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ハロウィーン「おうち・オンラインで」新様式探る…GoToとの関わりは

なかのかおりジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員
日本でも、子供たちが近所の人と知り合う機会になっているハロウィーン(写真:アフロ)

近年、過熱していたハロウィーンイベント。東京・渋谷では、2018年に逮捕者が出る騒動が起きた。今年は、新型コロナウイルスの影響で大規模の仮装パレードや、地域での「つながり作り」を目的とした商店街のラリーなど、イベントの多くが中止になった。その代わりに、オンラインで仮装コンテストが企画され、「うちで楽しむ」人もいる。一方で、「GoToイート」が適用されるハロウィーンビュッフェ等もあって、関わり方は様々なようだ。

友達との恒例行事、人数減らして

東京都内に住むAさんは、育児休業中の3児の母親。10月中に、1時間800円のレンタルルームを借りて、友達親子とのハロウィーンパーティーを予定している。「昨年までは、区のセンターで幼稚園の友達30人ぐらいと集まってパーティーをしていました。お菓子は、センター内でゲームしながらもらう仕組みにしていました」

コロナの影響を考え、今年は人数を減らし、近しい友達で集まることにした。レンタルルームといっても、キッチンやテーブル、庭もついているという。

「大人が10人、幼稚園の子供が10人、プラス赤ちゃん3人の予定です。換気しつつ、庭もあるから、そこで遊ばせることも考えています。遊びは、的当て、輪投げ、ビンゴゲーム、お菓子探しなど、できたらいいですね」

Aさんたちのように、ハロウィーンをきっかけにして、友達との集まりを恒例にしている人は、少なくない。

コロナの影響があっても、ハロウィーングッズはそれなりに売れているようだ。ある輸入食品店をのぞくと、10月21日にはハロウィーンパッケージの菓子類が、だいぶなくなっていた。今年は自粛ムードだから仕入れが少なかった?と思ってスタッフに聞いてみると、「例年と同じように用意したのですが、売れてしまいました」。

同じように、100円ショップには、ハロウィーングッズのコーナーがあり、スーパーにはハロウィーンパッケージの小分け菓子パックが並んだ。友達と交換したり、家庭で楽しむ分は、例年通りに買っておくということだろうか。

小さい子は工作も楽しい なかのかおり撮影
小さい子は工作も楽しい なかのかおり撮影

「行事参加予定」減少で15%

「ホットペッパーグルメ外食総研」の2020年の調査(有効回答数1万260人)によると、ハロウィーンの行事参加予定者は15.2%で、前年比6.0ポイントの減少、過去6年間で最低値という。

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、過ごし方は「家で過ごしたい」が最も多く、家族・親族と家で、ハロウィーンスイーツ等を楽しみたいという傾向が強い。

また、ハロウィーンに対する考え方の調査もあった。肯定的な理由は、「本来の意味と違っても、日本風に楽しめば良い」37.8%、「子どものためのお祭りとして良い」33.8%、「経済効果がある」31.3%との結果だった。

ハロウィーンに否定的な理由は、「自分には関係がないように思う」 43.4%、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大につながりそう」41.6%、3「理由をつけて騒ぐのは良くない」37.5%、だった。「コロナを意識して、おうちで」という今年の傾向は、この調査からも見える。

工夫凝らしオンラインイベント

うちで過ごそうと呼びかけても、人が集まってきてしまうエリアもある。三密を避け、違う形で楽しめるようにと、今年初めて、オンラインイベントにチャレンジする団体も多い。

「カワサキハロウィン」

1997年にスタート、昨年は2千人が仮装パレード、観衆は12万人。初のオンライン開催に、全国8都市の団体も賛同した。10月中、共通のハッシュタグを使って、SNSに仮装して撮影した動画を投稿する。コンテストやサプライズイベントも。

「バーチャル渋谷」

渋谷区公認の仮想空間。アバターの仮装コンテスト、Eテレの番組「ビットワールド」とのコラボでキッズ向けバーチャルライブ、「ハロウィーンフォトブース」など。きゃりーぱみゅぱみゅや和牛、他人気アーティストのライブ。

「吉祥寺ハロウィンフェスタ」

ママたちが地域の人の協力で運営してきた、ファミリーイベント。9回目で初のオンライン開催。「おうちでトリックオアトリート」(キーワードラリー)。参加費500円で、お菓子詰め合わせが自宅に届く。他に、「SNSでフォトコンテスト」、Zoomで集まる「オンラインで仮装パレード」など。

「池袋ハロウィンコスプレフェス」

7回目の今年は、ステージイベントやパレードを中止、初のオンライン開催。「コスプレ討論会」「宅コス」「スペシャルランウェイ」など。特番を10月31日に「ニコニコ生放送」で配信。

オンラインなら、国内外から参加できて、密にならない。一人でも参加しやすいという利点はあると思う。

つながり作りのために継続

もともとは、悪霊退散や収穫祭が起源で、子供が家庭を訪ねて回ったハロウィーン。日本で近年、浸透していたのは、「商店街や地域で、人とのつながりを作る」という目的もあった。そうした目的のイベントも、今年は多くが中止になった。

ある保護者は、「友達と一緒に、地域のイベントに参加するのが楽しみだったけれど、中止に。代わりに、少人数の習い事でカチューシャ程度の仮装をして、親がお菓子を用意しようと思います。ハロウィーンを楽しめるのも、小さいときだけ。思い出になれば」と話す。

一方で、「いつもは、仮装した子が店舗でお菓子をもらう商業施設へ連れていってた。今年は塾通いが忙しくて…」「うちは何もしないよ。ハロウィーンモチーフのパンとかお菓子を買って、おやつに親子で食べようかな」と、イベントや交流にこだわらない家庭も。

「つながり作り」を重視して、内容を変え、参加人数を減らして、ハロウィーンイベントを実施する商店街もある。「防犯の一環として、何かあれば駆け込める関係に」「子供を見守る」といった関係を継続するために、大切な機会なのだろう。

「子ども食堂」も、食事を提供するだけでなく、つながり作りが大事だ。福島市の「子どもカフェたまご」は、コロナの休校中から毎月、お弁当を配布して地域の親子とコンタクトをとっていた。ハロウィーンも、大切なイベント。何かしら子供のためにしたいという思いと、コロナ対策とで、ジレンマはあるという。

「今までは、10月にピニャータ割り(くす玉にお菓子やおもちゃを入れる)や、事前にお願いしていた地域の高齢者のお宅を回ってお菓子をいただくイベントを開催していました。今年は、31日に夕ご飯のお弁当配布と、ハロウィーンのお菓子を用意しているのを取りにきていただくように考えています」(カフェ代表)

数年前のホテルスイーツ。ハロウィーンキャラクターは「インスタ映え」するので人気だ なかのかおり撮影
数年前のホテルスイーツ。ハロウィーンキャラクターは「インスタ映え」するので人気だ なかのかおり撮影

季節イベントの新しい様式は

慎重に考える人がいる一方、リサーチしてみると、ハロウィーンフェアやイベントを開催する商業施設もあった。ライブやパレードもあるという。衛生面や換気など、気をつけての開催だと思うけれど…。

さらに、「GoToイート」が適用のハロウィーン関連プランもある。都心のホテルを会場に、ハロウィンをモチーフにしたブッフェや、アフタヌーンティーが開催されている。

「季節のお楽しみ」として日本でも定着し、コミュニティ作りのきっかけになって、経済効果も上がるハロウィーン。渋谷の騒動が起き、今後はどうなるだろうかと思っていたところ、コロナが拡大した。

今年は、ハロウィーン当日の31日が土曜日。24・25日の週末も、小規模のリアルイベントが多い。「自粛を呼びかけても、人が集まるエリアもありそう」「GoToイート・トラベルの利用者が、渋谷に来るのでは」と心配の声もあがっている。

オンライン・ハロウィーンは、ニューノーマルになるのか。つながり作りが目的なら、じかに会って交流することも大事だけれど、どのぐらいの規模ならいいのだろうかー。

GoToキャンペーンに対しても賛否があり、初めて経験する状況に、多様な考え方がある。これから、クリスマスやお正月と季節の行事が続く。コロナと暮らす中で、新しい向き合い方が模索される。

ジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員

早大参加のデザイン研究所招聘研究員/新聞社に20年余り勤め、主に生活・医療・労働の取材を担当/ノンフィクション「ダンスだいすき!から生まれた奇跡 アンナ先生とラブジャンクスの挑戦」ラグーナ出版/新刊「ルポ 子どもの居場所と学びの変化『コロナ休校ショック2020』で見えた私たちに必要なこと」/報告書「3.11から10年の福島に学ぶレジリエンス」「社会貢献活動における新しいメディアの役割」/家庭訪問子育て支援・ホームスタートの10年『いっしょにいるよ』/論文「障害者の持続可能な就労に関する研究 ドイツ・日本の現場から」早大社会科学研究科/講談社現代ビジネス・ハフポスト等寄稿

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