台風18号は暴風域がなくなったが毎秒17.2メートル以上の被害を出す風
台風18号は9月8日21時には暴風域がなくなっており、暴風域に入る確率予報は、発表されなくなりました。しかし、台風と名が付く以上、最大風速が毎秒17.2メートル以上の風が吹いています。台風接近前からの大雨がふっており、雨に対する警戒が必要ですが、風にも注意が必要です。
台風18号の暴風域に入る確率
暴風域に入る確率は、ある地域が対象時間中に台風の暴風域内にある可能性を示す確率で、暴風域の大きさや予報円の広がりを考慮して計算したものです。したがって、台風に暴風域がなくなれば、気象庁から暴風域に入る確率の発表はなくなります。
ただ、9月9日0時の台風18号の進路予報(図1)では、0時の段階では暴風域を持っていないものの、その後、少し発達して暴風域を持って上陸し、その後、再び暴風域がなくなる予報となっていますので、予報円をとりまくような形にはなっていません。そして、東海地方で暴風警戒域に入る可能性は0というわけではありません。
台風と呼ばれる以上、中心付近の最大風速が毎秒17.2メートル以上
台風は、熱帯低気圧のうち、中心付近の最大風速が毎秒17.2メートル以上のものをいいます。この区切りの悪い数字は、もともとは風力階級が8以上の風ということで決められていたからです。
風速計のない時代、風速は波の様子などによって風力階級で記録されていましたが、風力階級8は「大波のやや小さいもの。波頭が砕けて水煙となり、泡は筋を引いて吹き流される」「陸上では小枝が折れる。風に向かって歩けない」という被害が出始める風です。
この風力階級8以上の風は、風速計で観測すると毎秒17.2メートル以上の風ということになります。つまり、台風と名前がつく以上、風によって被害が出る可能性があります。
暴風域は昭和29年頃から使われていた
台風の解説の中で、暴風域(最大風速が25メートル以上の範囲)が最初に使われたのは昭和29年頃とされていますが、これが定着したのは昭和50年からのようです。というのは、昭和49年に気象庁の中で、表のような文書が出されているからです。
表の出典は、饒村曜(1993)、続・台風物語、日本気象協会。