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やっと赤道域の雲とオホーツク海高気圧が出現

饒村曜気象予報士
柴犬と紫陽花(写真:アフロ)

北太平洋赤道域

 新元号の令和がスタートした5月の初めは、日本列島は高気圧におおわれ、湿度が低く気温が高い晴天が続きましたが、このとき北太平洋赤道域では積乱雲が多く、夏の気配でした。

 その後、日本列島では北海道や日本海沿岸地方を中心に夏を思わせる記録的な高温になりましたが、この間に、北太平洋赤道域では積乱雲は消え、夏の気配もなくなりました。

 北太平洋赤道域の積乱雲の中から台風の卵である熱帯低気圧が誕生しますので、北太平洋赤道域の積乱雲が少ないと、台風が発生しにくいといえます。

 現に、平成31年(2019年)1月に台風1号、2月に台風2号が発生した後、春(3~5月)に台風が発生することはなく、まだ台風3号が発生していません。

 春(3~5月)に台風が発生しなかったのは、台風の統計が整備されている昭和26年(1951年)以降、7回ですので、ほぼ10年に1回位の現象です。

 しかし、ここへきて、北太平洋赤道域の積乱雲が増えはじめ、雲の塊を作るようになりました(図1)。

図1 北太平洋赤道域の積乱雲(令和元年6月4日15時)
図1 北太平洋赤道域の積乱雲(令和元年6月4日15時)

 この雲の塊が台風まで発達するかどうか、台風になったとして日本に影響するかどうかは現時点ではわかりませんが、再び夏の気配がでてきました。

 ここへきて、南の海は例年の季節に戻ってきた感じがします。

北の海も例年のような季節に

 令和元年(2019年)の最初の梅雨入りは、鹿児島県の奄美地方で、平年より3日遅い5月14日、沖縄地方で平年より7日遅い5月16日に梅雨入りしました。

 平年でいうと、奄美地方より沖縄地方のほうが2日早いのですが、近年は奄美地方のほうが早くなっており、今年も奄美地方が先でした。

 次いで、九州南部は5月31日に梅雨入りしました。平年と同じ日です。

 梅雨に関しては、時期的には例年のように季節が経過しているように見えますが、今年は梅雨の主役であるオホーツク海高気圧がいまだに登場していません(図2)。

図2 九州南部が梅雨入りした5月31日9時の地上天気図
図2 九州南部が梅雨入りした5月31日9時の地上天気図

 梅雨に入っても、オホーツク海高気圧からの冷たくて湿った空気が日本列島に流入せず、大陸育ちの高気圧による暖かくて乾燥した空気が流入していました。

 ここへきて、オホーツク海で高気圧が発達しそうです(図3)。

図3 予想天気図(6月6日9時の予想)
図3 予想天気図(6月6日9時の予想)

 そして、6月7日以降は、全国的に曇りや雨の日が多くなりますので、週末以降、各地で梅雨入りの発表があるかもしれません(図4)。

図4 各地の10日間予報
図4 各地の10日間予報

 本格的な梅雨入りまで、あとわずかです。

 その間に、災害時に落ち合う場所を決めたり、自宅周辺の危険な場所を確認するなど、家族で、すぐできる防災対策をお願いします。

図1、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図2、図3の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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