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阪神ファームの2014年を回顧 その2・記憶編

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

阪神タイガース・ファームの2014年回顧、きのうは“記録編”をお送りしました。きょうは“記憶編”と題して、独断で選んだ出来事をご紹介します。試合や成績とはあまり関係のない話がほとんどですが、まずは本拠地である鳴尾浜球場と、甲子園球場でのことです。

甲子園と鳴尾浜で

◆甲子園で『ひげのテーマ』が流れる

ことしの北條選手の登場曲は、ドリフターズ(加藤茶さんと志村けんさん)がコントで踊る“ヒゲダンス”でした。春季キャンプ中、掛布DCが北條選手に「ヒザを柔らかく使いなさい」と、このヒゲダンスを伝授。今成選手がすぐに音源を調達し、それを練習前に大音量で流した関本選手は大満足。「北條のテーマ曲はこれでいく。もう決めた?俺が変えとく!」と宣言し、本当に差し替えられていて本人もビックリ…といういきさつがあったのです。あの曲が正確には『ヒゲのテーマ』だったというのも改めて知りました。

甲子園で開催されるウエスタン公式戦では今季、すべての試合で選手の登場曲を流すことになっていて、4月15日のソフトバンク2回戦は今季初の甲子園開催。2回の攻撃で、しっかり流れました。お客様の反応がちょっと控えめだったのは残念ですが、1軍にいた関本選手は試合前に伝え聞き「流れたんかっ!」と興奮気味。2回に先制のタイムリー二塁打、7回は “甲子園プロ1号”となるソロを放った北條選手の打席結果に「そらそうやろ!そらそうやろ!」と大喜びだったとか。シーズン終了間際に北条選手は1軍昇格したものの、試合出場がなく『ヒゲのテーマ』も聴けずじまい。来年も継続するのでしょうか。

◆甲子園初、イースタン交流試合

5月31日と6月1日に2日間、甲子園でイースタン・リーグの巨人と交流試合を行いました。31日の観客数は4478人。5月3日のウエスタン・ソフトバンク戦で、2009年以来5年ぶりの3000人超えを記録したんですが、4000人以上となると過去3番目の多さ(2009年9月23日の田中秀太選手引退試合が7054人、同5月5日の広島戦が5754人)です。

これまで毎年のように巨人との交流試合はあったものの、甲子園に迎えるのは初めてのこと。朝6時にはもうお客様が並び、開門時間を繰り上げて対応しました。もちろん巨人ファンの方もかなりの数で、阪神ファンの方によれば「Gギャルたちの応援着がすごかった!」そうです。またスタメン発表は、1軍と同じように大型ビジョンに各選手の写真とプロフィールが映し出され、ちょっとした感動でしたね。ただし選手たちはベンチ裏にいる時間のため見られず。

◆球審の“死球”で…?

5月3日のソフトバンク戦(甲子園)8回表、カニザレス選手の打席でファウルボールが柳内球審の股間を直撃。その時の場内アナウンス「ご覧のような状況ですので、しばらくお待ちください」で大爆笑が起きました。まあ確かに「手当をしていますので」でもないし、見ればわかる状況です。ゲームが再開される時には大きな拍手で、この試合一番の盛り上がりだったかもしれません。なんせ阪神は飯田投手の前に完封負けでしたから。

◆鳴尾浜も初、イースタン楽天戦

6月17日、18日に鳴尾浜でも初めてのイースタン交流戦が開催されました。楽天との対戦も公式戦では初。生の銀次選手が、復帰3戦目となった18日に右中間へホームランを打って小虎ファンの皆さんも大喜びです。ホームランと言えば、同じ試合で一二三選手が決勝の3号2ラン。意外にも、これが鳴尾浜初ホームランだったそうですよ。それと、この2試合は筒井コーチいわく「2014年第5代の4番」を原口選手が務めました。

遠征先でもいろいろ

◆森越が玉ねぎ40キロ獲得

縁あって阪神にやってきた森越選手(もと中日)の入団会見の際にも書いたのですが、5月24日と25日の阪神‐中日戦は淡路島での開催。毎年いくつもの賞が設けられていて、森越選手は1試合目で三塁打(玉ねぎ20キロ)、二塁打(お米10キロ)を含む3安打(玉ねぎ20キロ)の大活躍!玉ねぎは選手寮に、お米は実家に送ったそうです。ちなみに北條選手は2試合で三塁打3本。お米30キロだと言うと「ぶっ!」と吹き出していたのを覚えています。

◆三条で今岡塁審と緒方が体調不良

7月26日と27日に新潟県三条市で行われた中日戦。26日は朝から強烈な日差しが降り注ぎ、うだるような暑さでした。試合は阪神が前半に効率よく得点し、先発の岩貞投手も1安打無失点で5回を終了。グラウンド整備が終わって6回に…と思ったら何だか球場内の動きが慌ただしい。誰か具合が悪くなったようです。試合前から、お客様やスタッフの方がダウンされて救護室は満員という状態でしたもんねえ。

やがて体調不良を訴えて交代したのが一塁塁審の今岡さんと、レフトを守っていた緒方選手だと判明。今岡さんはそのまま病院へ、緒方選手は球場内で安静にして試合後に病院へ行ったとのこと。翌日には2人とも元気な姿を見せてくれましたが、やつれた感は否めません。おそらく熱中症でしょう。大事をとってということだと思いますが、無事で何よりです。しかも地方開催試合には予備審判がなく、27日は2人だけで行われました。この日は雨模様で気温は低くてよかったですね。でも2人では…倍以上の疲れだったかも。

残念なリタイア

◆4月には故障者が10人近く

久保田投手、岩貞投手、松田投手、島本投手、高山選手、黒瀬選手、伊藤隼選手、荒木選手、一二三選手らが4月8日の時点で別メニュー。下旬には森田選手の突き指も。かなりの多さでしたね。

◆終盤に離脱した2人が惜しい

9月12日、紅白戦の前のシートノックで右ひざを痛めた緒方選手。16日に『右ひざ半月板クリーニング術』を受けています。もう一度、1軍へ上がって貢献したいと思っていただけに悔しかったでしょう。でも緒方選手は前向きに捉えました。大学時代に手術をした前十字じん帯とは別の部分ではありますが、右ひざに水が溜まったりしていたそうで、その不安から解き放たれたと。来年の開幕1軍に向けて、このオフもトレーニング中です。

もう1人は横田選手で、9月23日の中日戦(ナゴヤ)を最後に戦列を離れました。シーズン後半に入って先発出場が増え、結果も出てきたところでの腰痛。試合に出続けて、まだ1年目の横田選手は一生懸命ゆえの疲れがあったようですね。当初は腰の張り程度で、フェニックスリーグ参加のため安静にという話だったんですが、やはり無理せずフェニックスにいかず秋季キャンプもメニュー限定。平田監督はじめコーチ陣は非常に残念そうでした。でもしっかり治して、来年は最初から飛ばしていくと話しています。

他に、こんなこともありました

◆4月24日の中日5回戦(甲子園)で柴田選手が9回表にファーストの守備。「中学3年以来ですよ。メッチャ怖い」

◆4月30日の広島6回戦(鳴尾浜)、原口選手が公式戦で初めてファーストを守りました。この時は代打からの守備ですが、6月15日にはファーストで初スタメン。そして8月22日の広島22回戦(由宇)では今季3度目、85日ぶりの公式戦マスクもかぶっています。

◆6月10日の中日戦(ナゴヤ)で、岡崎選手が5月24日の中日戦(淡路)以来、今季2度目の先発マスク。また、キャッチャーでフル出場したのは昨年5月26日のオリックス戦(丹波)以来、実に1年ぶりのこと。

島本投手が支配下選手に。育成ドラフトで入団した高校出の選手、しかも投手の支配下登録は初めてのことでした。一方、内野を守って出場機会を増やし、持ち前の打撃を猛アピールした原口選手は支配下復帰ならず。来年は再び育成選手としてスタートします。また田面投手が育成契約となりました。

白仁田投手のトレード。「驚きながらも、喜ばしいことだと思います。来年は大いに期待」というファンの方がいらっしゃいました。ぜひ先発としてフル回転してほしいですね。

勢関がやってきた。 ある日、大相撲の勢関が鳴尾浜へ観戦に訪れました。私はしっかり確認できなかったのですがスタンドの皆さんはすぐにわかったようで、しばし盛り上がったとか。また来てください!

他にも書ききれないくらいの出来事や、また「あー、あれも忘れていた」と思い出すことも多々ありそうです。でもひとまず終了。年明けには『○○選手に聞いてみました』シリーズも、今のところ2人だけですが書かせていただく予定です。昨年末にスタートしてちょうど1年、ありがとうございました!来年も引き続き、よろしくお願いいたします。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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