シリアから地対空ミサイルの流れ弾が偶然イスラエル核施設付近に飛来、迎撃戦闘

参考:WikipediaよりS-200地対空ミサイル(ウクライナ航空国立博物館)

 4月22日未明、イスラエルのネゲブ砂漠にあるディモナ核施設の付近にミサイルが飛来して迎撃戦闘が発生しました。しかしシリア方向から飛んで来たミサイルは意図的な攻撃によるものではなく、空中目標を狙って外れた地対空ミサイルの流れ弾でした。

流れ弾事件の時系列

  1. イスラエル軍の戦闘機がシリアを空爆。
  2. シリア軍が迎撃で地対空ミサイルを発射。
  3. 目標を外れた地対空ミサイルが流れ弾に。
  4. 偶然に流れ弾が核施設付近に向かって飛行。
  5. イスラエル軍が地対空ミサイルで迎撃。

 つまり流れ弾が発生したのはイスラエル軍の攻撃がきっかけです。イスラエル軍は「シリアから地対空ミサイルがネゲブ砂漠に飛来したので迎撃を行った。報復で空爆を行った。」と説明していますが、自分が先に攻撃したことを説明していません。しかし基本的に地対空ミサイルは空爆を受けない限り発射されないものです。

 流れ弾となったのは旧ソ連製の長距離地対空ミサイル「S-200」です。NATOコードネームは「SA-5ガモン」。発射重量約7トンを超える大型地対空ミサイルで、対空での空中目標への最大射程は約300kmに達します。流れ弾となって弾道飛行(放物線を描いた軌道)を行った場合の対地での最大射程はそれよりさらに長くなるでしょう。なおシリア首都ダマスカスからイスラエルのディモナ核施設まで約300kmなので、能力的には平気で飛べてしまいます。

過去の地対空ミサイルの流れ弾

 実はS-200地対空ミサイルは2年前の2019年7月1日にも流れ弾が発生しており、シリア沿岸から発射され海を越えて約250km飛び、地中海のキプロス島北部に着弾し山火事が発生する事件が起きています。シリア軍は地対空ミサイルが外れた際の自爆処理を行っていないようで、この他にも幾つかの流れ弾が発生しています。

 2017年3月17日に起きたイスラエル軍の弾道ミサイル迎撃システム「アロー2」の実戦での初迎撃も、シリアから飛来した流れ弾のS-200地対空ミサイルが弾道飛行してきたものへの対処でした。

 上記の例は代表的なもので、自爆処理していなければ他にも何例も発生していると思われます。長距離地対空ミサイルは弾道飛行に入った際の飛行角度次第ですが、短距離弾道ミサイル並みに飛べてしまいます。