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若トラたちの契約更改交渉 in 安芸 その2-野手編

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
残り3日となった阪神タイガースの秋季キャンプ。きょう18日もいいお天気です。

安芸のタイガース秋季キャンプは、きのう17日から最終クールに突入です。朝から雲が多く、時おり小雨がパラつく天気だったものの特に影響はなし。夕方6時過ぎまで、みっちりと練習が行われました。そろそろボールが見えないのでは?と思われる時間まで、メイングラウンドでは特打をやっていたんですよね。さすが鍛えまくりの秋季キャンプです。

その特打をやっていた大和選手と久しぶりに話しました。11月11日にお姉さんのお子さんが生まれ、叔父さんになったばかりの大和選手は「僕が3安打した日です」とニコニコ。そうそう、日米野球の親善試合『阪神・巨人vsMLB』が甲子園で行われ、3打数3安打した日ですよね。「その時のバットと手袋をあげる」と嬉しそうでした。なお、お父さん(おじいちゃん!)は「将来は私が野球の指導に出かけて行く」と張り切っておられます。私も長生きして応援しなくちゃ。

◆野手は↑2人、↓5人、→3人

では16日の契約更改で、きのうの投手編(藤原、山本、岩貞、松田、歳内、岩本、秋山の7人)に続いて、きょうは後半の野手編(清水、小宮山、柴田、田上、荒木、中谷、一二三、小豆畑、西田、陽川の10人)を、交渉順にご紹介します。きのうも書きましたけど、今季の年俸額自体が間違っている選手もいるため、アップやダウンの率が定かではありません。あくまで推定とご理解ください。年数の横の数字は『今季の年俸→来季の年俸』で、繰り返しますが金額(万円)は推定です。

【清水】 8年目 1500→1300

サインは?「しました。ダウンです。少し、まあ少しですね」。話は?「1年ずつが勝負なので、しっかりやってもらわないと、ってことを言われました。チームが勝つためにやっているので、チームの戦力になれるように、と」。悔しいシーズンだった?「そうですね。この1年はそっちの思いが強いですね。試合に出ての責任もあるし、僕が出ることによって迷惑をかけないようにしないと」。来年も開幕マスクを。「開幕は目標ではないですが、春のキャンプからいいものが出せるようにしていきたいです」

バッティングについて「フェニックスリーグで、いろんなことをコーチの方とか掛布さんとかにアドバイスしてもらいながら試しました。ことしは打てなかったんで、何か自分で変えないと。数字であったり、そこに表れない部分も含めて求めていきたい」と言います。15日の紅白戦ではバスターもやりましたね。「今はあの形の方が、自分の中でしっくりきていると言うか。トータルに考えるといいかな」。来年は「試合数というより、来年1軍で結果が出なかったら終わりという気持ちで臨みます」と覚悟のコメント。

【小宮山】 11年目 1400→1280

サインは?「しました。ダウンです」。金額は明言してくれました。球団からはどんな話だったんでしょう?「特に何も…。頑張ってくれと言われました」。こちらからは?「何もないです。1軍に上がっていないので。成績?納得するも何も、試合にも出ていないから」。来年は?「頑張るだけですね」。この秋季キャンプは?「やりたいことはできているかな」。ピッチャーとのコミュニケーションのことを聞かれ「コミュニケーションというか、何を投げてるの?とか、そういう話ですけどね」という答えでした。

【柴田】 6年目 1150→1000

「サインしました。ダウンで」。どんなことを言われた?「出場機会が2011年から段々と減って、チャンスも減っている。少ないチャンスを生かさないともったいない、という話でした」。自分でもそう?「はい。悔しいだけですね」。来年、大和選手が内野へ行くことになればチャンスも。「広がるとは思いますけど、他の選手も同じ気持ちでしょう。その中で争って勝つために、秋季キャンプと12月、1月の自主トレが大事。結果として来年の1軍キャンプにつながるように」

自主トレは?「また青木さん(ロイヤルズ)と一緒にやります。そのあとは関本さんと。青木さんはメジャーのことを含めて、いろんな話を聞かせてもらって取り入れる部分があったので、また聞きたいなと。これから連絡が入ってくると思うので(決まるのは)キャンプが終わってからですね」。試合は見た?「ポストシーズンの試合は全部見ていました。主に見られるのはバッティングだけですが、そこをメインに。いい勉強をさせてもらった。自主トレでバッティングのヒントを得られれば。きっかけを作ってもらって、自分で吸収しないと」

【田上】 5年目 700→1000

サインはした?「はい。少し上がりました」。少し…が気になるますね。今季の分が違っていたかもしれません。でも1軍で51試合というのを踏まえて記者陣が相談し、上記の金額にしました。しつこいようですが推定です。どういう話が?「前半は試合数も増えて、存在感がだいぶ出てきているな、ということでした」。手応えのある1年?「そうですね。今までで一番多く試合に出たので、試合勘というものもわかった。でもこれで満足しちゃいけないんで、来年はもっと」

15日の紅白戦でも足をアピールしましたね。「自分の場合はそこから入っていくことが多いので。それ以外にバッティングも上げていければ試合数も増えてくるんじゃないかなと思います」。日本シリーズも経験した今季で「最後しかベンチ入りはしていませんけど、チームとして日本一になりたかったので、来年はもう一回挑戦できるように頑張ります」とリベンジを誓いました。

【荒木】 4年目 600→700

サインは?「しました」。増減は?「少し上げてもらいました」。どんなことを言われた?「僕の武器である足のことや、来年以降も1軍でポジションを獲れるように、という話をされました」。来年の目標を。「基本的には足からになると思うんですが、打撃と守備を向上させて、誰かのケガで上がるんじゃなく、年間通して必要とされる選手になりたいと思います」

◆早く1軍で活躍したい小虎たち

【中谷】 4年目 580→580

「サインしました。維持、同じです。守備を評価してもらって、バッティングをもっと磨くようにと言われました」。守備について「自信があったわけではないんですけど、最近はやっと自信みたいなものが出てきたので、もっと向上できるようにやっていきたいです」と言っていました。守備もチームにとっては大事なこと。「やりがいがあるし、その1つの枠が空くかどうか決まっているわけじゃないけどチャンスはあると思うので、食い込めるように。どんどんアピールしていきたい」

来年の目標は?「試合に出るだけじゃなく何とか結果を残して、1軍の戦力として使ってもらえるように。そういう選手になりたいです」。もちろん沖縄キャンプへ行って?「そこから始められるように頑張りたいけど、初めはどこであれシーズンで結果を残すだけ。このキャンプは、とりあえず若手らしく声を出して元気にやること。自分が来年に生きるような練習をしていきたいと思っています」

【一二三】 4年目 680→570

サインは?「しました。ちょっとダウンです」。実は今季の年俸が600万円だったらしく、そこから30万円ダウンと明言しました。上記の数字とは違っています。ご了承ください。

球団からの話は?「やっぱりバッティングですかね。2年前(野手転向時)は2割5分を維持していたのに今季は2割を切っていて…今、掛布さんとやっていることがあるんですけど、それを習得してバッティングを頑張ってほしいと言われました」。自分でもそう思った?「それしかないです」。取り組んでいるのはどんなこと?「体のバランス。どうしても上体だけで振ってしまうんですよ。それだとボールとバットのがちょっとでもズレたら空振りしてしまう。下半身がしっかりしていれば、ちゃんと当たる」

確実性を上げる?「でもそれで小さくなって、長所である“遠くへ飛ばすこと”をなくすのはイヤなので。まずそこからですね。手応えはあります」。ファームで3割?「それはもう。はい」。大学を出た同級生が入ってきますが「負けたくないですね!江越(ドラフト3位・駒大)を直接は知らないですけど、同級生で同じ外野手。そら負けられへんでしょ」と話す目は本気でしたね。

【小豆畑】 2年目 800→770

「サインしました。少しダウンです。去年に比べて成績とかは向上していると。来年は今以上に、2年間1軍がないので、上の舞台で頑張ってくれと言われました」。勝負の年になる?「いつが勝負とかでなく毎年、1年1年と思っています。また契約してもらえるということで、来年も大事に過ごしていきたい」。レベルアップするところは?「やはりキャッチャーなので守備はもちろん、バッティングや走塁など野球選手としてトータルのレベルアップをしたいです。そういうとこ上げて行けば1軍で戦う“権利”を得られると思うので」。どういう年にしたい?「結果はこの時期でないとわからないから、目標を追いかけるんじゃなく1日1日取り組んでいけば、結果につながると思います」

【西田】 3年目 600→600

サインは?「しました」。金額は?「一緒です」。どういう会話を?「キャンプはどうやと言われて、自分では鳥谷さんがメジャーへ行くかもしれないので、いつもよりチャンスがあるんじゃないかと思ってやっていると答えました。ショートでいくには守備を安定させないとチャンスがない。このキャンプは守備を重視しようとして入った。守備を意識してやっていると」。それで、どんな風に?「来年、同級生が入ってくるから、先にプロでやっている違いを見せるというか自分の立場を考えてという話も。来年期待しているから、しっかりやってくれと言われました」

今季の反省と、来年に向けての姿勢を「ことしはキャンプからオープン戦と、開幕までずっと1軍にいさせてもらって、いい経験したのにファームであんな結果しか出ず、1軍に1試合も行けなかった。もっといいシーズンにできたんじゃないかと思うことはありますね。毎年、夏に調子を落として同じこと繰り返してる。夏の前に準備していたらそうならなかったと、今しっかりやっています。体重も増えてきたし、同じことを繰り返したくない。チャンスが広がってくると思うので、キャンプからオフのコーチがいない時でも、しっかりやっていきたいです」と表現してます。

【陽川】 1年目 840→840

「サインしました。現状維持です。ことしを振り返って、来年に向けて、という話をいろいろしました」。期待していると?「そういう言葉も。来年は期待しています、と」。どんな1年目だった?「自分が思っていた通りに結果が出ず、プロは厳しいというのを実感した1年でした」。バッティングに関して?「いやもう、すべてです。大卒なので時間がない。自分の中で焦りってにはありますね」

内野のポジションを狙うチャンス。「このキャンプで1軍のスタッフにアピールして、レギュラーを獲れるようにしたい。守備の課題はまだまだあるので、1つずつ克服していきたいです」。キャンプは残り1クールになりましたが、紅白戦がもう一度ありますね。「結果にこだわり過ぎると力みも出てしまう。そこは気にせず、自分の持てる力をしっかり出せれば。何かしら人より目立つことをしてアピールします」。そして「まずは沖縄キャンプに呼ばれるよう頑張りたい」と締めくくった、トリの陽川選手でした。

きのうから最終クールで、最後の20日はおそらくお昼くらいには打ち上げとなるでしょうし、残るは2日ってとこですね。あす19日は紅白戦が行われる予定。沖縄キャンプへの“見極め”が含まれているかもしれません。もちろん鳴尾浜で秋季練習中の選手にもチャンスはあります。すべての選手が、どうか悔いなく今季を締めくくってくれたらと願います。そして来年の今頃は「アップしました!」と笑顔いっぱいの契約更改にしてください。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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