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三浦春馬さん故郷の映画館に感謝と応援「温かいよりどころ」としての役割

なかのかおりジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員
2019年、韓国での三浦春馬さん(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

三浦春馬さんの故郷・茨城県土浦市にある「土浦セントラルシネマズ」。春馬さんが舞台挨拶したこともある、ゆかりの映画館だ。昨年の急逝後、出演作品を上映して監督を招いたり、ファンからのメッセージを桜の木にして展示したり、「聖地」とも呼ばれている。

その取り組みを紹介した記事がYahoo!ニュースにも転載され、300件を超えるコメントが寄せられた。そこから、コミュニティにおける映画館の役割が見えてくる。

三浦春馬さん「はじまりの劇場」が最初と最新の主人公作品を上映し続ける理由

●「温かい場」映画館への感謝

 土浦出身で、土浦の高校を卒業した筆者は、土浦セントラルシネマズのツイッターをフォローしていた。ファンの心に寄り添う温かい言葉と、映画館での取り組みに共感し、社長の寺内龍地さんに取材した。春馬さんの誕生日である4月5日に合わせて、記事を作成した。

 読者からは、「温かい気持ちになる」「春馬さんを大切にしてくれる場」と、セントラルへの感謝コメントが多く寄せられた。いただいたコメントを抜粋して、シェアしたい。

今日という日を、どんな気持ちで過ごせるか、複雑な想いでした。

記事を読ませていただいて、春馬くんが、愛され、守られていると、温かい気持ちになり、彼が生まれたこの特別な日を、やはりお祝いしたいと思えました。

凄く遠いけど、いつか行ってみたいと思わせてくれる映画館ですね。きっと2本目の桜の木もあっという間に満開になるのでしょうね。

三浦春馬さん、誕生日おめでとうございます。今日は近くの映画館に「天外者」観に行きます。

素敵な映画館ですね。他でも、春馬くんの映画を、ドリパスで選ばれた映画も、次々と上映してくれるので、探して観に行っていますが、今度は土浦へ、この映画館へ行ってみたいです。ずっと、ずっと、春馬くんを忘れませんから。お誕生日に素敵なお話を、ありがとうございます!

お誕生日に良い記事を有難うございます。

春馬くんの事で辛い思いをする事もありますが、春馬くんが映画で関わってきた方々のお心遣いで、とても心が温かくなります。それもきっと、ちゃんと春馬くんが丁寧に生きてきたからなのだなぁと、改めて感じました。私も今日も天外者観に行きます!

この記事を読み進めて、本当にあたたかい気持ちになり、涙が溢れました。

どうか一日でも長く、春馬さんの映画が上映されつづけることを願っています。本当にあたたかい映画館、心から感謝です。

記事をありがとうございました。

文中にある通り、春馬さんを追悼する場所も機会がほとんどない中、この映画館がファンの心の拠り所となりました…

ただ、悲しみを吐き出したり、思い出をシェアしたり、そんなことすらできなかった頃、温かいメッセージを発信し映画上映に尽力してくださったこと、本当に感謝しています。

春馬くんの素晴らしさは皆さんとおっしゃる通り。それを伝える術があまりにも少ないけれど、こうして小さな活動が広がり、それを記事にまとめていただくことで、春馬くんの活躍や作品を長く伝えていけると信じています。

春馬さんの誕生日に嬉しい記事をありがとうございます。館長さん 春馬さんの事を語ってくださってありがとうございます。

十代で地元を離れてからも地元愛に溢れ、友達や関わりのあった方々を大切にしていた春馬さん。誠実で素晴らしい人柄が大好きです。いつか必ずこちらに足を運んで春馬さんに会いに行きます。

寄せられたメッセージが桜の木に 土浦セントラルシネマズで、なかのかおり撮影
寄せられたメッセージが桜の木に 土浦セントラルシネマズで、なかのかおり撮影

春馬さん、お誕生日おめでとうございます。温かい記事、嬉しいです。写真も素敵なものばかり。

春馬さんが大好きなゆず、『うまく言えない』のPVも土浦で撮影されましたね。春馬さんの郷愁を思うと、心が温かくもなり、苦しくもなります。歳を取ったらスローライフを送りたい、海外の舞台を踏みたい、インタビューに答えた時期は違えど、それぞれの時の彼の大事な夢。スローライフは大好きな故郷でできたらいいね、と思っていました。海外で輝く彼も楽しみでした。

今日は『森の学校』『天外者』観ます。いつか土浦にも足を運ぼうと思います。

土浦セントラルシネマズさんへメッセージカードお送りしました。しっかり貼って下さってて感激しました。ありがとうございます。本当に心ある映画館で、大切にしたい場所です。

土浦セントラルシネマズさん、春馬くんのことやその作品を大切に思ってくださり、ありがとうございます。ファンにとっては救いの場です。

土浦セントラルシネマズの寺内様。

春馬さんとそのファンのためにご尽力いただきありがとうございます。土浦市が隣県ならば何がなんでも駆けつけたいところですが、300Km以上の道のりは長く、落ち着いてから訪れたいと思っています。

空いた時間にスタジオを借りて役づくりをしていたというエピソード、春馬さんらしいですね。

さくらのメッセージカード、素敵です!

"うちに来れば春馬さんに会えるよ"、とても嬉しい言葉です。「土浦セントラルシネマズ」さん、ありがとうございます。遠方に住んでいるので、今は土浦まで行くことができませんが、コロナが収束したら訪れたいなと思います。

春馬くん、31歳のお誕生日おめでとう!

土浦セントラルシネマズ様、感謝の言葉しかありません。まだお伺い出来ていませんが、いつもSNSで拝見し、胸が熱くなります。多くのファンの方の気持ちを受け止めるのも、とてもエネルギーのいる事だと思います。どうぞお身体ご自愛下さい。

●足を運び、心もつながる

 地域に根差した個性的な映画館は、各地にある。筆者は、自主運営の「福島フォーラム」、バリアフリー映画館「シネマチュプキタバタ」などを取材してきた。映画館は、コミュニティの大事な拠点の一つだ。人々と、適度な距離を持って過ごしつつ、作品を通して同じ思いの人と交流することもできる。

 セントラルの場合、「コロナ禍で出歩けないけれど、いつか土浦に行きたい」と目標・希望にする春馬さんファンも少なくない。SNSをフォローし、遠隔でつながりを持って、心の支えにする人もいる。

 コロナ禍に、子供の居場所が少なくなった。昨年の緊急事態宣言時は、児童館や図書館が閉まった。現在は、「まん延防止」の措置により、クラブ活動などが制限。子供だけでなく、在宅ワークやオンライン授業に、孤独を感じる学生・大人も多い。高齢者からは「居場所がない」「何か役に立ちたいけれど、どうしていいかわからない」と聞く。

 映画館は、もとは娯楽としてピンポイントで楽しむ場所だったと思う。コロナ禍で客足が減り、厳しい状況にある今、地域の、また心のよりどころとして、映画館の新しい可能性を感じる。無休で開かれ、入館の心理的・金銭的ハードルが高くないので、子供向け上映や、ボランティアスタッフの活躍など、実現可能なプランも期待される。

手書きのタイムテーブルが温かいセントラルのボード なかのかおり撮影
手書きのタイムテーブルが温かいセントラルのボード なかのかおり撮影

●持続可能な運営とサポートは

 セントラルは、寺内さん一家が接客している。家族経営の甘えはなく、プロとして緊張感を持ちつつ、一人ひとりに笑顔で接しているのが印象的だった。寺内さんの娘さんは、若い感性で親しみやすいツイートを発信し、舞台挨拶の日はファンの記念撮影を長時間、手伝っていた。お孫さんもイベントでプレゼントを渡す役で活躍し、自然と家族の仕事を理解しているのだろうと思った。

 セントラルは、東日本大震災で被災し、運営も楽ではないという。記事のコメントには、そうした点を案じる声もある。大切なよりどころとして、どうやって持続していくか。周りはどんなサポートができるか。これからも注目される映画館だ。

土浦セントラルシネマズは4回ほど訪れましたが、雰囲気のある良い映画館です。でも、東日本大震災で正面のスクリーンが使えない状態だったり、他も震災の爪痕が残っています。三浦春馬ファンの皆さんも、訪れた際はお心遣いをよろしくお願いします。

土浦セントラルシネマズさん、3.11での被災の修復も叶わないままで、客足は郊外の大型店のシネマへと流れ、それでも良作品をと情熱を持ち続けて頑張っていただき、感謝します。

被災が酷いようでエスカレーターも止まり、今は駐車場側からしか入れません。

春馬くんの想い出多き地元の映画館です。

聖地となり、ファンの為にもずっと存続して欲しいです。クラウドファンディングなど私達が協力出来ることはないでしょうか?

ジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員

早大参加のデザイン研究所招聘研究員/新聞社に20年余り勤め、主に生活・医療・労働の取材を担当/ノンフィクション「ダンスだいすき!から生まれた奇跡 アンナ先生とラブジャンクスの挑戦」ラグーナ出版/新刊「ルポ 子どもの居場所と学びの変化『コロナ休校ショック2020』で見えた私たちに必要なこと」/報告書「3.11から10年の福島に学ぶレジリエンス」「社会貢献活動における新しいメディアの役割」/家庭訪問子育て支援・ホームスタートの10年『いっしょにいるよ』/論文「障害者の持続可能な就労に関する研究 ドイツ・日本の現場から」早大社会科学研究科/講談社現代ビジネス・ハフポスト等寄稿

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