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阪神・北條が決勝打、計13奪三振で完封リレーの投手陣!フェニックスリーグ

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
平田監督をして「打つと思わせる打者になった」と言わしめる、決勝打の北條選手。

きのう19日の『みやざきフェニックスリーグ』、阪神はSOKKENスタジアムで日本ハムと対戦しました。宮崎市清武町の清武総合運動公園野球場がリニューアルされ、球場名は公募で清武出身の江戸時代の儒学者・安井息軒さんのお名前がついたとか。周囲はまだ工事中でしたが、スタンドもきれいになって(屋根がないのは暑い時に辛いかも…)気分一新ですね。

日ハムの石川亮捕手。帝京の先輩・原口選手とはプロに入って初対面だそうです。
日ハムの石川亮捕手。帝京の先輩・原口選手とはプロに入って初対面だそうです。
試合前に古巣・日本ハムの人たちと笑顔で話をする今成選手。
試合前に古巣・日本ハムの人たちと笑顔で話をする今成選手。

対戦相手は、本来なら9日に一度やっているはずが中止で、これが今回初顔合わせとなる日本ハム。帝京高校出身の松本選手と石川亮選手が、早々に先輩・原口選手のところへ挨拶に来たみたいです。石川慎選手は、中学や高校時代からの顔なじみである一二三選手(1つ上)、西田選手(同い年)、北條選手(1つ下)がいて非常に楽しそうでした。また今成選手にとっては古巣。練習後に三塁側ベンチ前でいろんな人と話す姿が見られ、石川慎選手には「絶対、サードへ打つなよ」と脅して?大笑い。

試合は岩本投手と金平投手の先発で始まり、無得点のまま終盤へ。7回に作った満塁のチャンスで北條選手がタイムリーを放ち、これをリリーフ陣が守って逃げ切りました。投手陣は安定していますねえ。私が見た、この3試合で失点は18日の1点だけ。被安打は計13本、与四球は計1個、そして奪三振が計36個(14個、9個、13個)です。奪三振率はもう驚くばかりですが、四球の少なさも素晴らしい。これはここ3試合だけの数字なので、終わったらまた計算しなくちゃいけませんね。ちょっと楽しみになりました。

《フェニックスリーグ》10月19日

阪神-日本ハム (SOKKENスタジアム)

日ハム 000 000 000 = 0

阪 神 000 000 10X = 1 ※特別ルール  

◆バッテリー

【阪 神】岩本-二神-玉置-小嶋 / 小豆畑

【日ハム】金平(5回)-屋宜(1回)-斉藤勝(1回)-大塚(1回) / 石川亮

◆二塁打 森本 

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]二三:北條  (3-1-1 / 0-1 / 1 / 0)

2]中:一二三  (3-1-0 / 1-1 / 0 / 0)

3]三:今成   (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃指一:小宮山 (1-0-0 / 0-1 / 0 / 0)

4]遊二:陽川  (4-1-0 / 1-0 / 1 / 0)

5]右:中谷   (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0)

6]指一指:清水 (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0)

7]捕:小豆畑  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

8]一遊:西田  (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

9]左:柴田   (2-1-0 / 0-1 / 0 / 0)

◆投手 (安-振-球/失-自) 最速キロ

岩本 5回 74球 ( 4-5-0 / 0-0 ) 143

二神 2回 30球 ( 2-5-0 / 0-0 ) 142

玉置 1回 21球 ( 1-0-0 / 0-0 ) 141

小嶋 1回 14球 ( 0-3-0 / 0-0 ) 146

両チームとも散発安打で計1点のみ

岩本は1回、2番の渡辺に中前打された以外をすべて三振に切って取る立ち上がり。2回は森本の中前打などで2死三塁としますが、宇佐美を空振り三振。3回は2死から渡辺に内野安打(セカンドベースに当たる)を許しただけ。4回も右前打された5番・松本を自身の牽制で刺し、3人で片付けました。5回は7球で三者凡退です!

一方、こちらの打線も日本ハムの金平を打ち崩せず、5回まで無得点。1回は一二三が四球、2回は先頭の中谷が左前打しだけ。3回は柴田がショート内野安打(捕球は前進してきたレフト)のあと盗塁失敗。続く北條が四球と盗塁を決めたものの、2死後に今成の左前打で本塁憤死。4回は4番からの3人が連続三振を喫し、5回も先頭・小豆畑がセカンドのエラーで出ましたが後が続きません。

岩本に続き、2人目は二神。6回は連続三振のあと岡の代打・石川慎に右前打されますが、次の北を左邪飛。7回は先頭の松本に中前打と盗塁を許しながらも後続を3者連続三振!2イニングを投げ、5奪三振で無失点です。

打線は6回に一二三と陽川が右前打を放ちますが得点なし。ようやく7回、清水が四球を選び、1死後に西田の右前打(捕球体制に入った北が落球…)、柴田の四球で満塁として北條が左前タイムリー!なおも1死満塁で一二三は三ゴロ、バックホームされて一塁へ転送、併殺で1点止まりでした。

8回表は玉置が、先頭・石川亮の打球を右腰に当てながら続投。2死を取ったあと渡辺に右前打されますが、石川慎は三ゴロで0点。北條、ナイスフィールディングです。その裏、四球で出た小宮山が陽川の三ゴロで封殺。陽川は盗塁を決めるも後続を断たれて追加点なし。

9回は小嶋。まず北をスライダーで空振り三振。松本は真っすぐ勝負で見逃し三振。そして森本も、最後は146キロの直球で空振り三振!見事な3者連続三振で締めくくり、1点を守りきって試合終了です。

平田監督「打たれる気がせん」

試合後の平田監督。「岩本は最速が143キロ?球の力も出てきた。ヒットは4本かな?いつもヒットがイニング数より多いからなあ。ずっとピッチングはいいな。安定してるよ。打たれる気がせん。二神や玉置、小嶋あたりは当然やけど、最後の小嶋なんかもう、あの三振!今はスライダーでストライク取ることを課題として取り組んでる。しかし右打者に対して見事だよ。精度を上げれば十分戦力になるよ。日本シリーズの(出場登録)40人枠、どこにどうチャンスがあるかわからない」

前回同様、5回無失点の岩本投手。写真は18日のキャッチボールイベントのものです。
前回同様、5回無失点の岩本投手。写真は18日のキャッチボールイベントのものです。

フェニックスリーグ2度目の先発、岩本投手は「両サイドをしっかりつけたところが、前よりよかった」と振り返りました。球の強さも出てきたという平田監督の言葉に「そうですか?だったら、よかったです」と笑顔。2種類のカーブ(100キロ未満のものと110キロちょいのもの)が有効だったのでは?「うーん、それは特に。自分のピッチングの中にカーブが、ただあるというだけです」

好投が続いている要因を「いい感じでバッターと勝負できているかなと思います」と話した岩本投手。ヒットを許しても、そのあと要所を締めているので、不安を感じないと伝えたら「でもヒットを打たれすぎているので、そこがまず課題ですね」とのこと。最後に、これを維持していく?と尋ねられ「いえ、レベルアップ。(維持ではなく)それ以上です!」と断言しました。

小嶋投手は「前に比べたらよかったですね」という感想。前回17日の楽天戦も、振り逃げを狙った打者をキャッチャー小豆畑選手の悪送球で残してしまったために3者凡退ではないものの、結果は3奪三振。でも確かに、今回の3者連続三振での試合終了は圧巻でしたね。しかも4番からの3人。「真っすぐはずっと安定しているので、スライダーなどの変化球を課題にしてやっています。そこをもっと」。もっと、ですか?「今はまだ2割くらいですよ」と貪欲に取り組んでいます。もちろん、ファームの打者を抑えることが小嶋投手の指名ではありませんからね。

これも18日のイベントで撮影した写真です。9回を3連続三振で締めました!
これも18日のイベントで撮影した写真です。9回を3連続三振で締めました!

ここ一番で打つ打者でありたい

そして7回1死満塁で決勝タイムリーの北條選手。平田監督は「いいねえ。凡打の内容もいいもん!打ちよるわ、と思うもん。そのくらいになってきてるよね、今は。(3打席目の)センターフライも、もうちょっとって感じだったし。守備もあちこちやらせていて、1軍に行くならファーストも、と思ってる」と、その成長ぶりに声を弾ませました。

本人は「ここ最近あまり打っていなかったので、打ててよかった」という第一声。いやいや、打っていないという印象はないですよねえ。10日の韓国LG戦(練習試合)で3安打。11日のヤクルト戦と14日の楽天戦、15日の韓国ハンファ戦は1安打ずつ。16日のDeNA戦と18日の巨人戦は2安打。ノーヒットは途中出場の7日、他に8日と10日と17日だけ。それにノーヒットでも、今季の公式戦でリーグ最多だった四球はキッチリ選んでいます。さすが。

つまりは、こういうことですね。「ここ一番で打つことが大事だと思うので、これからもチャンスで打っていきたい」。日本シリーズ出場可能な40人枠には、おそらく推薦されるであろう北條選手。レギュラーシーズンは最後の最後に昇格を果たし、残念ながら出場機会なく終わったけれど、もしかすると…?なんて期待が膨らみます。

試合後の守備練習にて西田選手(左)と北條選手。姿勢が兄弟のように揃っています。
試合後の守備練習にて西田選手(左)と北條選手。姿勢が兄弟のように揃っています。
同じくノックを受ける2人。これまた同じポーズで、仲良く泥んこですね。
同じくノックを受ける2人。これまた同じポーズで、仲良く泥んこですね。

そうそう、試合後の練習で西田選手北條選手が、一緒に筒井守備走塁コーチのノックを受けました。筒井コーチがまた盛り上げてくれるので目が離せません。受けている2人はもう、この写真のようにヘロヘロです。泥だらけの2ショットが、まるで打ち合わせたようにシンクロしていたので撮影。

それと練習の最後は陽川選手のバッティングでした。打撃投手を務めたのは平田監督です。ラスト1球で、おそらく「放り込んだら終わり」になったと思われますが失敗。仕切り直しのラストで快音を響かせた打球は全員が見守る中、レフトポール際へ。ポールを巻くか?いや、切れたか…惜しい!と思ったところに平田監督の「入った、入った」で終了。でも気持ちのいい当たりで締めくくれたので、残り6試合の陽川選手も楽しみです。

19日の練習を締めくくるホームラン(判定はファウルかも)を放った陽川選手。
19日の練習を締めくくるホームラン(判定はファウルかも)を放った陽川選手。

きょう20日は練習試合もなく、台風で急きょ休日となった13日を除いて、阪神はフェニックスリーグ唯一のお休み。午後には毎年恒例の『暴力団排除対策講習会』が全12チームの選手参加で行われますが、それ以外の時間はみんな積極的休養に努めていることでしょう。そして、あす21日から梅野選手、俊介選手、田上選手、荒木選手、伊藤隼選手の5人と岩崎投手が参戦するそうで、必然的に少なくなる出場機会を最大限生かさねばなりません。でも逆にチャンスでもありますね。頑張れ、小虎!負けるな、小虎!

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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