冨安健洋にミランが興味、守備強化が課題で最適の人材? 本田圭佑以来の移籍はあるか

9月21日、ミランとのセリエA開幕戦でイブラヒモビッチと対峙した冨安健洋(写真:Maurizio Borsari/アフロ)

9月28日、移籍市場に精通するイタリアの有名記者ジャンルカ・ディ・マルツィオ氏が、『スカイ・スポーツ』で、ボローニャの冨安健洋にミランが関心を抱いていると報じた。

『Milan News.it』や『PIANETA MILAN』など、イタリアのミラン専門サイトによると、ボローニャのリッカルド・ビゴンSDはこの日のパルマ戦を前に、冨安に対するミランの興味を認めたうえで、次のように話している。

「我々は彼を売りたくない。だが、もしもとんでもないオファーが届けば、我々は考慮せざるを得ない。技術的な評価もしなければならないね。様子を見てみよう」(『PIANETA MILAN』より)

◆もう「売却不可」ではない?

昨季の活躍で冨安に複数の強豪が注目しているのは、周知のとおりだ。ボローニャの技術部門コーディネーターであるワルテル・サバティーニは、名前が報じられていたローマ以外からも、2000万ユーロ(約24億6000万円)という高額オファーがあったことを明かしている。

ボローニャはこれまで冨安を「売却不可能」としてきた。しかも、10月5日のマーケット終了まで1週間。代役確保の時間が限られていることを考えれば、最終ラインの要となった主力の冨安を放出するのはリスキーだ。

だが、ビゴンSDの発言には、これまでと比べて若干トーンの違いが感じられる。ボローニャが揺らぐほど「とんでもないオファー」があるのだろうか。今後の進展を注視したい。

◆なぜミランが狙うのか

ミランの関心が注目されるのは、冨安が彼らの強化ポジションにぴったりと合うピースだからだ。

ズラタン・イブラヒモビッチとの契約を更新し、中盤にサンドロ・トナーリという将来を嘱望される若手を獲得して以降、ミランに必要と言われてきたのが最終ラインの強化だ。テクニカルディレクターのパオロ・マルディーニも、守備にニューフェイスが必要と認めている。

候補リストのトップにいるのは、フィオレンティーナのニコラ・ミレンコビッチだ。しかし、多くの強豪が狙うセルビア代表は安くない。4000万ユーロ(約49億2000万円)とも言われる要求額は、今のミランに払える金額ではないだろう。

冨安の評価が高いとはいえ、現時点で4000万ユーロには及ばないとみられる。移籍情報サイト『Transfermarkt』最新版の市場価値は1800万ユーロ(約22億2000万円)だ。ミレンコビッチは2800万ユーロ(約34億5000万円)。いずれにしても、冨安はより“安価”で獲得できる。

加えて、冨安は右サイドバックとしてイタリアで地位を確実にした。そして少し前まで、ミランはダヴィデ・カラブリアとアンドレア・コンティが不安定な右サイドバックも強化ポジションと言われていたのだ。冨安を手に入れれば、そのユーティリティー性を生かすことができる。

開幕からの公式戦4試合では、カラブリアが連続フル出場を果たしており、ステーファノ・ピオーリ監督からの信頼を得たようだ。だが、必要なときに右でも使えると分かっている冨安が大きな武器となることに変わりはない。

冨安は今季の開幕戦でミランと対戦している。チームは0-2と敗れ、冨安も対峙したイブラヒモビッチに2得点を許した。だが、冨安個人のパフォーマンスに対する評価は決して悪くない。及第点以上と採点したメディアも多かった。直接プレーを見たミランが、評価を高めてもおかしくない。

ミランのオーナーである投資会社エリオットは、若手を重視している。その路線で一時はラルフ・ラングニックの招へいにも動いた。ピオーリ続投で方針転換したが、一定額で有望な若手を獲得することがあるのはトナーリの例が示している。

◆名門は復活への光も

近年のミランは苦しい時期を過ごしてきた。2016年に国内のスーパーカップを制したが、その前にトロフィーを掲げたのは2011年。チャンピオンズリーグには7シーズン出場できていない。昨季はファイナンシャルフェアプレー違反でヨーロッパリーグ(EL)にも出られなかった。

だが、現在のミランは復権に向けて希望の光が見えつつある。昨季はロックダウン後にリーグ最高成績を収めた。今季も開幕から公式戦4連勝。17試合連続無敗は、1996年3月以来の数字だ。ELプレーオフも突破すれば、2シーズンぶりに欧州の舞台にも本格復帰となる。

ボローニャでセンターバックとしても守備の国で確かな地位を築くことが、今季の冨安の目標だろう。ただ、上位を競うことが期待され、EL出場の可能性もあるミランに移籍すれば、さらに経験を積むことができる。移籍できるとしたら、冨安はどちらを選ぶのか。

もちろん、すべてはオファー次第だ。メルカートの世界で有望な選手に関心を寄せるのは当然のこと。より具体的な動きに発展するのか、そしてその際に冨安とクラブがどう選ぶかが注目される。