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保育園デビューに向けて 産後半年からの離乳食・海外旅・ママの健康管理

なかのかおりジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員
初めは遅いスタートを考えた離乳食。母乳以外の選択肢が必要かと半年で始めた(ペイレスイメージズ/アフロ)

産後、半年ぐらいすると子育てにも慣れてくる。同時に、外の社会で生きていくための「初めて」が次々に起きる。娘の初風邪におろおろし、ママ自身も胃腸炎になって赤ちゃん抱っこで救急外来に駆け込んだ日も。離乳食や海外デビューと、盛りだくさんだった。1歳になる頃には、保育園の入園準備に追われた。産後1年までの体験を紹介する。

産後の体4・復帰へ向けて編(子育て支援NPOサイトに連載した「アラフォー初めてママのときどきドキドキジャーナル」より)

●離乳食スタート・初風邪も

産後の体について、最終回です。実感としては、娘が2歳になって卒乳するまで「産後」が続いていましたが、1歳になって育休から復帰する前で一区切りにしますね。

6カ月を迎えた娘とママ。離乳食を始めました。おっぱい以外にも、おなかを満たせるものがあったほうがいいと思ったからです。おかゆや野菜のとろとろなど、頑張って作っても、おっぱい大好きな娘はスプーンがイヤイヤ。ゆっくりペースでした。初めて娘がかぜをひいたのもこのころ。看病や通院で、親子ともぐったり。ひとり目の子育ては、わからないということでストレスが大きくなります。

●初の海外、空港サポートは要予約

最大のチャレンジは、7カ月の娘とママだけで飛行機に乗ることでした。夫が海外に単身赴任中で、中間地点のバンコクに集合。パスポートやチケットを取るにも一苦労です。壁に取り付けるベビーベッドを使えるのは何カ月まで、何キロまでとか。電話しないとベッドが使える席を予約できないとか。航空会社によって対応が違う。払い戻しや取り直しのやりとりを何回もしました。

娘を抱っこして空港にたどりつくと、サポートしてくれる職員の手配は事前に予約がないとNGで、驚きでした。ドキドキだった行きの便は、おもちゃやおっぱいの工夫で、大泣きすることもなく無事。帰りは夜便で揺れてママは気持ち悪くなってしまい…。やっと帰り着きましたが、ベビー連れの旅はサポートがあったほうがいいですね。産後のママは「自分しかいない」とテンションを上げてがんばっちゃう。そして反動がくる。「助けてもらえなかった」というトラウマが残るのです。

●子連れで仲間と体力づくり

ママの体力も少しずつ、つけるようにしていました。ベビー連れOKのヨガ・ピラティスは産後まもなくから、ハイハイやつかまり立ちが活発になる10カ月まで通いました。それから育休中に、ダンスの発表会で「親子フラ」という企画があり、7カ月の娘を抱っこして大きなステージに参加しました。初めは雰囲気だけと思っていましたが、ママ仲間と励まし合いながら、家で動画を見て振り付けを覚えたんです。

器用なママさんがヘアメークしてくれて。大きい子はダンス。ベビーは抱っこひもに入り、ママたちも1曲、踊ることができました。抱っこしながらのダンスは、ほかにもあるみたいだけど、腰に負担はかかるので様子をみながらね。単純に楽しい趣味、っていうのとも違う。子育てにどっぷりなママこそ、目標を作り、「できた!」って思える機会が大事。

●ママの胃腸炎で救急に「絶対倒れたくない」

ものすごく困ったこともありました。8カ月のとき、ママが胃腸炎に。もやもやするなあと思ったら吐いてしまい、うつる病気だったら大変と、抱っこで救急外来へ。母娘を寝かせてくれる部屋もなく、待合室のベンチに横になり、娘をおなかに寝せました。「お世話ができなくなったら、どうしよう…」と思い詰めて、心細かった。途中、授乳室にかけこんでけろけろ…。娘を抱えてへたり込みです。

3時間ぐらい、かかりました。診察室に呼ばれると、娘はドクターの話を聞いてにこにこ。治療法はなし。脱水に気をつけること。ママは経口補水液を飲むよう言われ、買って帰りました。その後も食べられないし、起き上がるのもつらいし、娘の離乳食やおっぱい、お風呂など厳しかったです。娘にうつらなかったのが幸いでした。「絶対に倒れたくない」「病気にならないように」という思いがますます強くなりましたね。

●リスクある国へ…母娘で体壊す

10カ月のときは再びバンコクへ。空港のサポートは事前に頼み、機内で離乳食のおかゆも出してもらいました。1歳になってすぐ(保育園に入る直前)には、さらにバンコク経由で夫の赴任地へ。初めはママの体力や、ベビーの衛生・安全面で無理かなと思っていましたが、「いましか、行く機会がないかも」と決断したのです。

大使館にビザを取りに行ってもめたり、事前にサポートを予約したりして準備。タイのエアラインや空港スタッフは子ども好きで親切でした。でも目的地についたら、娘と荷物を抱えていても、だれも声をかけてくれません。滞在中は衛生面であやしいと思うものが多く、帰国してからママはおなかを壊し、娘はひどいせき。仕事をしながらだと、こういうリスクのある旅はむずかしいかも。育休中だったので、具合が悪くても調整できました。

●保育園グッズ、必死に手作り

4月から保育園に入れるという通知が来たのは3月初め。説明を聞きに行き、ひとりずつマークを決めてグッズにつけるとのこと。マークのししゅうは、飛行機の中で娘が寝たときにちくちく。先生に「指定通り、手作りで」と言われ、袋物もすべて縫い上げた私。授乳の疲れからか、以前より縫い物がきつく感じます。目や肩が痛くなって、泣きそう。あとで聞いたら、既製品やおばあちゃん頼みのママも多かったです。

●職場復帰後は「男社会」と保育園

仕事に復帰してみると、育休中はまだ余力があったなと実感。ひとりでベビーを育てるのは孤独でしたが、母性を全開にして「ママ」という世界で生きていた。授乳で寝不足でも娘が動き始めて目が離せなくても、仕事をしながらの日々よりは、カバーする時間があったのです。仕事に戻ったら、会社という「男社会」になじみ、保育園という新しい仕組みに慣れ、あちこちで頭を下げなければなりません。ママスイッチ、男スイッチの切り替えに体力がいります。そして突然、やってくる子どもの病気。産後の心についてや、働くママへと進化する過程は、またお伝えします。

ジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員

早大参加のデザイン研究所招聘研究員/新聞社に20年余り勤め、主に生活・医療・労働の取材を担当/ノンフィクション「ダンスだいすき!から生まれた奇跡 アンナ先生とラブジャンクスの挑戦」ラグーナ出版/新刊「ルポ 子どもの居場所と学びの変化『コロナ休校ショック2020』で見えた私たちに必要なこと」/報告書「3.11から10年の福島に学ぶレジリエンス」「社会貢献活動における新しいメディアの役割」/家庭訪問子育て支援・ホームスタートの10年『いっしょにいるよ』/論文「障害者の持続可能な就労に関する研究 ドイツ・日本の現場から」早大社会科学研究科/講談社現代ビジネス・ハフポスト等寄稿

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