中国“支援マスク”――新型コロナウイルス対策、でも欧州の一部「使わない!」

イタリアに到着した中国からの医療物資(SCMPのウェブサイトより)

 新型コロナウイルスの感染終息をアピールする中国が、世界各国で広がる深刻なマスク不足を解消するための緊急支援を活発化させている。だが、中国製品を使う国の中に中国側の意図をかんぐる発言が出る一方、マスクや検査キットの品質を疑問視する声もあり、中国が図る「イメージ転換」にブレーキがかかっている。

◇マスクなど大規模援助

 香港サウスチャイナモーニングポスト(SCMP)は、3月28日付で「中国のマスク外交はなぜ西側の懸念を招くのか」という記事を掲載した。

 感染拡大に歯止めをかけたとする中国は最近、世界各国に対し、マスクや防護服、検査キットなどの医療物資の大規模援助を進めている。中国政府は援助の対象を「89カ国」と打ち上げる。2月以降、感染拡大が深刻なイランにマスク数十万枚を寄付し、イタリアには医療専門家チームと医療物資約30トンを送った。

 29日付仏紙ルモンドによると、フランス政府もマスク不足を解消するため、中国の製造業者から緊急に計6億枚を購入する方針という。「総数は10億枚」とする報道もある。

 中国の新型コロナウイルス対策を批判し続ける米国でさえ、抗生物質の9割を中国製に依存しているとされ、米国メディアも「世界中が医療物資を中国に頼っている」と認めている。

 羅照輝・中国外務次官は26日の記者会見で、感染拡大防止に向けた国際協力を紹介するなかで「中国は、影響を受けた国々に共感し、必要なら積極的に支援を提供する」とアピールした。中国は今、明らかに「最初に感染が拡大した国」から「支援国」へのイメージ転換を図っている。

 一方で、中国の援助に対する各国の懸念は根深い。「中国は(自国の)宣伝のために、イタリアなどへの援助を演出している」(ドモンシャラン仏欧州問題担当相・29日)など、支援の政治利用に対する警戒感も出ている。

 SCMPは中国側の隠された意図を▽湖北省武漢での初動遅れに対する非難をかわす▽支援を受けた国が中国指導部を評価せざるを得なくなる――などと分析する。

◇欧州の一部「基準満たしていない」

 こうした中国の動きをけん制するかのように、英BBCは、欧州各国が中国製のマスクや検査キットを拒否していると報じている。具体的には、オランダやスペイン、トルコの当局が、中国製の医療用マスクや検査キットが基準を満たしていない、あるいは欠陥がある、と批判しているというのだ。

 オランダの保健省は28日、中国製マスク60万枚をリコールしたと発表した。マスクは21日に届いたばかりで、すでに最前線で治療に当たる医療チームに送られていた。オランダ当局は、これらのマスクは品質証明書があるのに、しっかり装着できず、フィルターも機能していないと説明している。その結果、当局は声明で「在庫はただちに凍結され、最前線にも配送されていない。在庫も使わない」と宣言した。

 スペインも数十万台の検査キットを購入したが、数日もたたないうちに6万台近くが正常に動かないことが明らかになった。在スペイン中国領事館はツイッターで、この検査キットを販売した中国企業が中国保健当局から認可を得ていないと指摘した。

 トルコも、中国企業に注文した検査キットに欠陥のあるものが見つかったと発表。ただし35万台は機能しているという。

 中国からの支援は、日本でも少なからず例がある。

 川崎市は3月11日、姉妹都市の瀋陽市(中国遼寧省)から医療用防護服1000着の提供を受けた。中国で爆発的に感染が拡大していた1月に川崎市がマスク8万枚を送っており、今回はそのお返しに瀋陽市から提供の申し出があった。

 同じ日、瀋陽市から、友好都市関係にある札幌市に医療用マスク2万5000枚が送られた。2月の段階で札幌市は瀋陽市に医療用防護服500着を送っており、このお礼の意味もある。

 中国のインターネット通販最大手アリババグループは3月2日、日本にマスク100万枚を寄付すると発表している。中国で医療物資が不足していた時期に日本からマスクや防護服が送られた恩返しとしている。