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阪神鳴尾浜球場での今季初実戦、ファーム教育リーグは白星スタート

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

1日の鳴尾浜はどんよりとした曇り空。ことしの本拠地初ゲームだったのに、途中からは雨が絶え間なく降る最悪のコンディションでした。沖縄キャンプ組から中谷選手が4番で、また第2クール途中から沖縄へ行った黒瀬選手も7番でフル出場しています。安芸キャンプ組からは坂選手、一二三選手、北條選手が高知で行われているプレシーズンマッチに帯同。なおルーキー横田選手は卒業式のため欠席でしたが、2日から出場する予定です。

試合は荒木選手を除く先発全員が11安打を放つも、11三振。こちらの3投手も10奪三振、3安打1失点に抑えて勝利しました。

《春季教育リーグ》3月1日

阪神-オリックス(鳴尾浜)

オリ 000 000 100 = 1

阪神 200 101 000 = 4

※特別ルール 9回裏まで

◆バッテリー

【阪神】榎田-渡辺-吉見-伊藤和 / 日高-岡崎(6回)-原口(7回~)-小豆畑(9回)

【オリ】佐藤峻(4回)-古川(2回)-榊原(3回) / 伏見-若月(7回~)

◆本塁打

【阪神】黒瀬ソロ(4回:佐藤峻)

【オリ】伏見ソロ(7回:吉見)

◆二塁打

【阪神】中谷(1回)、黒瀬、陽川(6回) 

◆打撃(打数-安打-打点/三振-四死球/盗塁/失策)

1]二:荒木   ( 5-0-0 / 3-0 / 0 / 0 )

2]三:関本   ( 3-2-0 / 1-0 / 0 / 0 )

〃走遊三:阪口 ( 2-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

3]右:狩野   ( 2-1-0 / 1-0 / 0 / 0 )

〃走右:田上  ( 1-0-0 / 0-0 / 1 / 0 )

4]中:中谷   ( 4-1-0 / 1-0 / 0 / 0 )

5]捕:日高   ( 3-1-2 / 1-0 / 0 / 0 )

〃指捕:小豆畑 ( 0-0-0 / 0-1 / 0 / 0 )

6]左:高山   ( 4-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

7]遊一:黒瀬  ( 3-2-1 / 1-1 / 0 / 0 )

8]指捕:岡崎  ( 2-1-0 / 1-0 / 0 / 0 )

〃打捕指:原口 ( 2-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

9]一三遊:陽川 ( 4-1-1 / 2-0 / 0 / 0 )

◆投手(安打-三振-四死球/失点-自責)最速

榎田  3回 33球 ( 1-2-0 / 0-0 ) 135キロ

渡辺  2回 36球 ( 1-2-1 / 0-0 ) 139キロ

吉見  2回 32球 ( 1-1-1 / 1-1 ) 138キロ

伊藤和 2回 40球 ( 0-5-1 / 0-0 ) 146キロ

日高が先制打、伊藤和が4連続三振締め

まず1回、関本の中前打などで2死一塁となり中谷がレフトフェンス直撃の二塁打!これで1点…ではなく二、三塁。続く日高が左前打を放ち2者生還です。2回から3回にかけてオリックス先発の佐藤峻に4連続三振を奪われるも、狩野が左前打して代走・田上の盗塁。この回は追加点なく終わりますが、4回には1死から黒瀬がレフトへソロホームラン!

5回は先頭の関本が左前打、代走の阪口が犠打で二塁へ進み、さらに暴投で三塁へ。いいスタートでした。しかし4番、5番の連続三振で無得点。6回に黒瀬の左中間二塁打で2死二塁として、ルーキー陽川が左中間へタイムリー二塁打!なお三塁まで必死に走った(途中コケそうになりながら)陽川ですが三塁でタッチアウト。7回は阪口の左前打、8回は小豆畑の死球や高山の中前打で無死一、二塁とチャンスを作ったものの、黒瀬はバント失敗の末に空振り三振。原口も捕邪飛で0点です。

投手陣は榎田が1回にショート内野安打を許しただけで3イニング無失点。ついで渡辺が4回は2奪三振の三者凡退、5回にショート内野安打と死球などで2死三塁としますが無失点。3人目の吉見は6回を1四球のみで0点に抑えながら、7回の先頭・伏見にレフトへホームランを打たれ1点返されました。

最後は伊藤和。8回は2死から1四球を与えただけで、2イニングを投げて5奪三振!雨の降りしきる中、9回は圧巻の3三振!8回からの4者連続三振で締めくくっています。

「和雄は見事!」と指揮官

鳴尾浜での今季初実戦となるウエスタン教育リーグ初戦を終え、平田監督は「和雄は見事や!四球なんか、こちらの指示だからね。ストライクが入らなくて出したんじゃない。四球になってもいいから三振を取りにいけって言ったくらいだよ」と、キャンプに引き続き素晴らしい内容で結果を残している、伊藤和投手を大絶賛でした。

「中谷の4番は、そこを打たせている意図を感じてくれないと。自覚を持ってもらうため。一二三と勝負、いや一二三と勝負していたらアカンな。宜野座組だからね」とのこと。また、タイムリー二塁打を放った陽川選手の話になると「普通なら2打席で交代や!見逃し三振、見逃し三振って。3打席目(タイムリー)はないんだよ。阪口らの姿勢を見てほしい」と、少々ご立腹です。

フェアゾーンへの打球はゼロ

では選手のコメントです。伊藤和投手は雨の中を神妙な顔で戻ってきましたが、ナイスピッチング!の声にちょっと頬が緩みます。「ボールから始まることが多かったので、しっかりストライクが入るようにしないと。そこが反省点」。マウンドに上がって最初の打者(8回、9番・東選手)は、フルカウントからサインに首を振り、インローの直球で見逃し三振を奪いました。「真っすぐは今、一番自信のある球。先頭に四球はイヤだったので。内へ抜け気味だったけど、たまたまいいところへいってくれた」と苦笑い。

8回2死一塁で宮崎選手から空振り三振、そして9回は深江選手を「抜けスラ」で見逃し三振。若月選手は空振り三振。チェンジアップかフォークに見えましたが、タテのスライダーだそうです。最後は中村を見逃し三振と4者連続!結局、8回の西川に左邪飛があっただけ。つまりフェアゾーンに打球は飛んでいません。「しっかり腕を振って投げられているので、高めにいってもファウルが取れると思う。これからも続けていきたい。あとは変化球でカウントを取れるように」。目指すところは1軍ですから、とにかく早い時期での支配下復帰に向け、これからも腕を振っていきます。

ホームランよりバント失敗を反省

黒瀬選手に近づいていくと「僕ですか?何もないでしょう」と去りかけるので「ホームランのことなんぞ伺おうかな」と言ったら「あ、そっちですか。バント失敗じゃなく」と苦笑。それはおいおいということで。「正直、実戦の打席にあまり立てていなくて、とりあえずドンドン打ちにいきたいという気持ちだった。最初に四球を選んだので、そこからよく見えましたね。ホームランはあんまり打たないから、打った感じはそんなに…」

かなり悩みながら「よく出る方じゃないので無心というか、うまく反応した感じです。打てる球が来たので打ったと。次の二塁打の方が、ちゃんと振れていましたね」と黒瀬選手。そしてバント失敗には「僕がもし1軍に行ったらバントはあること。もっと精度を上げないとダメですね。決めなきゃいけないところだった」と猛省。その1軍に「いつでも呼ばれるよう準備をしっかり!」と気を引き締めます。

中谷「もう一度オープン戦へ」

中谷選手は、1打席目の二塁打を「真っすぐの中でスライダーをうまくとらえられたので、よかったと思います」と振り返りました。前日、掛布DCと左腕の使い方を練習していて「試合の中で意識した部分はあったんですけど、相手ピッチャーもいるので」とのこと。あとの3打席は捕邪飛、空振り三振、中飛。でも「自分の中で、やりたいことはできたからよかったと思う」と言っています。だいぶ話が進んでから「久しぶりっすね」と言われました(笑)。ほんと久しぶり。でもオープン戦に行きましょう。「そうですね。もう1回行かないと。結果だけ残して!」

陽川は初タイムリー!しかし…

最後は陽川選手です。実戦初長打、初打点となったタイムリー二塁打に「満足はしていないです。2打席続けて三振だったし、3打席目は気持ち的にもいっぱいいっぱいでした。正直いって余裕なかったんですけどバットを短く持って何も考えずに、でも粘って打てた。チェンジアップの抜けたボールだったと思います」と言っていました。三塁まで走ったのは「自分の判断」だそうです。「自分の判断もあったけど、ランナーコーチを見てしまって。あとで“見なくていい”と聞きました。二塁を回ってから足がもつれたのは、走り込みが足らんということでしょう」。やっぱり、もつれていたんですね。

プロ初のショート守備も打球は飛んで来ずじまいですが「高校と、大学4年の春にやっていて経験ゼロではないので、普通にできると思います」とのこと。鳴尾浜での試合が初めてだった陽川選手は「(お客様の)声がめっちゃ聞こえた」と笑っていました。これからもっと激しくなるかも。「ヤジとかは慣れているので大丈夫です!」と言ってはいますが…皆さま、どうぞお手柔らかに。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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