6日の午後、阪神はかねてから名前が挙がっていたファーム新コーチ3人との契約を交わしました。香田勲男さん(巨人、近鉄、2013年から韓国・斗山ベアーズ1軍投手コーチ)が投手コーチ。藤本敦士さん(阪神、ヤクルト、ことしは解説者)が内野守備走塁コーチ。そして濱中治さん(阪神、オリックス、ヤクルト、2012年から解説者)が打撃コーチ。藤本さん、濱中さんはタイガースに復帰ということですね。

これで2015年度のコーチングスタッフが決定し、改めて発表されましたので、ファームの陣容のみ書いておきましょう。現在は侍JAPAN 21U代表監督として台湾へ遠征中の平田ファーム監督は1軍のヘッドコーチに、風岡コーチも1軍の守備走塁コーチに異動となっています。それに伴い、古屋ファーム・チーフ兼打撃コーチがファーム監督、八木打撃コーチが打撃チーフコーチに変わりました。

《2015年度ファーム 監督、コーチ》

※名前左の数字は背番号、右は年齢

◆監督     83 古屋英夫 (59)

◆投手チーフ  88 久保康生 (56)

◆投手     90 香田勲男 (49)

◆打撃チーフ  76 八木 裕 (49)

◆打撃     79 濱中 治 (36)

◆内野守備走塁 96 筒井 壮 (40)

◆内野守備走塁 74 藤本敦士 (37)

◆外野守備走塁 87 中村 豊 (41)

◆バッテリー  81 吉田康夫 (53)

◆GM付育成&打撃コーディネーター 掛布雅之 (59)

香田コーチ「強い選手を育てたい」

記者会見はまず、香田勲男・新投手コーチから行われました。テレビの共同インタビューと、記者による囲み取材のコメントを合わせてご紹介します。今の心境を聞かれ「非常に緊張する雰囲気の中で責任を感じています。いい意味での緊張感です」と答えた香田コーチ。「阪神は歴史と伝統のあるチーム。いつもワクワクしつつ、負けられないという気持ちで戦っていました」と現役時代を振り返り、巨人OBから阪神のコーチへという経緯は「思ってもいなかったのでビックリしました。タイガースというチームのユニホームを着ることは頭の片隅にもなかったので、驚きの方が大きかった」そうですが、「ぜひ来てほしい、若手の育成をしてほしいと言われ、驚きながらもやってみたいという気持ちが沸いた」と決断の理由を説明しています。

就任記者会見で高野球団本部長(左)と握手をする香田コーチ。
就任記者会見で高野球団本部長(左)と握手をする香田コーチ。

若手の育成について「よく見ておく、見てあげるのが大事。教えることは簡単なんですが、そのタイミングが難しい。彼らが何を欲しているのか、教えるのは今、というタイミング。いつもいつも教えすぎてはダメだと思います」とのこと。「先日、侍JAPANと巨人ファームとの強化試合で(ドラフト1位指名の)横山投手を見ました。左ピッチャー独特の、右のインコースに食い込む真っすぐやスライダーなど光るものがあったので楽しみです。球持ちがいいですね。バッターはタイミングを取りづらいんじゃないかな。彼が能見くんのようなフォーク、沈むボールを投げられるようになれば。いい先輩もいるので勉強していってくれたらと思います」。現状の若い投手陣については「フェニックスリーグで対戦した時に秋山くんが投げていましたが、他はまだ見られていません。今後、安芸キャンプや鳴尾浜の秋季練習で情報を入れたいです」と話す香田コーチ。

久保投手チーフコーチとは近鉄時代に一緒でしたね。「私が初めてコーチになった時、一緒に仕事をさせていただいてコーチのノウハウやピッチングのメカニズムなど丁寧に指導してくださって、私のコーチとしてのプロセスになっています。今回もまた勉強をさせてもらうのが楽しみ。今メジャーでやっている岩隈投手も、久保さんに感謝しているところじゃないでしょうか。彼のようなピッチャーを、タイガースで一緒に育てていけたら」。最後に「強い選手を育成したい。日本シリーズでも活躍できるような選手をファームから1軍へ。そういう強い選手を育てていきたい」と意気込みを語って会見は終了しました。

濱中コーチ「力負けしないスイングを」

続いて濱中治・新打撃コーチは「引退してから3年、こんなに早くユニホームを着させていただけるとは思っていませんでした。若い選手を育てていきたい。ワクワクしていますね。まだまだ動ける年齢だし、若い選手と一緒に汗を流して僕も成長していければ」という抱負です。そして「僕もケガで辛い時にファームのコーチに励ましてもらった。たとえばケガをした原口とかが焦る気持ちもわかりますし、何とかしてあげたいと思いました。バッティングコーチではありますが、ケガをした選手へのアドバイスもしていきたい」と話しています。

「自分も明日からバッティング練習しないと」と張り切る、36歳の濱中コーチ。
「自分も明日からバッティング練習しないと」と張り切る、36歳の濱中コーチ。

どんなコーチが目標ですか?「僕がファーム時代にコーチをされていた岡田さんが印象に残っています。教え方も尊敬するところがあった。いいところを伸ばす指導をされたんです。弱点を直すのも必要だけど、いいところをどんどん引き出して、いかに能力として出せるか。そこはコーチの技量だと思う。僕は持ち味が長打だと、振ることの大切さを教えてもらいました。それを自分の中で意識してやった。岡田さんみたいに、いいところを伸ばしてあげるコーチになりたい」

ファームで気になる選手は?「ずっと言っていますけど、中谷ですね。入団した時から注目していました。能力は素晴らしいものがある。そういう意味では一二三、中谷、陽川という右の長距離砲を伸ばしていきたいですね。バッティング練習を見ていると、ソフトバンクやオリックスに比べて力負けしているのが多い。振る力をつけないと。ファームでストレートを捉えられないようでは、1軍はそれ以上に速いストレートがくる。力負けしないスイングをしてほしいなと思います」

さらに「全然振れていないでしょう?ソフトバンクの猪本や牧原はしっかり振っている。柳田のように振る選手を多く作りたいですねえ。練習を見ていても、すごくきれいに打とうとしている選手がいたので。中谷にしても豪快さを見つめ直してほしい。遠くへ飛ばせるのは選ばれた選手なんだから。その意識づけですね。1年間、口を酸っぱくして言っていきたい。振る力をつければスイングスピードも上がりますし。ことしのチーム打率が.244って低すぎる。何とかそこを変えていきたい」と熱く語る濱中コーチでした。

「まだ36歳。自分も体を動かして、バッティング練習して“こうやで”というくらい、一緒に汗を流してやりたい。まずは自分がバッティング練習しないといけないんで(笑)。あしたから鳴尾浜でやらんと。2月には見本を見せられるように。掛布さん、八木コーチともコミュニケーションを大事にしていきたいですね。とにかく1人でも多く右の長距離砲を育てて1軍へ送り出したい」。まだ仕事の関係もあって安芸へはいけないとのこと。今のところの予定では、13日くらいに鳴尾浜で濱中コーチお披露目という段取りになりそうです。

藤本コーチ「鳥谷との差を詰める」

トリは藤本敦士・新内野守備走塁コーチです。ラジオとテレビの収録が長引き、夕方5時を過ぎての会見となりました。まず「タイガースをFAで出て行った自分が、こんなに早くタテジマを着られるとは思ってもいませんでした。引退して、次の目標がプロに限らず“指導者”ということだったので、今回は急な話でしたが快く受けさせていただきました。でもこんなに早く、しかもタテジマを着られるとは…正直ビックリしました」と驚きが一番という今の心境を述べています。

「ビックリしました」と何度も繰り返しながらも、古巣への思いは熱い藤本コーチ。
「ビックリしました」と何度も繰り返しながらも、古巣への思いは熱い藤本コーチ。

阪神の若手内野陣を外から見ていて「鳥谷選手が内野のトップにいて、次の選手までの差がだいぶ空いている。その間を埋めてほしいなと思いました。常に言っていたのは、当たり前のプレーを当たり前にできること。鳥谷は派手ではないけど、しっかりこなす。基本をやらないと原点に戻る場所がないので、そこをしっかりやってほしい」そうです。鳥谷選手がFA宣言して抜ける可能性もありますが。「まあ鳥谷選手に関係なく、1人でも多く甲子園で活躍してくれるのが一番ですね」。名前を挙げると?「北條選手とか。ショートというのは内野の要。守備の力をしっかりつけてほしい」

目指すところは「プロの入って1年目、教えてもらったのはもちろん精神的に支えてもらったのが風岡コーチですね。振り返れば風岡さんは、今の僕くらいの年齢だった。言葉のキャッチボールをよくやってもらいました。それを見習いたい。コミュニケーションをしっかり取って、相談役にもなっていきたい」と言っていました。また、こんな話もしています。「しんどいことから逃げるのは簡単。みんな逃げたいんですよ、バッティング練習のほうがいい。でもヤクルトに行って宮本さんを見たら、壁当てからやっていたんです。しんどいけど、守備にも興味持ってほしい。よく言われますが、打つだけでなく守備で1点を防ぐことも、打点をあげるのと一緒だから」

きょう安芸へ入って、あす8日から新コーチとしての仕事をスタートさせる予定です。ユニホームは?「さっき合わせました。ブカブカです、痩せすぎて(笑)」。タテジマは6年ぶりになりますね。「6年ぶり、ですか。そんなに長いという感じはないので、イメージは沸いています。他のチームへ行ったし1年間現場も離れましたが、タイガースの野球をする環境は非常に素晴らしいと感じた。こんないい環境をぜひ生かしてほしい」とのこと。最後に「1人でも多く、第2の鳥谷じゃないですけど、いい選手を1軍へ送り出したい」と締めくくり。じゃあ第2の藤本は?と聞かれると「僕はいいです」と即答でした。

今成選手、緒方選手の近況

元気にキャッチボールをする今成選手。油断するとこっちへ投げる素振りも(笑)
元気にキャッチボールをする今成選手。油断するとこっちへ投げる素振りも(笑)

最後に、5日の鳴尾浜で会った今成選手と緒方選手の話を少し書いておきましょう。2人はリハビリ中のため、安芸の秋季キャンプには参加せず、鳴尾浜でトレーニングや練習をしています。右わき腹を痛めていた今成選手は、日本シリーズ出場を目指して参加中だったフェニックスリーグの試合で打席に立った時に痛みがあり、鳴尾浜に戻ってリハビリを続けていました。今は仲野トレーナーとキャッチボール、ノック、室内でのマシン打撃などをこなしていて「順調ですよ。今、日本シリーズだったらなあと思うくらい」と笑う今成選手。秋季練習、秋季キャンプにも合流できそうです。

緒方選手は9月12日の紅白戦の試合前練習で右ひざを痛め、同16日に手術をしました。退院後から鳴尾浜でリハビリを行っていますが、先日ようやく松葉づえが取れたとのこと。それに伴い、今月1日からは甲子園球場内にあるプールで水中トレーニングを開始して、5日は3回目だったようです。この日は助けなしに車から降りて歩いていましたよ。仲野トレーナーによれば「普通に歩けますが、ジョグも含め走るのはまだ。室内でのトレーニングのみ」という話です。本人は元気な様子で、写真を撮ってもいいかと尋ねたら「まだ早いですねえ」と笑顔でした。

きょう7日から、1軍の秋季練習が鳴尾浜で始まっています。スタンドでの見学も再開されたようですよ。また安芸で秋季キャンプ中のファームは、きょう7日が韓国・LGツインズとの練習試合で、8日と9日は紅白戦が行われるとか。まだ見に行けないのが残念でなりません。この第2クールが終わると12日に、1軍のコーチ陣と選手何人かが安芸キャンプへ行くので、代わりにファームの監督やコーチ陣と選手何人かが鳴尾浜へ戻ってくるみたいです。場所は変わっても、この秋に何を得られるかが大きな課題である小虎たち。もう春に向けての勝負は始まっています。