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安芸キャンプ最後の練習試合 9回2アウトから追いついて引き分けに

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

25日は安芸キャンプ最後の練習試合が行われました。相手は、毎年この時期に対戦する四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドックス。高知の弘田澄男監督や吉田豊彦投手コーチがタイガースOBということもあり、試合前からあちこちで帽子を取ってお辞儀する姿を見ました。この日は新旧OB会長の安藤統男さん、川藤幸三さんがお揃いで、さらに挨拶の場面も多かったのでしょう。

安芸特有の強い日差しの中、試合は9回裏2死満塁で北條選手が同点のタイムリー!惜しくもサヨナラの走者は阻まれたけれど、土壇場の追い上げにお客様も大喜びでした。

《安芸キャンプ練習試合》 25日

阪神-高知FD(安芸)

高知 002 100 000 = 3

阪神 000 020 001 = 3

※特別ルール ※9回引き分け

◆バッテリー

【阪神】安藤-加藤-伊東和-渡辺 / 日高-原口(7回)-小豆畑(8回~)

【高知】ホルベ(3回)-松本(2回)-山中(1回)-雄晴(1回)-航大(1回)-ゲレロ(1回) / 夏山

◆本塁打 なし

◆三塁打【高知】河田(4回)

◆二塁打 なし 

◆打撃(打数-安打-打点/三振-四死球/盗塁/失策)

1]二:坂    ( 2-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

〃二三:荒木  ( 2-2-2 / 0-1 / 0 / 0 )

2]遊二遊:北條 ( 5-1-1 / 1-0 / 0 / 1 )

3]三:関本   ( 2-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

〃一遊三:阪口 ( 1-0-0 / 0-1 / 0 / 0 )

4]左:一二三  ( 4-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

5]捕:日高   ( 3-1-0 / 1-0 / 0 / 0 )

〃指捕:小豆畑 ( 1-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

6]右:狩野   ( 2-2-0 / 0-0 / 0 / 0 )

〃指捕指:原口 ( 1-1-0 / 0-1 / 0 / 0 )

7]指:高山   ( 2-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

〃右:田上   ( 1-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

8]中:横田   ( 4-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

9]一三二:陽川 ( 2-1-0 / 0-2 / 0 / 0 )

◆投手(安打-三振-四死球/失点-自責)最速

安藤  2回 21球 ( 0-2-0 / 0-0 ) 140キロ

加藤  2回 35球 ( 4-1-0 / 3-2 ) 140キロ

伊藤和 3回 32球 ( 0-2-0 / 0-0 ) 144キロ

渡辺  2回 32球 ( 0-1-2 / 0-0 ) 139キロ

今季初実戦の安藤は2回を完ぺきに抑え、試運転終了。おなじく初登板の加藤は先頭にヒットを浴び、バントの打球を加藤が二塁へ悪送球、さらにバントヒットで無死満塁として遊ゴロ2つで2点を失います。4回も先頭に“左前”三塁打(レフトの一二三が突っ込んでグラブを出すも触れずに後逸)、1死後にタイムリー内野安打。2イニングで3失点(自責は2)でした。しかし5回から3イニングを投げた伊藤和はチェンジアップで2三振を奪い、他はすべて内野ゴロという快投!6回2死から北條の捕球エラーで走者を出し盗塁も許しましたが、自身のけん制で刺してスリーアウト。野手をも救っています。締めは渡辺。2四球はあったものの2イニングを無安打無失点です。

打線は4回まで狩野の中前打だけ。3対0とリードされた5回、日高と狩野の連打で無死一、二塁とするも高山と横田がフライアウトに倒れてしまったため2死。陽川の四球で満塁となり、荒木が右前に2点タイムリー!7回は中前打の原口を田上が送って1死二塁。横田は空振り三振で2死となりますが、陽川が中前打、荒木は四球で2死満塁。北條は空振り三振で3者残塁でした。8回は先頭の阪口が死球で出るも1死後にけん制死…。小豆畑は空振り三振、3人で終了しています。

9回は原口が四球を選び、1死後に横田の二ゴロで走者が入れ替わり、陽川は四球。続く荒木の打球が遊ゴロと思いきや、猛スピードで一塁を駆け抜けた荒木の勝ち!内野安打となって2死満塁です。そして北條が1ボールからの2球目を力いっぱい弾き返して中前タイムリー!横田が還り同点、ついで陽川が戻ってきた時には8-6-2と渡ったボールが…。結果はアウト。サヨナラ価勝ちはなりませんでした。

平田監督のいいね!伊藤和、狩野、荒木

平田監督はまず「安藤も加藤も渡辺も順調」と言ったあと「(伊藤)和雄はいいねえ!きょうはチェンジアップも、課題の変化球も思うように投げられていた。この1か月、和雄はかなり手応え感じるピッチングをてくれた」と、伊藤和投手の頑張りを高く評価しています。このキャンプ、投手陣で目立ったのは?の問いに「“いわざき、かずお”だな。といったって1人じゃないよ」と。監督、さすがです。

北條選手について「あそこでヒットはなかなか打てんで。勝負強さが出てきた。(4番の)一二三と代わるか?って言うたんや」と、これまた一二三選手と北條選手の両方をうまく発奮させる狙いですかね。現に試合後、その話をしていた2人…監督の思うツボかも。また初めてセカンドを守った陽川選手には「パンチ力が魅力だから。大学でセカンドもやったというし、何でも出るチャンスはあった方がいい」とのこと。

ついで狩野選手と荒木選手の話です。「狩野は素晴らしいな!右投手(との対戦)はきょうが初めてだったけど、関係ないね。もともと実力者だから。結果も残していいキャンプ過ごせたんじゃないかな。試してほしいよな、狩野も。推薦の一番手でしょう。荒木はずっといいよ。あのくらいは普通。足は一級品だから。真っすぐにはめっぽう強く、変化球が課題だったけど、力をつけてきている」。きょうはこのくらいで、キャンプ総括や今後のことなど監督の話はまたご紹介します。

選手コメント 自己分析や反省など

北條選手に「最後、よく打ったねえ!」と言うと「はい。でも5の1ですよ。掛布さんに言われたノルマは3試合で12の5。結果は13の4でした。僕の負け」と、そこが悔しかったみたいです。4打席凡退し、しかも7回は2死満塁で空振り三振。「やってしまいました。初球のスライダーを振りにいかなかったところで、もうダメだったと思います。最後は、チャンスで回ってきたのが3度目だったんで…」。ええかげん打たないと?「はい。そういう感じですね」。ちなみに一二三選手は「掛布さんからのノルマが12の4で、結果は12の2。負け」だそうです。

エラーのことも聞いたのですが、その前に2試合連続のけん制死で反省しきりの阪口投手に、遠慮しながら「けん制、来ると思ってた?」と聞き「…ちょっと」という返事。すると田上選手が「きょうは哲をそっとしといてあげてください。哲はね、失敗したくてしたわけじゃないんです」と、とっても真面目な顔を作って諭すように言いました。そして北條選手にも「あのショートゴロエラー」と聞きかけた時、また運良く(悪く?)田上選手が戻ってきていて「北條はね、エラーしようと思ってしたわけじゃないんですよ」と。しかし、それより先に北條選手が「あれは」と説明し始めたので笑ってしまいました。

「あれは、こう左に動いて、それはよかったんですけど足が伸びてしまったんです。もっと腰を落としてグラブを地面につけていれば捕れたのに」と動きもつけてくれる北條選手。だからグラブの下を抜けていってしまったわけですね。もちろん大いなる反省を踏まえての言葉で、今後の課題にも守備を挙げています。

5回には2死満塁で初球を打って2点タイムリー、7回は四球を選んで満塁とし、そして9回2死一、二塁から足でチャンスを拡大した内野安打と“らしさ”全開だった荒木選手。タイムリーは「完全に狙っていました。ストライク近辺の真っすぐですね」とのこと。監督が荒木はいいねえとぜっさんですよ。「結構このキャンプは力を入れてきたつもりなので、最後のゲームですけど結果として出たのはよかったと思います」。開幕までに1軍のチャンスがありそうですね。「わからないですけど、チャンスもらえたら、結果を出すしかない」。きっと出せるでしょう。

次に1安打2四球に、初セカンドの陽川選手です。7回1死二塁でのヒットについて「あの場面で、前の横田が三振をして、初球からいこうと狙っていました。ストライクが来たらいこうと。内よりの真っすぐで、多少つまったけどうまくさばけたと思います。体が反応してくれたという感じ」と振り返ります。セカンドの守備は「大学1年夏から2年秋まで約1年やっていて、それ以来ですが違和感なくできました。捕りやすいバウンドだったのでよかった」と、少しホッとした表情です。

それにしても試合中、陽川選手の声がよく聞こえますねえ。「はい!出ていないと言われないように心掛けています」。キャンプ途中で監督から怒られこともあり、常に気をつけているとか。油断は禁物です。引き続き頑張ってください。

最後に伊藤和投手のコメントをご紹介しましょう。まず「きょうはよかったです!」と、やはり無安打ながら反省の言葉のみだった前回とは打って変わって、この日は笑顔が満開でした。「前は変化球がダメだったけど、きょうはチェンジアップで三振を取ろうと思っていって、狙い通り取れたのでよかったです」。ここからさらにレベルアップするのは?「真っすぐはいい感じなので、もっともっと変化球で腕が振れて、カウントを取ったりできればいいかなと思います」

26日でキャンプは打ち上げ。そのあとは27日がお休み…ではなく自主練習日で、28日は10時から鳴尾浜で練習です。3月1日以降、1軍のオープン戦に合流する選手がいれば、逆に沖縄組から鳴尾浜でのファーム教育リーグに出場する選手もいます。沖縄も安芸も最後の練習試合を見ての判断ということでしたので、もう決まっているのでしょうね。とはいえ開幕までに巻き返すチャンスあり!戦いはこれからです。

なお1か月近く閉まっていた鳴尾浜のスタンドも、28日から見学可能になります。キャンプの成果を見に、ぜひいらしてください。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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