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一二三慎太、今季1号は甲子園初アーチ!「高3の夏とおんなじとこへ飛んだ」

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
今季1号ソロを放った一二三選手。4年前を思い出しながら一周したんでしょうか。

一二三選手ファンの皆様、記事のアップが遅くなってすみません。待ちに待った甲子園でのホームランが出たのに…本当にごめんなさい!高校3年以来の1発は、あの夏と同じレフトスタンドに飛び込みました。「高校時代はバッティング練習をしたことがない」という“一二三投手”の、それとは違う感触が木のバットに残っているかもしれませんね。試合は、またしても少ない得点ですが投手陣の踏ん張りで中日に連勝です。

《ウエスタン公式戦》4月23日

阪神-中日 4回戦 (甲子園)

中日 000 000 100 = 1

阪神 001 001 00X = 2

◆バッテリー

【阪神】○秋山(2勝2敗)-小嶋-高宮-S玉置(7S) / 小宮山

【中日】●小川(2勝1敗)(5回)-パヤノ(1回)-武藤(1回)-濱田(1回) / 赤田

◆本塁打 一二三1号ソロ(小川)=3回

◆二塁打 堂上剛2、狩野

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]一:中谷  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .159

2]二:西田  (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .164

3]中:狩野  (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .211

〃走中:緒方 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .294

4]右:伊藤隼 (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .292

5]指:原口  (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .188

〃打指:柴田 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .225

6]捕:小宮山 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .188

7]左:一二三 (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .167

8]三:陽川  (2-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .172

9]遊:北條  (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .132

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

秋山 6.1回 123球 (7-8-3 / 1-1 / 2.13) 142

小嶋 0.2回 10球 (0-0-0 / 0-0 / 7.56) 141

高宮  1回   17球 (1-0-0 / 0-0 / 0.00) 142

玉置  1回   16球 (1-2-0 / 0-0 / 3.60) 142

3回に先頭の一二三がレフトへの今季1号で先制。6回は中日2人目のパヤノに対し、2死から狩野が三塁線を破る二塁打を放ち、続く伊藤隼が左前タイムリー!ただし7-2-3と渡ったボールで伊藤隼はアウトになってしまいました。他は1回に西田がショート内野安打、5回に陽川が右前打、7回に小宮山が右前打。全部で6安打です。

先発した秋山投手。登場曲『ガッチャマン』を、そろそろナイターで聴きたいですね。
先発した秋山投手。登場曲『ガッチャマン』を、そろそろナイターで聴きたいですね。

秋山は3回までヒットや四球で走者を出しながら無失点。4回は三者凡退。5回は先頭の岩崎に11球粘られて四球を与えるも、小宮山が盗塁阻止。そのあと内野安打は打たれますが後続を断って、6回は三者凡退でした。ところが7回、連打で無死二、岩崎の三塁となり岩崎に右前タイムリー。赤田は四球で無死満塁とした秋山ですが松井佑は空振り三振!ここで小嶋に交代。

小嶋が遊ゴロ2つで片づけ、8回は高宮が中tの右前打を許したものの無失点。最後はもちろん玉置です。まず岩崎はスライダーで空振り三振、赤田の打球はセカンド内野安打となりますが松井佑は一邪飛、溝脇はチェンジアップで空振り三振。またしても僅差のゲームをものにしました。

緊張感のある試合でレベルアップ

平田監督は「3点打線と言ってたら今度は2点やで」と口をとがらせながらも「毎日いい緊張感だな。守りにも執念が出てきた。その中で一二三のホームランとか、隼太のタイムリーが効くやん。小嶋も素晴らしい。先発で腕の振りがよくなかったから、短いイニングでしっかり振らせようと久保コーチの提案でやって、何かつかみかけてる。ずっといいよ、小島も高宮も。玉置の1球1球とかね。1軍の代わりはいくらでもいるよ」と満足な部分も多かった様子です。

次に先発の秋山投手について「決着がつかなくて球数が多くなる。もうちょっと決め球の制精度を上げてほしい。きょうはフォークの調子がよくなかったかな。途中からカーブを使い出した。カットボールを狙い打たれている。よくなってきたけどな。きょうはあえて120球投げさせた。最後は松井からよく三振取ったよ。あそこまでや。でもよくなってるよ。ウイニングショットだな」と平田監督。

いいきっかけになる1発

掛布DCは一二三選手のホームランを振り返って「今、上体の力を抜いて下半身の体重移動を意識しながらバッティングしろと言ってるんだけど、その感覚で打てたかな。下が回って上がついてきた感じ。それより次のライトフライの内容がよかった。何かきっかけになればいい。つかまないと意味のないホームランになってしまうから。前に出ようとする気持ちが強い選手だけに、いい時期にいい答えを出してくれた。楽しみですね」と話しています。

そして「力を抜いて打たせたかったから、ヘッドの重みで打てるよう」少し長めのバットを薦めた掛布DC。「33.5インチを使っていたけど、34インチに変えるって言ってたんだよ。きょうは3.5だった?4だった?」と通りかかった一二三選手に確認。「4です」という答えに「ありがと!」と笑顔いっぱいでした。「きょうはチェンジアップを打った。あとはストレートだね。きょうのホームランもいいんだけど、本当はあれを泳がされながら打てれば完ぺき。真っすぐも差し込まれずに打てる。ただホームランが出たから、それを言えるんだよね」とのこと。

また北條選手が打席で少々“動きすぎる”点も、既に助言済みだとか。掛布DCに「あしたはこうやってワンステップしてから打席に入ろうよ」と、ひげダンスの動きを見せられた北條選手は「はい!」と即答。え、ほんとにやるの?「ここまできたら、やれるでしょ。もう」。スタンドの皆さんも、しっかり手拍子をお願いします。

一二三「めっちゃ気持ちよかった!」

一二三選手のコメントもご紹介しなくちゃいけませんね。長く話したのは久しぶりでした。「外のチェンジアップがたまたま中に入ってきてくれたので。きょうはバッティング練習で全然やったけど、打席に入ったら(ファウルで)振れてるなと思ったんです。あーいけそうかなと。でも、また外のチェンジアップで泳がされたら…と考えながら準備していたとこで中へ来た」。一二三選手はアウトコースの変化球が苦手ですからね。

ベンチの前で祝福を受ける一二三選手。まさに頭を叩こうとしているのは狩野選手です。
ベンチの前で祝福を受ける一二三選手。まさに頭を叩こうとしているのは狩野選手です。

打ったのはレフトスタンド。打球が伸びていく方へ顔を向けた時に「これ、おんなじや!」と思ったそうです。高校3年夏の大会でも「ほんま同じ、GEORGIAのとこ」に飛んだというホームラン。ただし「あの時はお客さんがいっぱいいたので」と。そうですね、ファームでは内野しかお客様がおられないので、かなり景色が違いますね。そりゃもう1軍で打つしかないでしょう。

次の右飛がいいと監督や掛布DC。「ホームラン打ったあとやから強引にいかんとこと思って打って、逆方向に。間を抜けるかな~と思ったけど風が…風が…」。かなり強い風がライトからレフトに吹いていましたね。でもホームランはきれいに乗っていったでしょう?「ホームランは助けてくれたけど。次はあの風がもう!風が…」。何度も繰り返しながら、向かってくる風を身振り手振りで表現します。

長くしたバットについては「持った感じがちょっと長いなって感じで、振りにくくはない」そうです。最後に「ホームラン久しぶりなんで、めっちゃ気持ちいいですね!」と笑顔を見せた一二三選手。「あしたこそ打ちたいっすねえ」とニヤリ。

早く自分の形を…と秋山

7回途中で降板した秋山投手は「変化球、カットボールの抜けが多かった。ヒジの位置が低いんだと思います。5回以降はちょっとリリースポイントが高く、角度のつく感じも増えてきた。練習から意識して、次は最初からいけるようにしたい」と言います。カットボールを猛省していた前回と比べて「前よりはいいものが出てきたので、ヒジを下げないよう取り組んでいきたい」とのこと。

また「6回は抑えたけど7回は踏ん張れなかった。左打者が多いと、向こうもカットボールを警戒しているので、そこは他の球種を使いながら勝負できるようにしないと」と課題を挙げています。1軍の入れ替えについて「このままではチャンスもないし同じような結果になるので、早く自分の形を出せるようにしたい」と次回に結果を求めたい秋山投手です。

小嶋は中継ぎでまだ無失点

1死満塁でリリーフした小嶋投手は「ピンチだけど1死だったので、何とか抑えたいと。あそこで使ってもらえているわけだから、何とかしたいという気持ち」でマウンドに向かったそうです。「感じは悪くないです。めちゃくちゃ良いとは言わないですけど、でも安定している」。左打者2人を遊ゴロに仕留めましたね。「三振か併殺が一番理想ですけど、内野ゴロなのでよかった」

今月16日のソフトバンク戦から、リリーフで3連投と2連投。5試合すべて無失点です。「先発の時は先のことを考えすぎていたかなと思いますね。球数とか、その打者の次の打席のこととかいろいろ考えたりして。中継ぎでは1イニングずつ、1人ずつ全力で抑える感じで投げているのが今はいい方向にいっている。しっかり腕を振っていけています」

お客様から「おお~」と歓声が上がったお出迎え。左から渡辺、榎田、横田、緒方の4選手。
お客様から「おお~」と歓声が上がったお出迎え。左から渡辺、榎田、横田、緒方の4選手。

最後に、23日の開門時お出迎えは渡辺投手、榎田投手、緒方選手、横田選手となかなか豪華な顔ぶれでした。先輩に囲まれ、横田選手はまた戸惑いの表情だったかも。それから先発出場していない森田選手ですが、少し前に打球が当たって右手人差し指を突き指したそうです。打席にも立ってはいますけど、まだフル出場は無理なんでしょう。23日も試合後は早めに引き揚げました。甲子園での1発は次の機会になるますかね。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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