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「キングオブコント2023」決勝進出。「ファイヤーサンダー」を支えてきたもの

中西正男芸能記者
「ファイヤーサンダー」のこてつさん(左)と﨑山祐さん

10月21日に生放送されるTBSテレビ「キングオブコント2023」決勝に出場するお笑いコンビ「ファイヤーサンダー」。コント師としての頂に挑みますが、これまでの道のりは平坦なものではありませんでした。こてつさん(35)、﨑山祐さん(32)が吉本興業のNSC大阪校で出会い、互いに別のコンビを経てから結成。地元・関西を離れて上京しフリーを経て、ワタナベエンターテインメント所属という形になりました。その道のりで支えとなったものとは。

支えとなるもの

﨑山:初めて「キングオブコント」の決勝に進むことができたんですけど、これまでの違いみたいなことがあるとすると、純粋にトレーニング量を増やした感じだと思います。

これまでとは違うトレーニングを取り入れる的なことではなく、とにかく新ネタをたくさん作りました。

自分の中で、ちゃんとやった年にはそれ相応の結果が出るということがあったので、やり方自体は間違っていない。だったら、とことん量をやる。

新ネタも作ってみないとどんな仕上がりになるか分からない。もちろん、毎回面白いものをと思って作るんですけど、ある種“ガチャ”みたいなもので、出てくるまで出来の良さは分からない。その試行回数を増やしたというのが今年の結果につながったんだと思います。

それと、これまで決勝には行くことができない中でも、間違っていないと思えた。それは、いろいろな先輩に力をもらってきたからだと強く感じています。

「ライス」(キングオブコント2016王者)さんが「メッチャ面白い」と言ってくださって、2年ほど前から一緒にライブをやってくださったり、同じ事務所の先輩の「ハナコ」さんとも一緒にライブをする中で、言葉じゃないけれども、自信や力をもらった。これはすごく大きなことだと思っています。

こてつ:あと、個人的にすごくモチベーションになったのが2020年10月に「マイナビLaughter NightチャンピオンLIVE」のというイベントがあって、そこで同期の「オズワルド」が優勝したんです。

その時の賞金全額を持って決勝に進出していた10組ほどで叙々苑に焼肉を食べに行った。そして、賞金を一晩で全部使ったんです。

この一連の流れにいて、純粋にそれをやる「オズワルド」がカッコよかったですし、芸人らしいと思いましたし、こういう時間こそが良いものだなぁと身に染みて感じたんです。

次はそれを自分がやる側になる。フワッと「売れたい」と思うとかじゃなく「アレをやる」という具体的な目標ができたことは実は大きなことだったんだなと感じています。

それを一番具現化できるのが「キングオブコント」優勝だと思いますし、なんとか、それを手にしたいと思っています。

頂への思い

﨑山:大阪から出てきた時から「キングオブコント」優勝はずっと頭にありました。僕らが吉本興業のNSC大阪校の34期生なんですけど、当時、大阪では漫才を重視する流れもあり、コントを主武器にする僕らは思い切って東京に出てきたんです。

最初はフリーでやっていたんですけど、たまたま出ていたライブをワタナベエンターテインメントの人が見てくださっていて今に至る。そんな感じなんですけど、いろいろな場所を経て今にいるものの、ずっと「キングオブコント」優勝だけは見据えていた。だからこそ、なんとかそこは取りたいと思います。

僕は何も変えずに、ブレずにやってきたつもりなんですけど、その分というか、相方がものすごくブレるんですよ。

こてつ:言い方がアレですけど、感受性豊かで柔軟なんです(笑)。

﨑山:いや、柔軟にやってくれていたらまだいいんですけど、純粋に焦ってブレブレになるというか。柔軟に考えて「だったら、こういうパターンはどう」みたいなことがあったら、それはフレキシブルということなのかもしれませんけど、ただただあたふたして。こっちとしたら「大丈夫やって。方向はあってるから」という思いなんですけど、それでも焦るんですよ。

こてつ:僕はネタに関して何もしてないんで、何か違うことをやっておかなければと考えちゃうんですね。その分というか、ネタ以外の部分で、コンビとして「こうしていったほうがいいんじゃないか」みたいな部分を考えるんです。

コンビとして、すごく地味だと言われることも多くて、ネタ職人というイメージがあるのか。もちろん、そのイメージも大事なことだと思うんですけど、もう少しポップさも持っておいたほうがいいんじゃないか。そんな部分で考えるところもあるというか。

﨑山:ただ、それに関しても、まだ全然知られていない存在ですからね。例えば「男性ブランコ」さんも、そう思われていたかもしれないけど、世に出れば、勝手にそのあたりの色は出てくるものなのだろうなと。

今の評価なんて、小さな世界でのことなので、まずはしっかり世に出る。それがまずネタで勝負するということでしょうし、その先の色は自ずと見えてくるんだろうなと思うんですけどね。

こてつ:…すみません、僕、完全にやることなくなりました(笑)。

﨑山:もちろん、言ってくれてることは分かるんですけど「男性ブランコ」さんも何も変えてらっしゃらないと思うんです。ずっと同じことをやっている。でも、世に出たら、周りの捉え方が変わってくる。それが評価ということでしょうし、まずは何より世に出る。まだ何も出ていないですから、そこしかないなと。

﨑山:まずは「キングオブコント」優勝。そして、コントはずっとやっていたいですね。ちゃんと面白いと思ってくださる方々がいらっしゃって、50歳になっても、60歳になっても、コントができている。そうなれば、幸せな人生だったと思えるんでしょうね。

こてつ:僕はコントはもちろんですけど、自分が求められていることもやっていきたいなと思っています。ドラマとか映画も含め。何かしら“もの作り”をしておきたいなと。

﨑山:…“もの作り”というと、監督さんとかの立場になるんじゃないかな。

こてつ:ま、その船の乗組員というか、クリエイティブなことはしていたいと思います。一つ一つ、難しいなぁ(笑)。ただ、まずは目の前の「キングオブコント」。ここに全力で挑みたいと思います。

(撮影・中西正男)

■ファイヤーサンダー

1987年12月16日生まれで大阪府出身のこてつ(本名・藤田崇之)と、91年3月11日生まれで和歌山県出身の﨑山祐のコンビ。ともに吉本興業の芸人養成学校・NSC大阪校34期生で、それぞれ別のコンビを経て2014年に「ファイヤーサンダー」を結成する。大阪の吉本興業を拠点に活動をしていたが、15年に上京しフリーで活動後、ワタナベエンターテインメントに移籍。「ABCお笑いグランプリ」優勝。お笑いコンビ「さらば青春の光」の東ブクロはこてつの母方のいとこ。10月21日にTBSテレビで放送される「キングオブコント2023」に出場する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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