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「アキナ」秋山が結婚して辞めた「ヴァ―!」

中西正男芸能記者
「アキナ」の秋山賢太(右)と山名文和

 「M-1グランプリ」「キングオブコント」両方でファイナリストとなり、コントと漫才の二刀流を実践しているお笑いコンビ「アキナ」。ツッコミ担当の秋山賢太さん(35)がABCテレビの塚本麻里衣アナウンサー(31)と先月結婚し話題にもなりましたが、DVD「アキナ2」(発売中)をリリースするなど本業でも力強い歩みを見せています。もともと、お笑いトリオ「ソーセージ」として活動を始めましたが、2012年にメンバーのトラブルにより解散。いきなりコンビとして再出発することになりましたが、秋山さん、そして、ボケ担当の山名文和さん(38)とも「あの時が一番しんどかった。だけど、あれがあっての今だと思います」と言葉を絞り出しました。

トリオ解散からの再出発

秋山:今回で2枚目のDVD。今年1月に行ったネタのライブを収めたものだったんですけど、久々にこれでもかとネタをやったので楽しかったですね。

山名:前回、DVDを出したのが2015年の夏だったんです。本当にありがたいことに、その頃と比べると、メディアでのお仕事も増えて、若手の劇場でしっかりとコントをやる場もなかなかなくなっていた。なので、今回、ネタをやる前にYouTubeで自分のネタを確認してからやったりもしてました(笑)。

秋山:前のDVDから4年近く経ってるんですよね。

山名:そう思うと、いろいろ変わりましたよね。ま、これまでを振り返るとすると、一番強く思い出されるというか、正直しんどかったのは、前のトリオ「ソーセージ」を解散した時ですね…。

秋山:確かに、一番落ち込んだのはあの時でしたね。トラブルがあって、そこからトリオが謹慎となって(トラブルがあったメンバーがトリオを離れる形で)解散になり、残った僕ら2人で「アキナ」を組んだ。サッと説明させてもらうとこんな感じなんですけど、ここの3カ月ほどは、本当にいろいろ考えました。

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日本橋の喫茶店

山名:あれがあったから、あの時間を経たから、互いに一歩深く入って、しゃべることができるようになったと思います。そして、許しあえるコンビにもなっていると思います。なので、あれ以来、もめるということが本当になくなったんですよ。

秋山:今だから言えますけど、謹慎中、僕はもう山名君が辞めると言うのではと思っていました。その時で山名君が34歳。トリオで頑張ってきたのに、またゼロに。これはさすがに…と。「辞める」と言ってきたらどうしたらいいのか。どう説得したらいいのか。でも、山名君が辞めると言ったら、もう説得はできないだろうな。そんなことを考えていました。

山名:…。

秋山:そんな中、今後の話をするために難波の会社(吉本興業)に行って、その帰りに日本橋の喫茶店にフラッと入ったんです。その時に山名君がサラッと言ったんです。「ネタ、ガンガン作っていきましょか」と。「また2人でやっていきません?」とか直接的な言葉ではなく。でも、しっかりと意志が見える言葉で。幾重にも意外な角度からの言葉やったんで、僕はしっかりとした言葉では返せず「…え?あ、うん」みたいな感じで返事をしたと思います。時間にしたら、数秒のやり取りだったと思いますけど、そこはうれしかったですね。

山名:でもね、あれは僕としても勝負やったんです。僕は僕で「どうやろ、秋山さん、辞めるんかな?」と思っていて、どうしたらエエんやろうと。秋山さんのトーンも分からないし、ストレートに「また2人でやりましょうか?」というのも照れくさいし。一番うまいこと様子をうかがう言葉として「ネタ、ガンガン作っていきましょか」をチョイスしたんです。やるやらないは言及せずに、相手のスタンスを探る言葉として(笑)。

3人から2人

秋山:ただ、そこから2人でやりだすと、これはこれでまた次の問題もありまして。今までボケ2人、ツッコミ1人でやっていたものをコンビですから、ボケ1人、ツッコミ1人でやることになる。そこで、周りの人からは「パワーダウンしている」と言われまして…。

山名:これはね、ホンマに言われました。1年ほどはその声が続きましたね。

秋山:自分らはもちろん面白いと思って自信を持ってコンビでやっているんです。だけど、周りの人たちからしたら、やっぱり3人のイメージが強い。そこで、いろいろな声もいただきました。

山名:だからこそ、絶対に結果を出さないといけない。それを強く思いましたし、だからこそ、だからこそ、頑張れたんだとも思います。

秋山:そんなに簡単に言うべきことでもないですけど、あの時の経験が絶対にプラスになっていると思います。2人の結びつきも確実に強くなりましたしね。あまりにもつらくて、一緒に泣くとか、そんなシチュエーションを経験しているコンビなんてほとんどないでしょうしね。とにかく、全部さらけ出しましたから。

山名:そこも今となっては大きかったと思います。

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結婚して変わったこと

秋山:ま、本当にいろいろありましたね…。いろいろといえば、結婚?あ、ありがとうございます!結婚して、やらなアカンという思いはグッと増しましたね。もちろん、これまでもその思いはあったんですけど、ホンマに、ホンマにやらなアカンというか、やるしかないというか。そこの上乗せは確実にあります。

山名:家族ができたわけですからね。

秋山:結婚しての変化ですか?そうですねぇ、家で「ヴァ―!」と叫ばなくなりました(笑)。これまで一人で家にいる時、枕に顔をつけて「ヴァ―!」と叫んだりもしていたんです。なんなんでしょうね、ストレスがたまっていたのか。プレッシャーが苦しかったのか。それを今は言わなくなりました。一人じゃなくなって、心が落ち着いたのかもしれませんし、あと、そんなことを叫んでいても仕方がないという思いもあるのかもしれませんね。そんなことをやるよりも、とにかく、前に進んでやるしかない。そんな感覚になったのかもしれません。

山名:横から見ていて、確実に変わったところで言うと、買い物の量が減りましたね。秋山さんはスニーカーが好きで、これまではしょっちゅうスニーカーを買ってたんですよ。楽屋でスマートフォンのネットショッピングの画面を見ながら「これ、いったろかなぁ…」という独り言がよく聞こえてきてたんですけど、その頻度が激減しました。やっぱり家庭を持ったんやなと(笑)。

秋山:ま、実際、減ってますね。財布開けると、それこそ、奥さんの顔がよぎりますね。何か自分のものを買うよりも、貯金とか、家族で使える車を買うとか。そっちの考えが出るようにはなりましたね。ただ、それが我慢じゃなくて、ナチュラルに出てきている思いなので、しんどくはないんですよ。

山名:今は、確かにそうかもしれませんね。ただ、そのうち、また楽屋で「いったろかなぁ…」が増えてきたら、その時は夫婦関係が大丈夫かなと心配するかもしれませんけど(笑)。

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(撮影・中西正男)

■アキナ

1983年6月24日生まれで兵庫県出身の秋山賢太と、1980年7月3日生まれで滋賀県出身の山名文和のコンビ。「アキナ」結成前はお笑いトリオ「ソーセージ」として活動し注目を集めていたが、2012年にメンバーのトラブルでトリオが無期限謹慎処分となり、当該メンバーの脱退をもってトリオは解散。秋山と山名の名前を合わせた「アキナ」として再出発をする。MBSテレビ「せやねん!」「メッセンジャーの〇〇は大丈夫なのか?」「関西発!才能発掘TV マンモスター」、サンテレビ「アキナ・和牛・アインシュタインのバツウケテイナー」、テレビ大阪「名門!モウカリマッカー学園 〜西梅田校新聞部〜」、ABCテレビ「もう少し、嫌な奴」などレギュラー多数。15年には「第45回NHK上方漫才コンテスト」で優勝。「キングオブコント」は14年、15年、17年の3回、「M-1グランプリ」は16年に決勝進出している。DVD「アキナ2」は1月20日に大阪・ABCホールで行われた単独ライブ「アキナコレクション」を収録したもので、「春はあけぼの」「料理長」「秋ちゃんの家」など9本のコントが収められている。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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