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台風15号が記録的な強さで襲来、秋台風一過の猛烈残暑

饒村曜気象予報士
関東を縦断中の台風15号(9月9日6時50分)

千葉市付近へ記録的な強さで上陸

 台風15号は9月9日3時前に神奈川県三浦半島を通過し、5時前に千葉市付近に上陸し、関東を縦断しました(図1)。

図1 台風の進路予報(9月9日6時)
図1 台風の進路予報(9月9日6時)

台風情報は最新のものをお使いください。 

 気象庁が発表した5時の台風情報では、中心気圧960ヘクトパスカル、最大風速が毎秒40メートル、最大瞬間風速60メートルです。

 関東に上陸した台風のうち、昭和26年(1951年)以降で中心気圧が一番低かったのが、平成14年(2002年)に神奈川県川崎市付近に上陸した台風21号と、昭和33年(1958年)に神奈川県三浦半島に上陸した台風21号の中心気圧が960ヘクトパスカルです。

 気象庁が、今回の上陸時の気圧を確定値とすると、関東上陸台風での中心気圧が低いほうの1位タイです。

 関東地方上陸の台風で、中心気圧の低いほうの記録を出している台風のほとんどは、神奈川県上陸か、千葉県でも房総半島上陸です。

 東京湾で一番奥に位置する千葉市への上陸は初めてといえそうです。

 この記録的に強い台風により、8日0時から9日5時までの最大瞬間風速(最大風速)は、  千葉市中央区で57.5メートル(35.9メートル)、東京都神津島空港で58.1メートル(43.4メートル)、羽田空港で43.2メートル(32.4メートル)、横浜市中区で41.8メートル(23.4メートル)という、記録的な暴風を観測しました。

台風は足早に通過

 台風15号は時速25キロメートルくらいで関東地方を縦断し、9日8時頃に茨城県沖の太平洋に抜けました。

 図2は、本記事を書いている9日朝の時点における、9日12時の台風15号の雨と風の分布予報です。

図2 台風15号の風と雨の分布予想(9月9日12時の予想)
図2 台風15号の風と雨の分布予想(9月9日12時の予想)

 コンパクトな台風ですので、台風15号による大荒れは、9月9日午前中までということができそうです。ただ、海は大荒れが続きますので、引き続き、うねりを伴なった高波に警戒が必要です。

台風通過後の猛烈残暑

 地上天気図を見ると、間宮海峡付近に朝鮮半島に上陸した台風13号から変わった低気圧がありますが、この台風13号が日本列島に南から暖気を持ち込んでいました(図3)。

図3 地上天気図(9月9日3時)
図3 地上天気図(9月9日3時)

 これに、台風15号が南からさらに暖気を加えます。

 さらに、台風15号の通過後は、晴れて強い日射が加わりますので、全国的に気温が上昇し、猛烈残暑となる予想です(図4)。

図4 令和元年(2019年)9月9日の最高気温の予想
図4 令和元年(2019年)9月9日の最高気温の予想

 多くの地点で最高気温が30度以上の真夏日という予想で、関東や東海などでは、35度以上の猛暑日となるところもある予報となっています。

 台風一過で爽やかな晴天となるのが秋台風の特徴ですが、台風15号は違います。

 9月に上陸した台風ですが、多くの秋台風のように、少し衰えながら北上し、秋雨前線を刺激して広い範囲で大雨を降らせ、通過後は北から寒気を引き下ろしてきません。

 むしろ、夏台風のように衰えることなく北上し、南から暖気を北上させています。

 台風警戒に引き続き、猛烈残暑による熱中症に警戒が必要です。

タイトル画像、図2、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図3の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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