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社民党の機関紙がウクライナ危機でロシアを支持する記事を削除→戦争が始まった日に記事が一時的に復活

JSF軍事/生き物ライター
社民党公式サイトより削除された機関紙「社会新報」の記事のキャプチャー画像

 社民党(社会民主党)は機関紙の社会新報2022年2月23日号の記事(Web投稿日は2022年2月18日)、タイトル名「ウクライナを戦場にするな~米ロ両国は冷静な対話で緊張緩和を~」において明確にウクライナ危機についてロシアへの支持を打ち出しました。他政党は日本共産党も含めてロシアを非難している中で異彩を放っています。

米国のバイデン政権や主流メディアはイラク戦争時のように怪しげな情報を拡散しながら、「ロシアのウクライナ侵攻」を宣伝している。だが真に論議されるべき課題は、ロシアが求めている安全の保障なのだ。

~中略~

本来であれば、国際社会はロシアの懸念を正当なものとして認め、米国に交渉を促すべきだが、ロシアを悪玉に仕立てた「侵攻」説が飛び交うことで、そうした気運は乏しい。米国発の一方的な宣伝に惑わされず、何が本質的な課題なのかを見極める姿勢が必要だ。

出典:Web Archive | ウクライナを戦場にするな~米ロ両国は冷静な対話で緊張緩和を~ - 社民党 SDP Japan (元記事は削除済み)

 しかし先ほど2月21日午前10時ごろ、社会新報のWeb記事は削除されてしまいました。社会新報公式Twitterアカウントの記事を紹介する投稿も同時に削除されています。

  • https://sdp.or.jp/sdp-paper/ukraine-russia/ (削除済み)
  • https://twitter.com/shakaishimpou/status/1494491541062426625 (削除済み)

 削除された理由についての説明はまだ何もありません。政党として社民党は説明責任を果たすべきだと考えますので、検証のためWebアーカイブなどから削除された記事のリンクを紹介します。

追記1:2月24日にロシア軍がウクライナ侵攻を開始しました。全面戦争です。そしてなぜかこのタイミングで社会新報の記事が復活しています(2月24日午後10時30分ごろ確認)。

追記2:2月25日午前5時ごろ確認したら記事がまた削除されていました。

 削除された社民党機関紙「社会新報」の記事内容は、今現在まさに戦争寸前の危機となっているウクライナの問題について(※2月21日の時点)、ロシアを支持しアメリカを非難する内容となっています。

 この場ではウクライナ危機についてアメリカとロシアのどちらが正しいかどうかは論じないことにします。そして社民党が政党として責任をもって独自の見解を唱えることももちろん自由でしょう。

 ですが国連憲章の条文については今一度、思い起こしてください。

第1章 目的及び原則 第2条 4

すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。

出典:国連憲章テキスト | 国連広報センター

 武力による威嚇または武力の行使は、行ってはならないのです。行使だけでなく威嚇も駄目なのです。「力による現状変更」は認められません。

 さて、社民党の機関紙「社会新報」はどうしてロシア支持の記事を削除したのでしょうか? 削除した理由の説明を行っていないのは何故でしょうか? 同時期の他の記事は残っているので、古い記事を削除したという理由ではなさそうです。

 社民党は政党として説明を行う義務があります。それとも機関紙に書かれたことは政党としての主張ではないと言うならば、その旨を説明すべきだと考えます。

追記3:戦争が始まったその日に記事が一時的に復活していた理由を説明してください。

追記4:後日、「操作ミス」との説明がありました。

情勢認識を誤り、党の立場と異なる記事を党ホームページに掲載し続けるのは不適切と判断し、2月21日に『社会新報』2月23日号1面を削除いたしました。この際、一切の説明をしなかったこと、また、操作ミスにより同記事が24日深夜にHPに再掲載されたことを重ねてお詫び致します。

出典:『社会新報』2022年2月23日号1面掲載記事に関する経過報告とお詫び:社会民主党(2022年3月3日)

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人戦闘兵器、オスプレイなど、ニュースに良く出る最新の軍事的なテーマに付いて解説を行っています。

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