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「卒業イベント中止・簡略化」「休校中の学習と生活」小6ママの本音は

なかのかおりジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員
新型コロナの影響で、卒業式にも制約があるという(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、突然の休校になって3週間。授業は途中で終了、先生や友達と過ごす時間もぷつんと途切れた。特に、卒業する小学6年生と保護者は、様々な思いを抱えている。在校生による送る会や謝恩会がなくなり、卒業式は簡略化され、友達との卒業イベントも中止に。小学6年生の男の子を持つ母親に、思いを聞いた。

〇学校の課題「モヤっと」、学力差を危惧する家庭も

休校が決まった時、どう思いましたか?

「まず、私の仕事をどうするか考えました。ダブルワークで、一つは2週間の自宅待機と言われて、ちょっとホッとしました。もう一つの仕事は毎日ではないので、休みなく通っています。

夫もテレワークとなり、平日の昼間に家族全員が自宅にいる、という珍しい状況に。やはり、お昼ごはんの準備が憂うつで…夫婦で分担しています。休校中、小学校でも子どもの預かりを実施していたのですが、私が自宅待機になったこともあり、我が家は利用しませんでした」

学習はどうしていますか?

「学校から課題が与えられました。『考えましょう』『見聞を広めましょう』『読みましょう』といった、モヤッとした課題ばかりで、6年生には提出を求めないだろうと判断して、我が家は進学する中学校から出された課題のみ、やらせることにしました。

5年生以下のお子さんがいる家庭は、出された課題を親が丸つけをすることになっていて、その対応をするのが大変だと言う人が多いです。『次の学年に上がる大切な時に、子どもたちの学びの差が出てしまうのか』と、仕事を持っている親は、より強いストレスを抱えていると思います」

〇ゲーム時間増え…体を動かすよう声かけ

息子さんの様子は?

「息子は中学受験生の日々が長かったので、やっと解放されて遊べるようになりました。公園での友達との遊びを許しています。我が家の辺りでは、近隣の方に問題視はされていないようです。あとはお友達の家に遊びに行くなど、限定して遊ぶ時間を持っています。

ゲームする時間が増えてしまっているのも、事実です。夜更かしになり、朝も起きるのが遅くなるという悪循環にはまりつつあるので、家の中でスクワットをしたり、ジョギングなど体を動かすように声をかけるようにしています」

〇目玉のスピーチはなし、卒業証書手渡しに感謝

小学校の卒業式はどうでしたか?

「そんなに大きな小学校ではないので、毎年、在校生も出席する卒業式なのですが、今年は来賓も在校生もいない形でした。卒業生と教職員・保護者のみで、席は隣と少し間を空けて設置されていました。換気をするために窓を開けており、紅白幕も全面ではなく一部となっていて、風の抜ける少し寒い会場でした。でも暖かい日だったので、問題はなかったです。

本来なら、卒業生が証書をもらう前に、壇上で将来の夢をスピーチするのが恒例で、それが一番の楽しみだったのですが、残念ながら今回は行われませんでした。式次第も簡略化されて、1時間くらいで終了。

卒業式ができないことも想定していたので、一人ひとり、校長先生から卒業証書を受け取ることができて、感謝しています。先生方の尽力のおかげです。当たり前のことが、当たり前にできることの有り難さを感じた時間でした」

「卒業式の後、食事会の予定でしたが中止に。卒業式の後、校庭で自由に写真撮影をしました。用意のいい子は、親に携帯を持ってきてもらい、その場でLINEの交換など、連絡先のやり取りが始まりました。

携帯の使い方に関しては、心配がつきものですが、利点もあり、うまく使っていってほしいです。仮に今後、状況が厳しくなって外出禁止などになってしまっても、友達とSNSでの交流があれば、会えなくても寂しくないな、と思いました」

〇旅行・「卒ディズ」…イベント全て中止

春休みの予定は?

「実は春休みに、さまざまな予定を立てていました。ずっと行けていなかった家族旅行、友達で企画していた卒ディズ(卒業記念にディズニーリゾートに行くこと)、子ども会主催の6年生を送る会のイベント等、全て中止となりました。予定していたことができないのは残念ですが、逆に家族の時間を密に過ごせることに感謝して、体調に気をつけていきたいと思います」

新学期はどうなりそうですか?

「中学の入学式は、HP等で確認していますが、詳細はまだわかりません。予定通り、普通に、みんなと一緒にスタートを切らせたい、ただただそれだけです」

ジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員

早大参加のデザイン研究所招聘研究員/新聞社に20年余り勤め、主に生活・医療・労働の取材を担当/ノンフィクション「ダンスだいすき!から生まれた奇跡 アンナ先生とラブジャンクスの挑戦」ラグーナ出版/新刊「ルポ 子どもの居場所と学びの変化『コロナ休校ショック2020』で見えた私たちに必要なこと」/報告書「3.11から10年の福島に学ぶレジリエンス」「社会貢献活動における新しいメディアの役割」/家庭訪問子育て支援・ホームスタートの10年『いっしょにいるよ』/論文「障害者の持続可能な就労に関する研究 ドイツ・日本の現場から」早大社会科学研究科/講談社現代ビジネス・ハフポスト等寄稿

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