ウクライナ供与予定の西側製防空システム
ウクライナに供与予定の西側製防空システムについては短距離~中距離の地対空ミサイルシステム3種類が予定されてます。訓練が短期間で済む歩兵用の携行地対空ミサイルとは異なり、レーダーによる火器管制など操作機構が複雑な防空システムは訓練習熟に時間が掛かるので、引き渡しはまだの段階です。
西側製防空システム9基ウクライナ供与確定(+10+18?)
- (独)IRIS-T SLM 1基(6月1日確定)、宇は追加10基購入を希望
- (米)NASAMS 2基(7月1日確定)、6基(8月24日確定)
- (西)ASPIDE 18基供与という話が出ているが数は未確定
ウクライナ供与が確定した西側製防空システムは2022年8月24日時点で合計9基、未確定28基を合わせると最大37基。
※ここでいう「基」とはレーダーと複数台の発射機および射撃指揮管制車両、通信車両、予備弾車両などを含めた対空戦闘可能な「高射隊」を構成する防空システム一式のこと。
IRIS-T SLM
ドイツ・スウェーデン・イタリア共同開発の短距離空対空ミサイル「IRIS-T」を元にドイツが地上発射型としてミサイル弾体を大型化し、射程40kmの中距離地対空ミサイルとしたもの。2022年1月に開発試験を完了したばかりの最新鋭兵器。ウクライナは供与が決定された1基の他に追加10基の購入を希望しているが、今直ぐ購入が成立してもこれから生産することになるので10基全ての納入は数年がかりになる。
- IRIS-T SLS 射程12km ※短距離仕様、空対空型よりやや直径を拡大
- IRIS-T SLM 射程40km ※中距離仕様、直径を大きく拡大
- IRIS-T SLX 射程80km ※長距離仕様、開発中
NASAMS
アメリカ製の中距離空対空ミサイル「AMRAAM」を地上発射型としたもの。短距離空対空ミサイル「AIM-9X」とAMRAAM射程延伸型「AMRAAM-ER」も発射することができる。アメリカおよびノルウェーの共同開発。8月24日時点でウクライナに8基供与予定。
- AMRAAM-ER 射程40km ※直径をAMRAAMより拡大
- AMRAAM 射程25km
- AIM-9X 射程10km
ASPIDE
イタリア製の中距離空対空ミサイル「ASPIDE(アスピーデ)」を地上発射型としたもの。運用システムは「Skyguard(スカイガード)」または「SPADA(スパーダ)」。前述の防空システム「IRIS-T SLM」や「NASAMS」と比べるとやや設計が古い。6月1日にスペインが退役保管装備から18基をウクライナへの供与を予定していると報じられているが、正確な数は確定していない。8月24日に発表されたスペインのウクライナ支援パッケージに防空システムが記載されていたが数は明記されず。
- ASPIDE 射程15km
- ASPIDE2000 射程25km ※直径を拡大
改良型のアスピーデ2000は直径が203mm→234mmに拡大され、射程が延伸されている。
※同じミサイルでも地上発射型と空中発射型では射程が異なり、空中発射型の方が発射母機の速度と高度が加算されるので射程がかなり長くなる。例えばアスピーデ2000の場合、地上発射型の射程は25kmだが空中発射型の射程は40kmを超える。同じことはAMRAAMの地上発射型と空中発射型にも言える。