AV出演強要「性行為強要する契約は無効と法律に明記を」 シンポジウムに超党派議員も出席

シンポジウムに登壇する出席者

■超党派で取り組む姿勢

NPO法人ヒューマンライツ・ナウ(HRN)がアダルトビデオ(AV)強要被害に関する調査報告書を出してから約1年となる3月2日。東京・永田町の参議院会館で、被害根絶を目指す院内シンポジウムが行われた。

シンポジウムには、公明党の佐々木さやか参議院議員、民進党の中川正春衆議院議員、共産党の池内さおり衆議院議員ら超党派の議員が出席。昨年12月に公明党が立ち上げた「AV出演強要問題対策プロジェクトチーム」で座長を務める佐々木議員が「意志に反してアダルトビデオに出演を強要するのは人権侵害。対策、支援窓口が必要。党内でどのようなことができるのかを検討している」と話した。

民進党の中川議員は、過去に関連省庁で議論されてこなかった問題であることに触れ、「議員立法を土台にしながら」具体的な法律の改正などを行っていきたい考えを示唆。自由党の森ゆうこ参議院議員は、「こういう問題に関しては超党派で取り組んで法整備につなげたい」と話した。

■2016年には100件の相談

シンポジウムでは、人身取引被害者サポートセンター「ライトハウス」の藤原志帆子代表が、被害相談は増え続けており、2016年には100件の相談があったことを報告。18~25歳の女性が多く、女性が約95%、男性が約5%。最近起きた被害のほか5~10年前の被害を訴える人もいて、相談は北海道、大阪、福岡など日本全国から寄せられていると話した。

藤原代表の後に発言したのは、強要被害を実名で告発したYoutuberのくるみんアロマさん。HRNの事務局長を務める伊藤和子弁護士の問いかけに対し、所属していた事務所で再三にわたってAV出演の説得が行われ、その説得方法は「洗脳」のようだったと振り返った。

「『AV女優は今芸能界で一番すごいんだよ』『(AVをやりたくないというのは)職業差別だよね? ゴミ屋さんは汚いって言ってるのと同じだよ』『時代は変わったから、AV出演した人がその後で歌ったり踊ったり(歌手として活動したり)するのが主流だし、そういう時代になっていくよ』。こんな説得をとにかく長い期間にわたって受けました。後ろからどんどん人が出てきて、多いときは10人以上で説得に入って、やるしかない状況になってしまいました」(くるみんアロマさん)

■「性行為強要する契約は無効」法律に明記を

HRNが今回出した提言は以下の10項目で、これは昨年 の内閣府・国会議員に対する要望とほぼ変わっていない。今回のシンポジウムで超党派の議員から意志の表明はあったものの、この点に関して昨年から状況が大きくは前進していないようだ。

1) 監督官庁の設置

2) 真実を告げない勧誘、不当なAVへの誘因・説得勧誘の禁止

3) 意に反して出演させることの禁止

4) 違約金を定めることの禁止

5) 禁止事項に違反する場合の刑事罰

6) 契約の解除をいつでも認めること

7) 生命・身体を危険にさらし、人体に著しく有害な内容を含むビデオの販売・流布の禁止

8) 意に反する出演にかかるビデオの販売差し止め

9) 悪質な事業者の企業名公表、支持、命令、業務停止などの措置

10) 相談および被害救済窓口の設置

シンポジウムでは会場内の弁護士から、「3)意に反して出演させることの禁止」について、「どのように意に反して出演したことをどう立証するのか」と質問があり、伊藤弁護士がこれに答えた。

「その立証が非常に難しい。強要被害は密室で行われていることなので、意に反していることを立証できないと諦めている人が多い。なので、この禁止だけでは問題の解決にならない。合わせていつでも契約を解除できること。これは普通の契約、締結を守らなければいけないことに変容を求める部分かもしれないが、被害の実情を鑑みると、性行為を強要して良い契約などあるわけがない。それ(性行為の強要となる契約は無効だということ)を法律の中に明記することが、何よりも大事なことではないか」(伊藤弁護士)

2015年9月に、プロダクションが女優に対して契約解除に関する違約金を求めた裁判 では、実際に「アダルトビデオへの出演は、原告が指定する男性と性行為等をすることを内容とするものであるから、出演者である被告の意に反してこれを従事させることが許されない性質のものといえる」という判決が出ている。

伊藤事弁護士は最後に「この1年間、いいことがなかったわけではない」と切り出し、内閣府男女共同参画局が発表した「若年層を対象とした性暴力被害等の実態把握のためのインターネット調査」報告書を挙げた。

「包括的な調査となった。この調査を受けて立法に向けてもらいたい。今日は各党の先生が来ていただけた。議員の先生もやる気になっていただけたと思う」(伊藤弁護士)

内閣府の報告書では、モデルやアイドルの契約をしたことのある人のうち、同意していない「性的な行為」などの撮影を要求された人が26.9%いたことなどが明らかになっている。

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