民泊での盗撮 被害を知る女性「対策が必要」

イメージ画像(写真:アフロ)

■「私的な場所」での盗撮、罰金は1万円未満の地域も

2月7日の毎日新聞に、民泊での盗撮について危険性を指摘する記事が掲載された。

<民泊>盗撮対策を…「ホテル・旅館より危険」専門家ら指摘

記事では、民泊場所を提供していた男性社長が浴室に設置したカメラで宿泊者を盗撮した事件について触れられているほか、性暴力被害に詳しい中里見博・大阪電気通信大教授のコメントが紹介されている。

また、盗撮は各都道府県の迷惑防止条例で禁じられているが、公共性のある場所に限定し、住居は対象外の自治体が多い。性暴力被害に詳しい中里見博・大阪電気通信大教授(憲法)は「一般に公と私の境界があいまいで、第三者の目が入りにくい空間は盗撮の危険性が高まる。ばらつきのある条例ではなく、性的な盗撮全般を禁じる法律が必要」と話す。

出典:<民泊>盗撮対策を…「ホテル・旅館より危険」専門家ら指摘(毎日新聞)

公共の場所での盗撮は各都道府県の迷惑防止条例で禁じられており、たとえば東京都の場合は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金(常習の場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金)」と定められている。

しかし、民泊は運営者が提供する自宅などのスペースであるため「公共の場所」と見なされないことがある。私的な場所での盗撮については迷惑防止条例違反ではなく軽犯罪法違反とする都道府県も多く、刑罰は東京都の場合、「拘留(30日未満の身柄拘束)または科料(1000円~1万円未満)」だ。

■外国人ゲストが通報した民泊での盗撮被害

毎日新聞の記事では、関西地方に住む佐野未阿(みあ)さん(※活動名)が取材されている。佐野さんは、勤務先だった会社の男性経営者が盗撮事件を起こしたことから民泊での盗撮問題に疑問を持ち、盗撮防止のためのアンケートをネット上で行うなど活動を続けている。

筆者も佐野さんに会い、直接話を聞いたことがある。彼女が自分の立ち上げたブログでも書いている、被害の内容は次のようなものだ。

佐野さんは、民泊を運営する男性経営者の会社で働いていた。その民泊は外国人ゲストから人気の宿で、佐野さんはゲストたちと交流することも多かったという。

盗撮が発覚したのは2014年秋。ゲスト用の浴室にカメラが仕掛けられていた。外国人ゲストが偶然、男性経営者が盗撮映像をパソコンで見ている現場を目撃。携帯電話のカメラでその様子を撮影し、警察へ通報した。

男性経営者の証言では、盗撮用のカメラは1~2年前から設置されていたという。2年間にこの民泊を利用したゲストの人数は100人以上。また、佐野さん自身も男性経営者から「今日の仕事は汗をかいただろうから」などと勧められ、何度か浴室を利用したことがあったという。

「(民泊のゲストたちと)将来の夢や恋愛のことについて語り合ったこともあった。(そのゲストたちが)被害に遭ったかもしれないと思うとやりきれない」(佐野さん)

男性経営者は軽犯罪法違反で立件された。前述した通り、軽犯罪法違反は「罰金1万円未満の科料」。男性経営者は科料をすでに支払い、この事件は終わっている。佐野さんは警察から、「自宅での盗撮であり、迷惑防止条例が適用される公共の場所ではなかった」と説明を受けたという。

また、「自分も盗撮されたかもしれない」と訴えた佐野さんに、対応した警察官が言った言葉が忘れられないという。警察官は佐野さんに「軽犯罪法違反に被害者はいない。盗撮カメラをしかけた行為が犯罪にあたるので被害者の有無は問わない。あなたは自分のことを被害者だと思っているかもしれないが、刑法上の被害者は存在しない」と言った。

「法的な説明はその通りなのかもしれないけれど、傷つきました。それに、被害者の有無を問わないというなら、通報した外国人ゲストに自分の映像を確認させた理由がわからない」(佐野さん)

警察は男性経営者が使った盗撮カメラや録音デッキ、盗撮映像を録画したDVDは押収したものの、パソコンは押収しなかったことにも疑問を感じているという。結局、盗撮映像の中に佐野さんのものがあったかは今もわからない。

■民泊批判ではなく、対策を求めたい

佐野さんは民泊での盗撮リスクを訴える一方で、「民泊自体を反対しているわけではない」とも言う。

「ゲストとホストの交流など、民泊の素晴らしい面はたくさんある。けれど現状で実際にこういう事件があり、対策が必要なことを伝えたい」(佐野さん)

佐野さんはこの問題を訴えるためにクラウドファンディングを立ち上げ成立させたほか、民泊サービスを管轄する観光庁にも情報提供を行っている。

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