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今季初の完封負けでも、2戦連続マルチで全試合出塁を続ける北條

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

甲子園球場でオープン戦、鳴尾浜球場でファーム教育リーグが行われた9日は、日差しに少しホッコリしたといっても風はまだ冷たかったですね。甲子園の巨人戦開始前には毎年恒例の新入団選手紹介が行われ、ルーキー5人(先発だった岩崎投手は投球練習中で整列せず)をはじめ呉投手、吉見投手、鶴岡選手、ゴメス選手がグラウンドで挨拶しました。終わったあとは梅野選手のように甲子園のベンチに残った選手もいれば、鳴尾浜へ戻ってきた選手も。ここは負けん気が刺激されるところでしょう。

鳴尾浜の中日戦は先発が能見で、藤原、吉見、渡辺という投手リレー。一方、甲子園の巨人戦は岩崎が先発して金田、伊藤和、岩本が投げています。負けがついた岩崎投手も3回までは0点に抑えていたし、伊藤和投手は2イニングで5奪三振!しっかり足跡を残してきました。巨人打線と相対したことも大きな経験ですね。

教育リーグは上本選手と緒方選手が初参戦し、2打席に立っています。また清水選手、荒木選手、森田選手も途中で甲子園へ移動しました。試合は能見投手が1回に2失点、以降はほぼ完ぺきに抑えた投手陣ですが…残念ながら今季初の完封負け。2時間28分の戦いを終えたあと、グラウンドと室内で約2時間みっちりと打撃練習を行いました。

《春季教育リーグ》3月9日

阪神-中日(鳴尾浜)

中日 200 000 000 = 2

阪神 000 000 000 = 0

◆バッテリー

【阪神】能見-藤原-吉見-渡辺 / 清水-小宮山(5回表~)-原口(8回表)-小豆畑(9回表)

【中日】若松(5回)-川崎(3回)-福谷(1回) / 杉山-桂(9回裏)

◆打撃(打数-安打-打点/三振-四死球/盗塁/失策)

1]二:上本   ( 1-0-0 / 1-1 / 0 / 0 )

〃遊三:阪口  ( 2-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

2]三:荒木   ( 2-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

〃三一:黒瀬  ( 2-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

3]中:緒方   ( 2-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

〃中:横田   ( 2-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

4]左:一二三  ( 4-0-0 / 2-0 / 0 / 0 )

5]一:森田   ( 2-1-0 / 1-0 / 0 / 0 )

〃三遊:陽川  ( 2-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

6]右:中谷   ( 4-1-0 / 1-0 / 0 / 0 )

7]捕:清水   ( 1-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

〃捕:小宮山  ( 2-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

〃捕:原口   ( 0-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

〃捕:小豆畑  ( 0-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

8]遊二:北條  ( 3-2-0 / 0-0 / 1 / 0 )

9]指:高山   ( 2-1-0 / 1-0 / 0 / 0 )

〃打指:田上  ( 1-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

◆投手(安打-三振-四死球/失点-自責)

能見  4回 62球 ( 4-4-1 / 2-2 )

藤原  3回 35球 ( 0-2-0 / 0-0 )

吉見  1回 11球 ( 0-0-0 / 0-0 )

渡辺  1回 21球 ( 1-1-0 / 0-0 )

まず1回、能見は大島の中前打と堂上直の左前打などで2死一、三塁として、5番・松井佑の右前タイムリー、続く赤坂の左前タイムリーで2点を失います。2回は1死球のみ、3回と4回は三者凡退で予定の4イニングを投げ終えました。5回からは藤原、小宮山のバッテリーが3イニングを完ぺきに抑えると、8回は吉見と原口で三者凡退!9回は渡辺と小豆畑が組み、1死後に中田のサード内野安打(阪口からの送球を受けたファースト黒瀬の足が離れたもよう)と盗塁はあったものの後続を断ち無失点。つまり2回の死球以降、9回の内野安打が出るまでパーフエクトだったわけです。

打線は1回、左前打した荒木が盗塁死、上本と緒方は空振り三振でした。2回は森田と清水にヒットが出るも無得点。5回に北條と高山が連打して1死一、三塁(北條ナイスラン)、さらに暴投で二、三塁としますが途中出場の阪口と黒瀬が倒れて得点なし。7回も先頭の中谷が3試合ぶりのヒットとなる右前打を放つも、小宮山は二ゴロ併殺打…。続く北條が中前打し、初級で盗塁も決めましたが代打・田上の左飛で0点。8回は6球であっさり三者凡退。9回は福谷の前に一二三が見逃し三振、陽川は右飛、中谷が空振り三振で試合終了。

2試合連続マルチの北條

この中日2連戦で1点しか取れない打線の中、その1点を挙げた北條選手は2試合連続で唯一のマルチヒットでした。1軍の練習試合は別として、今季ファームで出場した10試合のうち7試合でヒット。その7試合中5試合はタイムリー、4試合で2安打ずつ放っています。おまけにヒットのなかった3試合も四球を選んでいるので、全試合出塁中。現在の打率は33打数11安打6打点で.333です。

「シーズンに入って打たれへんかったらどうしょう」と笑う北條選手。「今の形をしっかり維持して崩さずに振っていけたら。意識しているのはトップの位置を変えないこと。打つ瞬間に無駄な動きが入り、作ったトップが変わって打てなかったので、そこを忘れずにやりたい」。今はいい形で打てている?「だと思うんですけど、ちょっとスタンスが広くなってインコースの球とか打席の中で体を動かしたりしている。速い球に差し込まれるので動かないようにしないと」。あとは前日の話と同じく「初球の速い球を見逃さないよう、打席に入る前からよく見て。何も考えずにいくと手が出ない。追い込まれたらしんどくなるので」と言います。でも2打席目は2ストライクからの左前打でしたよ。

パーフェクトリリーフの藤原、吉見

次に藤原投手。3イニングを完ぺきに抑えながら「まだマシかな。よかった方ですね」との第一声。納得はしていない?「欲を言えば、おこがましいんですけど」と前置きしてから「3イニング目の最後のボール」と話し出しました。2球で追い込んで「3球目、小宮山さんは“ちゃんと決めに来いよ”という意味で真っすぐのサインを出したのに…真ん中に入ってしまった」。なるほど、1軍では命取りになるかもしれないってことでしょうね。「よかったのは、ツーボールになったあとファウルなどでカウントを戻すことができた点」だそうです。また「チェンジアップは今、自信を持って右左関係なく投げられている。それを生かすためにもインコースの速い球を投げられたらと思うので、もっともっと練習していきたい」と言っていました。先発でも中継ぎでも、そしてショートとロングどちらも対応できる藤原投手ですから、きっと1軍の戦力として働くシーズンになると思います。

吉見投手は「まあまあ前よりよかった」と登板を振り返りました。球も低めに集まっていた?「上にいくよりは抑えた方がいいので。だいぶ試合の体になってきましたね。試合数を重ねていって、もっとよくしていきたい。ただ、まあ3月の中頃だしね。周りが早いと焦ったりもするけど、その中で自分のペースでできています」。当初の予定通り進んでいる?「そうですね。計画通りです」

白仁田は復帰間近?松田と岩貞は?

右手指の違和感で離脱していた白仁田投手が、先週のフリー打撃に続き先日はシート打撃でも登板。もうすぐ試合もいけますかね。いい笑顔でした。それにしても顔がグッと精悍になったような。痩せた?「はい、ちょっと減っています」。ことしはワイルド王子でいきましょうか!右ひじ痛でリハビリ中の松田投手はまだキャッチボールを再開していませんが、表情は明るいですね。ルーキー・岩貞投手も左ひじの疲労により別メニューとなっていて、本格的なキャッチボールはまだ。でも本人は「もう投げられると思う」と言っていたので、そろそろ次の段階へ進めるかもしれません。

焦りはあるかと聞かれ「きょうの岩崎を見て、ちょっと焦りましたねえ」と口で言いながら何だか嬉しそうにも見えますよ。新入団選手紹介のあと「鳴尾浜に戻って3回までテレビで見ていました。よかったですよね。でも僕が“見守る”のを止めたら、打たれたみたいで」と岩貞投手。ライバルだけど同期としての思いもあるのでしょう。これから競い合い、高めあい、良きライバルとして虎投の軸になっていってください。

10日は月曜日ですが鳴尾浜での練習は行われ、次のお休み…ではなく“自主練習日”は13日の予定です。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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