安倍首相にも教えたい!スリランカは日本のお手本である。

出所http://www.onlanka.com筆者により一部修正

スリランカと日本についてである。日本は東アジアに位置し、春夏秋冬と四季が存在している。その点、スリランカは南アジアにある常夏の国である。スリランカの大きさは北海道よりも一回り小さく、国の面積も経済力も日本とは比にならない。しかし似ていることも少なくない。まず両国とも大陸の側に浮かぶ島国であり、大陸文化の影響を大きく受けている。中国や朝鮮半島から学び日本がその基礎を作ったように、スリランカの場合はそれがインドである。戦後、スリランカはイギリスの影響を受けたが、日本の場合はそれが米国だった。日本の先住民アイヌに対してスリランカにはウェッダ族がいるが、それぞれの国を支配しているのは基本的に後に大陸からやってきた流民である点も似ている。

日本の首相がスリランカを訪問するのは四半世紀ぶりということは、日本にとって相手がそれほど重要ではないことの表れとも言えよう。そんな中、今回急遽スリランカを訪問するようになった最大の目的はシーレーン確保であることはメディアも報じている通りである。しかし、24年ぶりにスリランカを訪れながら、上記の用件だけを済ませ、安倍首相がとんぼ返りするのはあまりにも勿体ない。ぜひ、この国から他に学べるものはないか少し思いをはせてほしい。もっとも日本にとってスリランカは「多様性の活用」について学ぶ格好の教科書である。

まず、注目すべきは男女共同参画社会についてである。スリランカ訪問直前に、第2次内閣を発足させ、目玉として女性閣僚5名を選出した安倍総理だが、日本はまだその次元である。スリランカはこの点はるかに先を行っている。世界で女性首相を輩出した最初国はスリランカであり、しかもシリマヴォ・バンダラナヤカ首相は1回に止まらず1960年~1965年、1970年~1977年と1994年~2000年の3度にわたりスリランカの首相として登板した。さらに後にスリランカが大統領制になり、1994年~2005年の間に第5代大統領として選ばれたチャンドリカ・バンダラナヤカ・クマーラトゥンガも女性である。女性の社会活躍については日本が学ぶことしかなさそうである。

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(世界初女性首相シリマヴォ・バンダラナヤカ、 出所:http://global.britannica.com)

スリランカは国旗にも現れている通り、自他共に認める多民族、多宗教、多言語国家である。それぞれの民族の行事に合わせて公休日を設けており、言語においては教育も国営放送のニュースも運転免許の試験内容も、シンハラ語、タミル語、英語と多言語化されていて選択できるようになっている。

そこまで社会として努力や配慮を行っていても、スリランカでは5年ほど前までは、25年に渡って内乱が起きていた。少数派民族で結成された部隊と国の軍隊の間の領土をめぐる争いであった。戦争により多くの老若男女の尊い命が奪われることになった。結局、政治により生まれ、政治により利用され、政治により収束されたが戦いによって国が受けた損失は余りにも大きかった。痛ましい教訓を経てスリランカは進化した部分もある。例えば、戦争がはじまるまではなかったが、争ったシンハラ人とタミル人が互いの言語を学校の教科として取り入れ、互いをもっと知ろうと努力するようになった。皮肉にもスリランカは「多様性に対する努力を続けない限り戦争にまで発展する」ということを教えてくれえる反面教師でもある。

リーダー達の誤った誘導により戦争は起きていたが、それでもやはりスリランカは多様性を学ぶための場所である。そのことをあらためて実感する一つの場所を紹介したい。それはスリランカ中央にそびえる標高2,238mの山である。サンスクリット語でスリー・パーダ、タミル語でシヴァノリパタ・マライ、英語でアダムズ ピーク、さらにはシンハラ語でサマナラ・カンダ( 蝶々たちの山)とも呼ばれる。スリー・パーダとは、サンスクリット語で、聖なる足跡という意味だが、ここからがおもしろい。頂上にある岩に足跡があると信じられており、仏教徒は仏陀の足跡で、ヒンドゥー教徒はシヴァ神の足跡で、イスラム教徒はアダムの足跡で、キリスト教徒は聖トーマスの足跡であるとそれぞれが、それぞれの思いを胸にお参りをしている。自分のものだと宗教間で争い合うことはここにはない。さらには9月と10月には大量に発生する蝶々が山頂院を参拝するとされており、この時期は人々は登山を止め、蝶々たちに山を譲る。

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(上空から眺めた蝶々たちの山、出所:teatrails-srilanka)

女性、高齢者や外国人という大きな枠組みの違いはもちろん、人々の顔ごとの違いや自然界のきめ細かな違いまでをも力に変えていくことが今後の日本の安定と活力になると目される。そんな中、日本の首相のスリランカ訪問は、私たちにとってもこの国に目を向ける良いチャンスである。無駄にしてはならない。スリランカは「多様性活用」の教科書であることを最後にも、もう一度申し添えたい。

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スリランカ・日本関連のものとしてつぎの記事も参考になります。

安倍首相、スリランカで愛を叫ぶ!日本を救ったブッダの教え「憎しみは、愛によって消える」

アジア最大、スリランカのペラヘラ祭への誘い。

※ 参考資料として筆者が書いた下記の記事も合わせて読んでいただきたい。

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