岡村隆史、舌禍騒動に至る“二つの予兆”

(写真:アフロ)

 「ダウンタウン」の松本人志が10日に放送されたフジテレビ「ワイドナショー」で、ニッポン放送「岡村隆史のオールナイトニッポン」で「コロナが明けたら短期間ですけど、美人さんがお嬢(風俗嬢)をやります」などの不適切発言をした「ナインティナイン」岡村隆史について言及した。

 松本は「イエローカード以上、レッドカード未満ぐらいかな」と独自の見解を述べ、批判の声が向けられている後輩に対し「悪いこと言うヤツが全て悪者じゃない」と切ない表情も見せていた。

 岡村の発言が物議を醸したのが4月23日深夜の放送回。翌週30日の回には相方・矢部浩之が番組途中から登場した。

 「身内に甘えて、ぬるま湯につかって、あぐらをかいている」「オフではオレ(矢部)には謝らない」などと相方ならではの辛辣な言葉を1時間20分以上にわたって投げかける“公開説教”も話題になった。

 筆者は大阪を拠点に20年以上芸人を取材し、プライベートでもあらゆる芸人と話をしてきたが、矢部の言葉には「確かに…」とうならされ、自分の中にも“予兆”と思しきことが二つあったことを再認識した。

 岡村は2010年に精神面の負担から体調を崩し、約5カ月仕事を休んだ。それ以来、岡村の周りには、特に芸人仲間を中心に「岡村さんには好きにしておいてもらおう。楽しくやってもらったら、それでエエやん」という空気が生まれていた。

 ざっくりした表現になるが、大前提として、岡村は仲間内から愛されている。芸人仲間からしても、岡村のイメージの“最大公約数”は「優しくていい人」。

 だからこそ、再びあんなことが起こったら大変だし、気の毒。「本人が機嫌よくやっているのが正解」という思いが多くの芸人の中に間違いなくあった。

 ただ、これは言葉に置き換えるのが難しい領域だが、思いっきり特別扱いをするとか、腫れ物に触るような感覚だとか、そこまでのものがあるわけではない。

 みんなが5%ずつ遠慮をする。岡村に対しては、全てにおいて“容認”から入る。そういった配慮があった。その積み重ねが、いつの間にか、岡村の中の甘えをジワジワと大きくさせる。そういった力学が働いたのかもしれない。これが一つ目。

 二つ目は、食事のメンバー。筆者が知る限り、岡村は月に2回は大阪に戻ってきて、その都度、芸人仲間とご飯を食べるのが日常だったが、顔ぶれはいつもほぼ同じ。同期のお笑いコンビ「へびいちご」の高橋智、ジャグリング芸で人気のピン芸人・もりやすバンバンビガロなど、非常に穏やかで、本当に心根の優しいメンバーが岡村を囲んでいた。

 プライベートな食事なので、自分の好きなメンバーと食べて当然なのだが、あまり付き合いがない後輩を呼んでネタ集めをする。そういう食事の仕方も、芸人の世界では“あるある”だが、岡村の場合は、そのパターンは皆無だったと聞く。あらゆるタイプの人間と対峙し、自分のカタチやバランス感覚を確認する。そういう流れは少なかったとも言える。

 今の世の中は、言葉が残る。しかも、人前に出る芸人の言葉なら尚更だ。そこは申し開きできない部分である。いろいろな考えもあるが、事実として、芸人、そして、芸能人に求められるものは変わっている。上書きしていくことが重要な要素にもなっている。

 笑いを生業にする以上、これから岡村が歩むべき道は一つ。今回の流れをしっかり刻み込んだ“新生・岡村隆史”として、とことん笑わせる。それしかない。

 「笑えない」人がいることもしっかりと見据えながら、それでも笑わせる。それは容易なことではないが、それでも笑わせる。だからこそ、笑いは深いし、芸人は凄い。