピッチングの調子がよくなくて、きょうの試合も不安でしたが、最初のキャッチボールがいい感じでできて。試合に入っていく調整ってのはよかったと思います」。最速141キロについては「そんなに出ていないと思っていました。調子よければ140キロを連発できますが、きょうは140出ていないと。体重が増えて速くなったのかなと思います。去年のこの時期はまだ140キロは出していなかったので」と手応えを感じたようです。

ちなみに帰り際、紙袋を見せながら「あ、奥さんからチョコレートもらいましたよ!」とニッコリ。届いたの?「いえ、きょう来てました」と。あら、チョコはないし奥さんも来ないと言っていたのに。よかったですね、投げるところも見てもらって。ちゃんと奥さんは計画されていたんですよ、きっと。登板するって連絡したのかな?

久保コーチ、守屋に合格点

久保投手コーチは「そつなくこなすことができてよかった。やはり変化球でカウントを整えられるというとこが絶対に必要な条件。それができる。またボールが動くので、バッターは予測しにくい。あまり荒れないね。きょうはセットでちょっと荒れたけど。その他は落ち着いているし、十分!」と合格点。続けて「田面もよかった。特にカーブが1つ加わったので。カーブのラインはタテ振りにならないと投げられないからね。一歩一歩成長している。3イニング投げたことでまた前進した」と話しています。

さらに「玉置はきょう、大幅に変更した」と久保コーチ。「得意なボールを生かすため、プレートの幅を大胆に使うように。ものすごくチェンジアップがいいし、すごいスライダー投げるし。“どこで投げる”のが効果的かということ。プレート板の一番左によって、彼のシンカー気味のチェンジアップがバッターの懐まで曲がりながら届くのでは?と考えた」。

他のピッチャーは結構やっていますね?「そうそう。でも勇気が要るからね。『この時期だから思い切って変更します』と自ら言ってくれた。ただフォームを変えずに、プレートの幅61センチを使ってできれば言うことはない。きょう初めてやってみて、うまく出せたね」。幅61センチとはいえ、それだけのこととは言えない変化が投げる本人にはあるはずです。

玉置「何かを変えたかった」

3イニングで8三振を奪った玉置投手。プレートの立ち位置が少し変わっています。
3イニングで8三振を奪った玉置投手。プレートの立ち位置が少し変わっています。

玉置投手に聞いてみました。いつ変えたの?「きょうです」。えっ、きょう?「はい。やってみないかと言われてはいたんですが、きょう思い切ってやってみて、まず景色が全然違うし、僕の武器であるチェンジアップが有効だった。スライダーもいいところに決まって」と納得の表情。3イニングで8つも奪った三振は、そのチェンジアップとスライダーが半々。

変えるのは勇気がいると久保コーチも言っています。「ここ最近、調子がよくなかったので何か変えたかった。きっかけがあれば、と。今のこの時期なら失敗しても問題ないかと思って、やってみました。発見が得られたので何でも試したい」。課題は?「まだまだ真っすぐは浮くことが多い。真っすぐを低めに集めていけば、もっと三振が取れる」

そして玉置投手は「去年、アピールしたい、見せたいと力みが大きくなって空回りしてしまう部分が多かった」と振り返り、好感触だった今回の“チェンジ”も「よかったといってもまだ一回だけ。あとは継続していくこと」と、語っています。

初安打にプロ初セカンド、俊介

2安打を放った俊介選手。このあとプロ初のセカンド守備も。
2安打を放った俊介選手。このあとプロ初のセカンド守備も。

次は俊介選手。11日はノーヒットでしたが、きのうは2安打。しかし「ぼちぼちですねえ。ヒットが出たことはよかったですが。今やっていることを続けて、これが固まってヒットが出ていけばいいなと思います」と、これからを強調。そして7回から関本選手に代わってセカンドの守備につきましたね。「プロ初ですよ!学生時代はありますけど。試合前に言われて」

玉置投手の三振奪取で、守備機会はセカンドフライの一度だけ。「フライならOKです(笑)。ゴロは飛んできてないからわからない。エラーしないように頑張りますっ!」。手にいっぱいチョコレートの袋を持って引き揚げていきました。「チョコ、10個は超えてますねえ。でも良太さんには負けますよ~」と言いながら楽しそうです。

横田、三塁打よりも光った四球

きのうも2点タイムリー三塁打と左前とマルチヒットだった横田選手。掛布DCは「ヒットよりも1打席目。四球で出塁したこと」と言います。しかも「カウント1-2からインコースよりの真っすぐをファウルしたのは彼の成長。あれでピッチャーは投げるボールがなくなって四球になった。あのファウルはすごく意味がある。打席の中での成長をすごく感じましたね」とのこと。

三塁打には「狙って打った変化球じゃないと思うけど、真っすぐを待ちながら体がフッと反応したんだろう」と言って、もう一度「去年も見てきたが、ああいうファウルはあんまりなかったよねえ。きょうのゲームはヒットよりも、あのファウルだね」と繰り返す掛布DCでした。

7回、左中間の打球で三塁へ滑り込む横田選手。これが決勝の2点タイムリーです。
7回、左中間の打球で三塁へ滑り込む横田選手。これが決勝の2点タイムリーです。

「ボール球をきっちり見られているかなと。ミスショットもあるので、そんな…って感じですけど、四球は成長したと思いますね。いつもだったら振ってる。ボール球を振らないことが一番ですね」と横田選手。三塁打はスライダーを打ったもの。「2打席ヒットなくて、試合中に良太さんがアドバイスしてくれました。真っすぐと外の変化球を一緒に考えたら、いい感じで対応できるからと。ちょうど結果も出たのでよかった。ほんと、いい先輩です。良太さん!」と何やら嬉しそうです。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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