【菅原由勢】僕はAZを愛している

オランダリーグ第18節の週間ベストイレブンに菅原由勢が選ばれた 【AD紙より】

■殻を破り輝こうとするAZの原石たち

 AZは『伝統のトップ3』と呼ばれるアヤックス、フェイエノールト、PSVに対して滅法強いことで知られている。一進一退のスリリングな展開になった1月24日のフェイエノールト戦は、AZが3対2で接戦を制した。AZは『伝統のトップ3』相手にリーグ戦連勝記録を“7”に伸ばした。

 快速を飛ばし2ゴールを記録したストライカーのボアドゥ。そのボアドゥとホットラインを形成するトップ下のステングス。“偽の右サイドハーフ”としてフェイエノールトの守備陣形を崩したグドムンドソン――。フェイエノールト戦は、AZの個々の選手のタレント性と戦術能力の高さが随所に発揮されたゲームだった。

 一方で、彼らには脆さもある。ボアドゥには狭いスペースでのボールハンドリングに難があり、今季は引いて守る下位チームとの対戦で苦労している。フェイエノールト戦のステングスは後半に入って、何度も決定的なシーンを創出したが、前半は単純なミスを繰り返すなどプレーに波があった。

 その脆さはまた、AZの魅力でもある。20歳そこそこの原石たちは殻を破ろうと必死に戦い、ビッグプレーでミスを帳消しにしたり、不調から脱したりして、サッカーファンを唸らせる。

■AZのメカニズムに組み込まれた菅原由勢

 右サイドバックとしてフル出場を果たした菅原由勢は、フェイエノールトの左ウイング、ハップスと途中から出場したシニステラを抑え込んだ。得意のビルドアップ面では相手のライン間にうまく潜ってボールを受けたりし、すっかり『AZのメカニズム』に組み込まれている。

 47分にAZは2対1にした。オランダでは右サイドで粘り強いドリブルから絶妙のクロスを上げたMFミチューのアシストと、ボアドゥのスピード感溢れる走り込みからのゴールにフォーカスが当たっている。しかし、菅原がフェイエノールトのMFディーマースに対してしつこいチェックでボールを絡め取って、ミチューにパスをつなげたシーンも取り上げて欲しいところだ。

 AZの若手に共通する“脆さ”は菅原にとっても無縁ではない。フェイエノールト戦では菅原がクロスをクリアーしそこない失点に絡んだ。それでも全体的には上々のパフォーマンスで、菅原は全国紙『アルヘメーン・ダッハブラット』のベストイレブンに名を連ねた。

■菅原の週間ベストイレブン論

 実は、菅原は前節のADOデン・ハーグ戦(2対1でAZの勝利)後にも専門誌『フットボール・インターナショナル』のベストイレブンに選ばれた。後日、彼にその感想を求めたところ、「あんまり気にしないですけどね」とそっけなかった。

「ベストイレブンは記者が選ぶものなので、好き嫌いが反映されるじゃないですか。だから、僕は自分の満足度を大事にしています。第三者からの評価もサッカー選手にとって大事だと思いますけど、あくまでそれは第三者。その人は監督でもないですし、スカウトもでないし代理人でもないし。だからそこまで気にしないですね」

 さらに、菅原は「個人の賞って、あんまりいらなくないですか?」とまで言う。

「チームが勝ってこそ、僕の評価が決まると思うので、そこがより自分には大切かなと捉えてますね。小学校、中学校の時は個人の賞をもらうとうれしかったですけれど。でもそれって結局、賞を目指してプレーしてるわけじゃなくて、チームが勝つためにプレーしていてそれをもらえるわけで。だから+ αでしかない。それより、クラブからのしっかりした評価が欲しい」

 つまり、2020年2月、レンタル契約だった菅原を、AZが買い取ったことのほうが勲章なのだろうか。

「そうです。5年提示してもらったことのほうが、価値があります。サッカー界での5年契約というのはそれなりの期待を感じますし、使命もあると思うので、ここからですね。焦ってもいいことはないけど、時間は無限ではない。短い選手生命の中でどこまで上に行けるか、どこまでやれるかは自分次第。だから、周りの目というのは気にせずに、チームの中での評価を第一に考えてプレーしていけば自ずと上にいける。サッカーは個人スポーツという見方もありますけどチームスポーツ。まずは自分がチームを愛さないといけないし、チームを好きにならなきゃ活躍できないと思います」

 菅原はAZを愛しているのだろうか?

「もちろんですよ。来た初日から僕はチームの全てを愛してますよ。じゃなきゃ活躍できないと思います。だから開幕戦(2019年8月4日。対フォルトゥナ戦)でゴールを決めることができました。自分が点を取れたのも、自分がチームのためにと思っている結果だと思います。チームのために――ですね」