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フェニックスリーグで進化した島本投手 体重3キロ増で自己最速の146キロ!《10/25》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

25日から最終クールに入った『みやざきフェニックスリーグ』。阪神は生目の杜第二球場で日本ハムと対戦しました。島本投手と高梨投手の先発で試合が始まり、前半は2人の三振奪取ショー。5回まで島本投手が2安打7三振の無失点。高梨投手も同じく2安打で8三振無失点の投げ合いでした。ちなみに両チームの2安打も、阪神・小宮山投手と日本ハム・松本選手で、これまた全く同じの二塁打と単打の2本ずつ。まさに互角の戦いです。

ところが7回に阪神が3点を先取したあと、9回に田面投手がヒットと四死球などで5点を奪われて逆転負け。ヒットは阪神6本、日本ハム5本、三振は阪神が小宮山選手を除く先発全員の15個(陽川選手が3、北條選手が4…3番と4番で計7三振)、日本ハムは11個でした。

《フェニックスリーグ》10月25日

阪神-日本ハム (生目第二)

日ハム 000 000 005 = 5

阪 神 000 000 300 = 3 ※特別ルール  

◆バッテリー

【阪 神】島本-白仁田-藤原-田面 / 小豆畑

【日ハム】高梨(6回1/3)-金平(1回2/3)-藤岡(1回) / 石川亮

◆二塁打 松本、小宮山、柴田 

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]一:一二三  ( 3-0-0 / 2-1 / 0 / 1 )

2]右:柴田   ( 3-1-0 / 1-0 / 0 / 0 )

〃打右:狩野  ( 1-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

3]遊三二:陽川 ( 4-0-0 / 3-0 / 0 / 0 )

4]二三:北條  ( 4-0-0 / 4-0 / 0 / 0 )

5]中:中谷   ( 3-0-0 / 1-1 / 1 / 0 )

6]三遊:西田  ( 3-0-0 / 2-1 / 0 / 0 )

7]指:小宮山  ( 4-3-0 / 0-0 / 0 / 0 )

8]捕:小豆畑  ( 4-1-1 / 1-0 / 0 / 0 )

9]左:田上   ( 4-1-2 / 1-0 / 0 / 0 )

◆投手 (安-振-球/失-自) 最速キロ

島本  5回 76球 ( 2-7-1 / 0-0 ) 146

白仁田 2回 37球 ( 0-3-1 / 0-0 ) 147

藤原  1回 13球 ( 1-1-0 / 0-0 ) 137

田面  1回 35球 ( 2-0-4 / 5-5 ) 145

前半は三振の奪い合い

5回を投げ2安打7三振無失点の島本投手。
5回を投げ2安打7三振無失点の島本投手。

島本は先頭から連続で空振り三振を奪い三者凡退の立ち上がり。2回1死で谷口を一ゴロエラーで出し、2死後に7番・松本の左翼線二塁打と森本の四球で満塁としますが、石川亮を見逃し三振!3回はフライ3つの三者凡退、4回は5番・谷口を見逃し、続く杉谷は空振りの連続三振などで三者凡退でした。5回は先頭の松本に左前打されたものの、小豆畑が盗塁を刺して3人で片づけ予定イニング終了。5回2安打7三振1四球の無失点です。6回は白仁田が1番からを、なんと3者連続三振!7回は1つ四球があっただけ。2回を投げて無安打無失点。

こちらの打線は1回、2回と2三振ずつで三者凡退。3回は先頭の小宮山が中前打するも後続を断たれて得点なし。4回はまた三者凡退でした。5回は2死から小宮山が三塁線を破る二塁打を放ちますが無得点。6回は一二三の四球と柴田の左越え二塁で無死二、三塁と大きなチャンス!しかし陽川と北條が連続三振…。ここまでで早くも2ケタ、11三振を喫しています。

お互いに四球絡みでの失点

7回無死満塁で先制タイムリーの小豆畑選手。
7回無死満塁で先制タイムリーの小豆畑選手。

ようやく7回にゲームが動きました。中谷が四球と盗塁、西田も四球、小宮山がまたしても左前打を放って無死満塁。小豆畑の左前タイムリーでまず1点!なおも無死満塁で田上が中前タイムリー、これで2人が生還します。一二三は右邪飛に倒れたところでピッチャーが金平に交代。1死一、二塁で柴田の代打・狩野は左飛、陽川は三振ですが、この回連続四球と3連打で3点を先取しました。

8回は藤原が、石川亮に中前打を許しただけで、あとはしっかり抑えて無失点。その裏の攻撃は三者凡退で、3対0のまま最終回へ入り、27日の最終戦で先発予定の田面が9回のマウンドへ上がります。先頭の2番・渡辺に中前打され、暴投で二塁へ。石川慎と谷口は連続四球で満塁として、続く杉谷には死球…押し出しで1点返されました。なおも無死満塁、続く松本が右前タイムリーで2点追加。ついに同点です。

一、三塁となり暴投で杉谷が生還して勝ち越し、松本も三塁まで進みます。森本には四球で、次の石川亮の投ゴロで田面は一塁へ送球して、もう1点。5点を取られ、それでも何とか切り替えた田面は岸里を二ゴロ、渡辺は中飛に打ち取って投げ終えました。打線は8回に続き、9回も三者凡退に片づけられて試合終了。

島本、3kg増えて2km/hアップ

前回、18日の巨人戦(サンマリン)では4回パーフェクトだった島本投手。今回は5イニングを投げて2安打無失点でした。「久保コーチにも最近フォーム的なことをアドバイスしてもらって、それができたのがよかったのかなと思います。横振りにならず、縦に振っていけるように。どうしても力むと横振りになってしまうところがあるので。フェニックスが始まる前に言われていて鳴尾浜でやってきたんです。18日の登板ではまだ完ぺきではなかったけど」。でも今回は手応えがあった?「はい、きょうはシックリきました。変化球も真っすぐも、何かつかんだというか。もっといいフォームで投げられたらいいなと思う」

この日で宮崎を離れた島本投手。途中参加のフェニックスながら、最高のアピールです。
この日で宮崎を離れた島本投手。途中参加のフェニックスながら、最高のアピールです。

最速が146キロだったそうですね。自己最速を更新?「はい。今までが144キロなんで。体重が増えたのと、フォーム意識したのと両方で速くなったかも」。おお!体重が増えましたか。「宮崎に来る前が67キロくらいで、今は70キロちょいあります。こっちきて増えた」。3キロも?それは頑張りましたねえ。1日5食くらい、一生懸命食べていたそうですよ。70キロを超えたのは人生初じゃないですか?

「体重が増えるとスピードが上がるって、みんなに言われていたことを、きょう実感しました」と嬉しそう。今月初めにはまだ、フェニックスリーグに参加できるかさえ分かず浮かない表情だったのに、よかったですね。「ほんま来れないと思ってました。前日に“あしたから行くぞ”って言われて」。でも鳴尾浜でしっかり練習をしていたからこその好投でしょう。「秋季キャンプ、頑張ります!まずは支配下選手にならないと」。いろんな人にナイスピッチ!と声をかけてもらった島本投手。こぼれる笑顔のままで、一足先に帰阪するため球場をあとにしました。

平田監督「島本、素晴らしい!」

平田監督も「島本、素晴らしい!体も大きくなってきたし、球も力強くなってきたねえ。フェニックスに来て、さらによくなったよね。中継ぎとか先発とか色々やらしたけど、先発の方がええんかなあ。秋季キャンプで鍛え甲斐があるよ」と大絶賛です。

久保投手コーチによれば「コントロールしようとすると横振りになる。ボールを見ようと、視線を平行にしたら腕は横にしか振れないんだよね。前回もやろうとしているのは見えたけど、まだだった。でも、きょうはできていたね!今朝、外野で“キャッチボールしてください”と言ってきて、そこでも説明した。それでなおハッキリわかったのかも。秋季キャンプに向けて、いい収穫。一度覚えると。オフになっても思い出せるから」とのこと。

続けて久保コーチは田面投手について「彼ははまだ、できていないなあ。伊藤和もそうだったが、コントロールに不安のある人はそういう傾向になりやすい。きょう5点取られてから、それでも持ち直したでしょ?試合後に話をしたんだが、ふと戻せる習慣がある。それがどこにあったか、わかっているなら早く戻せるよう練習からやっておけばいい。27日の先発?予定通りするよ。うまくいかなくても今はいいんだから」と話しました。崩れ始めた時に早く修正できることができれば、大きな自信になりますね。

右、左、中へ3安打の小宮山

試合後の小宮山選手。八木コーチのアドバイスに「いいことを聞けた」と3安打
試合後の小宮山選手。八木コーチのアドバイスに「いいことを聞けた」と3安打

3打席連続安打の小宮山選手は「試合前に八木コーチと話をして、アドバイスしてもらいました。考え方というか、方向性みたいなもの」と言います。それがヒントになった?「そうですね。いいことを聞けたなと思いました」。では八木打撃コーチにも聞いてみましょう。「ホームランを打ちたいとか、長打が欲しいとか、それは結果論であって、練習からそれを目指していくのはどうなんだと。ルーキーではないので、小宮山くらいになると確実性であったり、ヒットでなくてもどういうとこで打つか。ベンチの評価が変わる。そういう話をしましたよ」

平田監督に言わせれば「あれくらい打って当然ちゅうことよ」という小宮山選手。日本シリーズの舞台には立てませんでしたが、来年は背番号39のリベンジを期待しています。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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