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大きな気温変化 関東で夏日を観測するも、同じ週に雪の可能性あり

饒村曜気象予報士
停滞前線の北側に広がる晴天域(令和6年(2024年)2月20日12時)

関東で夏日

 令和6年(2024年)2月20日は、日本列島を前線が通過し、この前線に向かって暖気が入り、雨の所が多かったものの、気温は全国的に高くなり、晴れ間の広がった関東地方では気温が上昇し、最高気温が25度以上の夏日を観測した地点が相次ぎました。

 関東地方では、5月上旬並みの気温ということになります。

 最高気温が25度以上の夏日を観測したのが全国で35地点(全国で気温を観測している914地点の約4パーセント)あり、ほとんどが沖縄県です(図1)。

図1 真冬日、冬日、夏日の観測地点数の推移(2023年12月1日~2024年2月23日、2月21日以降は予測)
図1 真冬日、冬日、夏日の観測地点数の推移(2023年12月1日~2024年2月23日、2月21日以降は予測)

 今の時季に夏日が出現するのはほとんどが沖縄県ですが、2月20日は、群馬県・上里見で25.7度、伊勢崎25.4度、桐生25.0度、千葉県・横芝光で25.0度と、関東でも4地点が夏日となり、関東としては、季節外れの暑さとなっています(表)。

表 最高気温のランキング(2月20日)
表 最高気温のランキング(2月20日)

 ただ、最低気温が氷点下となる冬日も、241地点(約26パーセント)で観測しており、寒暖差が大きな一日でした。

 令和5年(2023年)12月22日(冬至)の頃に西日本を中心に南下してきた寒波(冬至寒波)では、福岡では最高気温が12月21日に3.7度、22日に4.3度と、平年の最低気温をも下回る厳しい寒さでした。

 1月中旬や、1月下旬にも寒波が南下してきましたが、冬至寒波に比べると、冬日や真冬日のピークが小さく、冬至寒波が今冬一番の寒波ということができるでしょう。

 2月に入ると、真冬日を観測地点数が200地点を超える日があり、北日本は厳しい寒さが続いていますが、冬日を観測する地点は600地点を切っており、東日本から西日本の寒さが少し和らいできたことを示しています。

 2月21日以降は、寒気が南下して最高気温が氷点下という真冬日は200地点を超える見込みですが、冬日は400地点を超えるのがやっとと考えられます。

 真冬日が大きく増える割には、冬日がそれほど増えず、北海道など厳しい寒さがまだまだ続く地方がある一方、沖縄など春の陽気となっている地方も増えてきました。

前線が停滞

 関東地方は、2月20日は季節外れの暑さとなりましたが、2月21日は、南下した前線が本州の南海上で停滞する見込みです(図2)。

図2 予想天気図(左は2月21日9時、右は2月22日9時の予想)
図2 予想天気図(左は2月21日9時、右は2月22日9時の予想)

 このため、気温は前日から一直線に下がり、未明の気温が一番高く、夜遅くの気温が一番低くなるという、いつもと違う気温変化となりますので、服装選びには注意してください。(図3)。

 例えば、図3は東京の気温変化です。

図3 東京の気温変化
図3 東京の気温変化

 2月20日は、夏日とはならなかったものの、23.7度という季節外れの最高気温を記録したあと、気温がどんどん下がっています。

 そして、22日は5度から6度という、一日中、ほぼ同じ気温の見込みです。

 寒くなったと感じると思いますが、これで平年並みです。20日までの気温が高すぎたのです。

菜種梅雨

 東京の16日先までの天気予報をみると、来週の26日までは黒雲マークや傘マーク(雨)の日が続き、雪だるまマーク(雪)や傘に雪だるまマーク(雨か雪)の日もあります(図4)。

図4 東京16日先までの天気予報
図4 東京16日先までの天気予報

 これは、本州南岸に前線が停滞し、その前線上を低気圧が通過するためで、少し早めの菜種梅雨といったところです。

 23日の雪は、前線上の低気圧があまり発達しないことから、降雪量は少ないのですが、25日~26日にある傘に雪だるまマーク(みぞれ)は、下層の寒気が少し強く入ってくると、まとまった雪の可能性もありますので、最新の気象情報に注意してください。

 ただ、2月27日以降は、お日様マークや白雲マーク(降水の可能性が少ない曇り)の日が多い見込みです。

 これは、本州南岸の前線が南に下がるためですが、この前線が南下してくる沖縄では、来週以降は雨の日が続くことになります(図5)。

図5 那覇の16日先までの天気予報
図5 那覇の16日先までの天気予報

 寒暖を繰り返しながら暖かくなるというのが、春の特徴ですが、今年は振れ幅が大きく、しかも早めに推移しています。

タイトル画像、図4、図5、表の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図3、表の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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