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関東は今週も気温が上がらないが週末は梅雨明けか?

饒村曜気象予報士
気象衛星赤外画像(7月14日5時50分)

東北から関東での低温

 7月に入り、オホーツク海高気圧から冷湿空気が東北から関東地方に流入しています。

 令和元年(2019年)7月に東京で夏日(最高気温が25度以上)にならなかった日は、7月13日(土)までに9日あります。

 平成元年以降では、平成5年(1993年)の14日、平成15年(2003年)の10日に次ぐ夏日の少なさで、16年ぶりの寒い7月ということができそうです。

 7月14日(日)は、本州南岸に前線が停滞し、沖縄地方は晴れのほかは、ほぼ全国的に雨となっており、特に関東から九州南部では、局地的に雷を伴って激しく降る所もある見込みです(図1)。

図1 地上天気図(7月14日3時)
図1 地上天気図(7月14日3時)

 気象衛星赤外画像(タイトル画像参照)をみても、梅雨前線上に発達した積乱雲の塊があり、この雲がかかると、1時間に50ミリ以上の激しい雨が降りますので、土砂災害や低地の浸水などに注意が必要です。

 最高気温は、沖縄と北海道・東北北部では平年並みですが、その他は平年より低い予想となっており、東京の最高気温の予想も23度です。

 東京で夏日にならなかった日は7月に入って今日で10日と、平成15年(2003年)に並びそうですし、7月15日の最高気温の予想も24度ですので、平成15年(2003年)を抜くかもしれません。

東京の今後の気温

 東京の気温予報をみると、7月16日の最高気温が25度と、夏日になるかどうかギリギリですが、17日以降は夏日が続く予報です。

 そして、21日以降になると真夏日(最高気温が30度以上の日)が連続するという予報になっています(図2)。

図2 東京の令和元年(2019年)7月の気温(14~20日は気象庁の予報、21~29日はウェザーマップの予報)
図2 東京の令和元年(2019年)7月の気温(14~20日は気象庁の予報、21~29日はウェザーマップの予報)

 つまり、平成15年(2003年)の記録を抜く可能性は高いと思われますが、冷害と大雨被害で米不足が発生し、輸入米騒動となった平成5年(1993年)の記録には届かないと思います。

 令和元年は、平成5年(1993年)に次ぐ寒い7月になりそうです。

東京の梅雨明けは

 令和元年(2019年)の梅雨明けは、沖縄では平年より6日遅い6月29日でしたが、奄美では14日遅い7月13日でした(表)。

表 令和元年(2019年)の梅雨明け
表 令和元年(2019年)の梅雨明け

 それ以外の地方では、まだ梅雨明けをしていません。

 東京の16日先までの天気予報をみると、今週は雨マークや黒雲(雨の心配がある曇り)マークが続きますが、7月20日が白雲(雨の心配がない曇り)マークです。

 降水の有無の信頼度が、5段階で下から二番目に低いDで、その後は晴れマークが顔を出すようになります。

図3 東京の16日先までの天気予報
図3 東京の16日先までの天気予報

 ただ、21日と22日には黒雲マークもでています。

 降水の有無の信頼度を考えると、関東甲信の梅雨明けは、20日から23日の間と思われます。

 関東甲信地方の梅雨明けの平年は、7月21日ですので、ほぼ平年並みの梅雨明けかもしれません。

 なお、大阪は7月26日まで黒雲マークがあり、晴れマークがでてくるのも26日です。

 7月26日の降水の有無の信頼度は5段階で一番低いEですが、大阪などの西日本での梅雨明けは、平年より遅くなる可能性があります(図4)。

図4 大阪の16日先までの天気予報
図4 大阪の16日先までの天気予報

 ただ、これは台風の影響がなかった場合の話です。

台風5号の発生は?

 フィリピンの東海上には積乱雲の塊があり、熱帯低気圧になる見込みです(図5の熱低)。

図5 予想天気図(7月15日21時の予想)
図5 予想天気図(7月15日21時の予想)

 この熱帯低気圧が、台風まで発達するかどうか、現時点でハッキリしていませんが、この熱帯低気圧が台風に発達したとすると、台風5号になります。

 台風が発生すると、7~10日先の天気予報は大きく変わりますので、台風が発生したら、新しい予報でのチェックが必要です。

 令和元年は、平成5年(1993年)に次ぐ寒い7月になりそうと記述しましたが、平成5年(1993年)の梅雨末期は、「長雨、低温、日照不足」となり、台風が上陸しています。

 それも連続して3個です。

 7月25日に台風4号が徳島県日和佐町付近に、7月27日に台風5号が鹿児島県大隅半島に、7月30日に台風6号が長崎市付近に上陸しました。

 梅雨前線による雨が続いているところに、熱帯低気圧(台風)が襲来すると、大雨となって大災害が発生する可能性がありますので、最悪、平成5年(1993年)のケースも考え、南の海に十分な注意が必要です。

図1、図5、表の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

タイトル画像、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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