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橋岡大樹 好調STVVの『最後のピース』になるか

中田徹サッカーライター
ベルギー1部リーグSTVV入団の橋岡大樹(21歳) 【提供:STVV】

 ベルギー1部リーグのSTVVは2月4日、DF橋岡大樹の入団記者会見を行った。立石敬之CEOは「このプロジェクトが始まって約3シーズン目になりますが、橋岡選手はSTVVのユニホームに袖を通す12番目の日本人選手になります。先輩の中にはすでにヨーロッパのステージで飛躍して日本代表の中心選手になった者もいます。彼もそれに負けない、もしくはそれ以上のタレントだと私自身確信しております」と期待の言葉を述べた。

 橋岡自身は「日本を出て世界の体の大きな選手たちと戦って、自分がここ(STVV)からもっとできるようになってからワールドカップやチャンピオンズリーグに出たいという気持ちがありました」と抱負を口にした。

 契約は2022年6月末まで。浦和レッズからの期限付き移籍になる。

■橋岡は好調STVVの『最後のピース』になるか

 現在、STVVは14位。一時は降格圏に沈むなど不振にあえいでいたが、12月にピーター・マースが監督に就任するとチームが6勝1分け2敗と軌道に乗った。

 今季9節を残しSTVVの勝ち点は30。降格圏にいる17位のセルクル・ブルッヘに勝ち点8差を付けた。就任当初、マース監督は「勝ち点35を取れば安全圏。それが目標だ」と語っていたが、その数字まであと一息。立石CEOは「シーズン出足に躓いてしまったが、今はクラブ、サポーターが一丸となって巻き返しをはかっているところです」と語った。

 そんな好調STVVに於いて、橋岡は『最後のピース』になりうる存在だ。

 この冬の移籍市場でSTVVはウイークポイントを補うために、トップ下のクリスチャン・ブルース(32歳。前ウェステルロー)、ストライカーのイロンベ・ムボヨ(33歳。前コルトライク)という2人の大ベテランを獲得した。この補強は即効性があり、鈴木優磨×ムボヨ&ブルースの2トップ1シャドーを確立した。

2トップを組む鈴木優磨とムボヨのコンビは、ベルギー国内で高い評価を受けている【提供:STVV】

 しかし、右サイドのDF(現行の【3−4−1−2】システムではウイングバック)をいかに安定させるかという課題が、ここまで残っていた。

 これまでSTVVにはポル・ガルシアというCBと左SB/ウイングバックを兼任するDFがいたが、冬の移籍市場でメキシコのフアレスへ移籍した。STVVはポル・ガルシアのバックアッパーとして、すでにスタンダール出身のベルギー人DFラヴァレーをマインツから期限付き移籍で獲得しており、スムーズにポジションを埋めることができた。

 コウフリエがコンバートされるまで、STVVの右サイドは、ポル・ガルシアやラヴァレーのようなCBも右サイドバック/ウイングバックを兼任できるDFがいなかった。しかし、橋岡ならそのプロフィールにピタリと当てはまる。

 今回の会見で「僕はCBでやりたい」とCBへの強い気持ちを表した橋岡だが「先ずは試合に出ることが大切だと思う。ワイドをやったときは、しっかり対応していきたい」とも語った。

■右サイドのDFは冬の移籍市場の補強ポイントだった

 今季のSTVVにとってターニングポイントになった瞬間がある。それがマース体制になって2戦目の対ズルテ・ワレヘム戦(昨年12月19日)、前半28分だ。

 前節のシャルルロワ戦を0対1で落としたSTVVは、ズルテ・ワレヘム戦もピリッとしなかった。そこでマース監督は早くも28分に介入し、右ウイングバックのサンコンをベンチに下げ、ポル・ガルシアをCBに投入。CBとしてプレーしていたコウフリエを右ウイングバックにコンバートした。

 この采配がズバリと当たった。コウフリエは1ゴール1アシストの大活躍でチームを2対0の勝利に導いた。鈴木優磨の“6試合で7ゴール”というゴールラッシュもここから始まった(鈴木は今季ここまで12ゴール)。そしてチームは連勝街道に乗った。

 しかし、STVVの内外では「冬の移籍市場のターゲットはストライカー、クリエティブなトップ下、そして右SB/ウイングバックだ」と強く言われていた。その中で、2つのポジションはしっかり即戦力を採ったが、右サイドのDFは質量ともに不安視されていた。実際に、コウフリエが出場停止処分を受けたときはマース監督もやりくりに苦労していた。

 コウフリエのパフォーマンスがこのまま高みで安定するか、不安も残る。右サイドを本職としていた時期の長い橋岡がポジション争いに加わると、チームに良い競争が生まれる。

 立石CEOは言う。

「選手本人(橋岡)自身はCBでやりたい気持ちが強くあります。ちょっとテクニカルな話になりますが、前監督(ケビン・マスカット)はウイングバックシステムの【3−4−1−2】でやってました。今の(システムの)ままなら(マース)監督はウイングバックとCBとしてトライさせてくれるのかなと思います。

 マース監督が本来望んでいるのは4バックシステムなんですね。シーズン途中の就任ということもあり、これまで我々が継続してきたシステムをそのまま使っていただいている。しかし、昨日のカップ戦(対ロケレン。2対0でSTVVの勝利)でそうだったんですが、どこかで4バックにしたいようなんです。

 彼(橋岡)に話しているのは、『右SB/ウイングバックであっても右のCBであっても、先ずは試合に出て体感しよう』ということ。それが彼に一番大切かなと思います」

 STVVのCB陣はテイシェイラを要にして右にブアドゥ、左にラヴァレーがいる。ムマエーがフェレンツバロシュ(ハンガリー)に去った穴は、アントワープのピウスの獲得で素早く埋めた。ここの競争にも橋岡が割って入るのかも注目したいポイントである。

STVVは冬の移籍市場で効果的な補強をした。左はMFブルース。右はCBラヴァレー【提供:STVV】

サッカーライター

1966年生まれ。サッカー好きが高じて、駐在先のオランダでサッカーライターに転じる。一ヶ月、3000km以上の距離を車で駆け抜け取材し、サッカー・スポーツ媒体に寄稿している。

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