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ザニオーロよ、この悲劇も乗り越えろ! 両ACL断裂経験者も激励 「闇の中でも光を見つけて」

中村大晃カルチョ・ライター
8月6日、ELセビージャ戦でのザニオーロ(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

悪夢に違いない。夢なら覚めてくれ。そう思ったのは、ニコロ・ザニオーロだけではないだろう。

9月8日、ザニオーロは左ひざ前十字じん帯の断裂が判明した。反対の右ひざ前十字じん帯を断裂してから、8カ月も経っていない中での2度目の悲劇だ。

ザニオーロは7日に行われたUEFAネーションズリーグのオランダ戦で負傷。前半42分に交代を余儀なくされた。担架ではなく自らの足でピッチを後にしたことをはじめ、一部の報道が重傷回避への一縷の望みとなったが、その願いは翌日の検査で打ち砕かれた。

◆未来が見えた矢先の悲劇

所属クラブのローマは、診断結果を公表した際、ザニオーロが9日に手術を受けると発表した。

だが、各報道によると、選手は数日かけることを選んだようだ。『スカイ・スポーツ』は、インスブルックやアメリカで手術を受ける可能性にも触れている。

いずれにしても、選手は2度目の悲劇に動じていると言われる。『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は、選手に近い筋の情報として、本人が「なんでオレなんだ!」と怒りを表したと伝えた。

前述のように、ザニオーロは1月12日に同じ前十字じん帯断裂で長期離脱し、復帰したばかりだった。8カ月で2度目の重傷とあれば、失意のどん底にあるのは想像に難くない。

新型コロナウイルスによる異例の中断で、前回の負傷からのシーズン中の復帰を果たした。EURO2020年の延期で、一度は絶望的となった大舞台への出場も見えてきていた。少しずつ、ザニオーロの未来は開けていたのだ。その矢先での、新たな悲劇だけに、ショックは一層大きい。

それでも、ザニオーロ本人は気丈に振る舞った。SNSでは「ローマのファンも、そうじゃないファンも、みんなの励ましに感謝する。すぐに戻るよ!」と投稿している。

◆関係者からの激励

ローマは21歳の至宝を励まそうと、SNSで激励メッセージを募った。

他クラブや関係者たち、その他の著名人も、ザニオーロに「Forza(頑張れ)」と呼びかけている。

インテル

「私たちは君と一緒にいるよ!」

ミラン

「私たちは君のそばにいる。ピッチで待っているよ!」

カリアリ

「ピッチで君を待っているよ」

スペツィア

「君は我が街のピッチで育った。みんな君の価値を知っている!このケガも乗り越えろ」

ヴィルトゥス・エンテッラ

「何度もカンピオーネであることを示してきた。今回も乗り越えるさ。クラブ全員が君と一緒だ」

イタリア代表のロベルト・マンチーニ監督

「前より強くなって戻る。こう言うと月並みかもしれない。だが私は、君にはできると確信している」

エンリコ・ルッジェーリ(ミュージシャン)

「すべてが崩れ落ちてきたみたいな瞬間がある。偉大な人間はその瞬間をさらなる跳び台とする。頑張れ、カンピオーネ。君はさらに良くなって戻ってくる」

◆経験者のエール

地元メディアは、ローマのレジェンドであるフランチェスコ・トッティや、現主将エディン・ジェコ、ロレンツォ・ペッレグリーニといったチームメート、ミラレム・ピアニッチ、ラジャ・ナインゴラン、ステファン・エル・シャーラウィなどなど、多くの選手たちがザニオーロを励ましていることを伝えた。

特に、経験者の言葉はザニオーロにも響くのではないだろうか。2016年4月に右ひざ、2017年1月に左ひざの前十字じん帯を断裂しながら復活を遂げたマッティア・ペリンは、『ANSA通信』を通じて次のような言葉をかけた。

どんなに闇が広大でも、僕らは自分たちの光を手にしなければいけない。今の君が経験していることを、僕は知っている。この時期が君の助けになることを願う。僕の助けとなったように。踏ん張るんだ。僕たちはみんな、君と一緒にいる」

容易に気持ちを切り替えられるはずがない。それでも、仲間たちの激励が、少しずつでもザニオーロの心を癒すのを願うばかりだ。そして、サッカー界の財産が、ピッチで再び人々を魅了するその日を待ちたい。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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