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シーズン終盤、いい記録も悪い記録も続出の阪神ファーム

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
10日に行われたウエスタン・オリックス戦のスコアボード。いろんな記録がここに…

11日には1軍が巨人に3タテを食らってしまい、それも甲子園では15年ぶりの屈辱とかで…今季ワーストの6連敗を喫した阪神タイガース。ファームの方も、ことしは特に8月以降で“何年ぶり”や“今季初”という記録が多いですね。いいものもあれば、およそ四半世紀ぶりという悪いものも含めて。

8月1日に今季リーグ最長の4時間48分という試合がありました。ウエスタン・リーグが延長10回制になった1999年以降では最長の記録。延長15回の試合を入れると5時間13分だそうですけど。また8月20日にチーム2年4ヶ月ぶりの7連敗を喫したと思ったら、27日には9連敗!データが残っている1991年以降では初(1971年に12連敗という記録はあり)なので、この24年間の阪神ファームにおいてワーストとなりました。

9月に入って遅まきながら広島に今季初の連勝、そして3連勝…ってあまり喜んでいられませんね。そのあとオリックスにも2つ勝って現在は6月以来、今季3度目の5連勝中。その5勝目の試合が10日に行われたオリックス戦(神戸サブ)で、今季最多の20安打で13点を取って圧勝!きのう記事をアップするはずが…パソコンの不具合で断念してしまいました。すみません。でも、その間に丸一日以上かけて資料と格闘、何とか探し出しましたよ!『毎回安打』『20安打』『6イニング連続得点』という記録。

毎回の20安打は5年ぶり

毎回安打はことし6月25日に8回で達成していて、2009年4月22日の中日戦(ナゴヤ)で毎回の22安打を放って以来。この時は9回です。坂が5安打(二塁打3本)3打点、林威助は3安打2打点、6番の浅井が2ランを含む3安打5打点など、打ちまくって14得点。余談ですが中日の投手陣は山本昌(5回)、河原、小林正、高島、岩田。阪神は小嶋、ジェン、金村大、桟原、リーソップ、横山で、こちらも11安打されています。

なお10日に阪神が記録した20安打も、この2009年4月22日の22安打以来。それ以降は昨年が19安打、2012年が17安打、2011年は16安打、2010年が18安打でした。ちなみに、その中で“先発、もしくは先発野手全員安打”というのは2010年9月8日に18安打した時だけなんですね。2009年4月22日も、大和を除く先発野手全員によるヒット。でも大和は2番で3四球に2盗塁と持ち味を発揮しました。

そして今回、10日のオリックス戦も全部で15人が出場して13人がヒット。ノーヒットだったのはスタメンの田上(2四球)と緒方のみ。つまり代打出場した6人は全員ヒットを放ったということですね。高山、原口、陽川、小豆畑が代打で出た打席で、中谷と阪口は2打席目で打ちました。この点について平田監督も「競争させているからね。大差がついた場面でも必死だよ」と高く評価しています。

7年ぶりの6イニング連続得点

もうひとつの、1回から6回まで6イニング連続得点。毎回安打や全員安打は、どこか1イニングだけ、また誰か1人だけノーヒットいう惜しい試合がいくつもあったんですけど、さすがに連続得点は4イニング止まりがほとんど。ようやく2008年に初回から5イニング連続で得点した試合を発見しました。7月22日、またナゴヤの中日戦です!この日は阪神13安打、中日14安打、8対6で阪神の勝ち。

その前の2007年は開幕直後の3月31日に毎回安打、4月8日は先発投手の上園も打って先発全員安打を達成するなど、前年にファーム日本一となった阪神は春先から打線好調。そして5月15日に、初回から6イニング連続得点を挙げています!これがまた中日戦、おまけにナゴヤ球場なんですねえ。相手投手は中里、石川、S・ラミレス。1回から5点、2点、1点、2点、1点、2点と、16安打で13点を取りました。でも7回から3イニングは石井と斉藤の前に無安打無失点。こちらは上園(5回6安打4失点)、江草、太陽、相木です。

また余談ですが、庄田、喜田、野原が2安打、高橋勇、桜井、浅井が3安打。中でも1番の高橋勇は二塁打、2試合連続のホームラン、三塁打と絶好調!あとシングル1本でサイクル安打達成だったものの4打席目が四球、最後は空振り三振に倒れ「僕らしいでしょ(笑)」と笑っていました。桜井も三塁打、四球、二塁打、左前打で、あとホームランが出ればサイクルのところ最後は空振り三振。すみません、昔話になってしまいました。

そんな2007年5月15日以来の『6イニング連続得点』を、10日に記録した阪神ファーム。この試合は1回が森田の2点タイムリー二塁打。2回は西岡の1号3ラン。3回は森田の左前打、西田が四球で清水と横田が連続タイムリー。4回は2死満塁から西田の二塁打で2点、さらに清水のタイムリー内野安打とサード奥浪の送球エラーで2点。5回には代打・陽川の二塁打と北條の二塁打で1点。6回にも代打の小豆畑と原口がヒットを放ち、中谷がタイムリー。

試合終了時の選手たち。左の2人、中谷選手(左)と西田選手の動きが変?
試合終了時の選手たち。左の2人、中谷選手(左)と西田選手の動きが変?

6回までに16安打で13点を取り、7回以降もヒットが出て毎回の20安打!ただし7回以降は無得点です。なお投手陣も藤原(1ポイントで与四球)以外の6人全員が計10安打。ちなみにウエスタンの連続得点記録は、中日の『8イニング』だそうです。とりあえず参考までに、試合結果と成績も載せておきます。

《ウエスタン公式戦》9月10日

オリックス-阪神 25回戦 (神戸第二)

阪神 232 411 000 =13

オリ 000 013 000 = 4

◆バッテリー

【阪神】二神-榎田-松田-久保田-藤原-西村-○白仁田(3勝2敗) / 清水-小豆畑(6回~)

【オリ】●森本(1勝6敗)(2回)-柴田(1回)-大山(1回)-小松(1回)-海田(2回)-桑原(1回)-八木(1回) / 若月

◆本塁打 西岡1号3ラン(森本)

◆二塁打 阪神:森田、西田、陽川、北條2、中谷 オリ:若月、原大

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]指:西岡   (3-2-3 / 0-0 / 0 / 0) .294

〃打指:高山  (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .243

〃打指:原口  (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .272

2]左:田上   (1-0-0 / 0-2 / 0 / 0) .217

〃打左右:中谷 (3-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .187

3]二左:荒木  (5-1-1 / 1-1 / 0 / 0) .249

4]一:森田   (3-2-2 / 0-0 / 0 / 0) .277

〃打一:阪口  (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .248

5]右:緒方   (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .302

〃打二:阪口  (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .256

6]遊:北條   (5-2-1 / 1-1 / 0 / 0) .252

7]三:西田   (4-2-2 / 0-2 / 0 / 0) .232

8]捕:清水   (2-2-2 / 0-0 / 0 / 0) .222

〃打捕:小豆畑 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .279

9]中:横田   (4-2-1 / 1-1 / 0 / 0) .214

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

二神   4回 43球 (1-3-0 / 0-0 / 2.02)

榎田   1回 29球 (3-1-1 / 1-1 / 1.71)

松田   1回 36球 (2-0-2 / 3-3 / 9.26)

久保田  1回 22球 (2-1-0 / 0-0 / 6.00)

藤原  0.0回 5球 (0-0-1 / 0-0 / 3.48)

西村   1回 26球 (1-2-1 / 0-0 / 4.88)

白仁田  1回 20球 (1-2-0 / 0-0 / 4.78)

二神○、榎田と松田は△

今さらではありますが、選手のコメントもご紹介していいですか?4イニングを投げ若月選手の右前打のみで、他は完璧に抑えた二神投手。「前々回と前回が良くなかったけど、きょうは良い部分が出たかなと思います。早めに追い込んで勝負できました。テンポよく、四球も出さずに投げられた。前回からの修正?ブルペンで課題を持って真っすぐを投げたこと。真っすぐの強さを磨くというところです。これを続けてアピールしていきたい」

平田監督は「二神の4イニングは予定通り。あれくらいのピッチングをするんだよな。テンポもいいし。0点でと言ったら、きっちり0点に抑えてくる。中継ぎはみんな打たれとる、榎田も松田も。CSや終盤もあるし、もうちょっと精度を上げていかないとな」と話しました。

榎田投手は「連打は悪い面ですが、そのあと併殺を取りたいところで低めに投げて取れたから、課題としている部分はよかったですね。この前より、やりたいことができたということも。点を取られたとこ(若月選手の左翼線タイムリー二塁打)は、追い込むまではよかったけど、もう少ししっかりいかないと」。良い、悪いが半々といった感じです。

松田投手は2安打2四球で、暴投もあり3失点。「全然ダメでした。ランナーを出してはいけないところで四球を出してしまった。ストライクを投げて打たれたし…ダメでしたねえ。次はしっかり抑えられるよう頑張ります」と反省のみ。西村投手は藤原投手の四球のあと登板して、四球と連続三振に続き、丸毛選手の中前打で満塁としながら無失点。「打者2人目から行くのは決まっていました。0点だったのはいいけど、“よし”と言えないでしょう。四球がダメですね」

西田「マシになってきた」

1回の先制タイムリー二塁打を含む2安打の森田選手は「振り遅れたけど、たまたまいきましたね」と、二塁打を振り返ります。7日の広島戦でも2ラン、二塁打など3安打4打点でしたが「いや~まだまだ全然」と納得はいかない様子。

横田選手は5試合連続安打。この日も3回の右前タイムリーなどマルチで「2本とも追い込まれていて、これまでだったら三振しているところです。打ててよかった。打率?あんまり興味ないですけど」と囲み取材では答えたそうですが、試合後に会った時は「きょう打率どうなってますか?」と私は聞かれましたよ、はい(笑)。

そういえばフレッシュオールスターで、初レフトの横田選手を気遣ってくれていたオリックスの武田選手。先月31日の中日戦(姫路)で3本塁打に「横田の3発、エグイですねえ!」と目を丸くしていました。同い年の奥浪選手にも感想を聞きたかったのですが、ケージの中で打っている最中だったので断念。26日に聞いてみます。ライバル意識、むき出しかも。

唐突にオリックス武田選手の写真も。試合後の特打中だけど、北川コーチに笑わされた?
唐突にオリックス武田選手の写真も。試合後の特打中だけど、北川コーチに笑わされた?

また西田選手は、久しぶりに「やったでー」という顔で歩いてきます。2打席連続四球のあと左翼線へタイムリー二塁打!7回に放った左前打はバットの運びが技ありで、これぞ“西田直斗”のヒットでした。「追い込まれていたので、バーンといきたいけど欲張ったらあかんと思って。バッティング、マシになってきた」。ホッとしたようです。

スタメンを外れたり、出番さえない試合もあった最近。試合後に室内練習場で打ちこむ姿をよく見ました。「今まで、タイミングが遅れていたと思います。早ければいいってもんでもなく、ちょうどいいところでないと。ヒットが出ているので、このままいければいいですね」。そしてバスに向かいながら「(2本とも)左ピッチャーから打ったんで、よかったー!最高ですね!」と泥だらけのユニホーム姿でニコニコ。写真を撮れなくて残念なくらい、ええ顔でした。

以上が10日に行われたオリックス戦での話です。次の公式戦は17日の広島戦(鳴尾浜)、以降は22日からの中日2連戦(ナゴヤ)、追加発表された26日のオリックス戦(鳴尾浜)、最後が29日と30日のソフトバンク戦(雁の巣)となります。試合のない時は紅白戦が行われるんでしょうね。きのう12日に続いて、あさって14日も実施の予定だそうです。一二三選手が復帰したと聞きました。楽しみですね。

しかし…楽しみではない出来事が紅白戦であったみたいで。緒方選手が紅白戦前のノック中に右ひざを痛め、病院へ行ったそうです。まだ続報はありません。もしかすると西田選手も左わき腹を?とのことで、心配ですね。大事でないことを祈りつつ、詳しくはまた様子を見て、聞いてからお伝えします。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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