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記録目前のブッフォンは現役を続けるべき? 5名のユーヴェOBの見解

中村大晃カルチョ・ライター
2017年10月28日、セリエAミラン戦でのブッフォン(写真:ロイター/アフロ)

1月28日に40歳の誕生日を迎えるユヴェントスの守護神ジャンルイジ・ブッフォンは、ふくらはぎの負傷でウィンターブレイク明け初戦のジェノア戦(22日)を欠場する見込みだ。

セリエA通算629試合出場のブッフォンは、歴代最多のパオロ・マルディーニ(647)の記録まで18試合。だが、ジェノア戦を欠場すれば、今季中にマルディーニの数字に追いつくことはできない。

新記録樹立が可能なのは、今季限りでの引退を口にしてきたブッフォンが、来季も現役を続けた場合だけだ。そのためには、今季のチャンピオンズリーグ(CL)制覇が必要とみられている。

現在は戦列離脱中とはいえ、若手に引けを取らないパフォーマンスをピッチで見せていたブッフォンだけに、「まだやれる」と考える識者も少なくない。

1月19日付イタリア『コッリエレ・デッロ・スポルト』では、ユヴェントスの5名のOBがブッフォンの今後に言及した。適切なモチベーションさえあれば、もう1シーズン戦えるという考えのようだ。

◆現役続行は「理想的な解決策」?

「もう1年ピッチで見たい」と最も現役続行を後押ししたのが、モレーノ・トリチェッリ。ユーヴェがCLを制覇すればブッフォンがクラブ・ワールドカップ出場を望むとし、「彼にとってもユーヴェのサポーターにとっても理想的な解決策」と述べた。

クリスマス前にブッフォンに会ったというアレッシオ・タッキナルディも、「まだ飢えを感じており、多くを出せる」と感じたという。「5月の時点でこの状態なら前進すべきだ。彼が引退すれば、我々はカルチョの一部を失う」と、ユニホームを脱ぐには早いとの見解を示している。

◆「最後に間違えたら哀れ」の声も

ただ、40歳という年齢を考慮すべきなのも否定はできない。ステーファノ・タッコーニは「最後に間違えてキャリアを終えることになったら哀れ」と警鐘を鳴らす。ただ同時に、「正しいアタマなら続行に向け応援したい」と、ブッフォン本人の決断を支持するともつけ加えた。

「正しいアタマ」とは、適切なモチベーションのことだ。アルド・セレーナは「力と正しい刺激を感じるなら前進すべき」としつつ、出場記録は「彼のように愛されたシンボルのキャリアに何かをつけ加えるものではない」とも述べた。「彼やデル・ピエーロ、トッティやマルディーニは、歴史をつくった」。

◆「記録にかかわらずNO.1」

ファブリツィオ・ラヴァネッリも「彼のプレーをもう1年見たいが、出場記録で彼のキャリアが変わることはないと思う。記録はすでにたくさん樹立してきたからだ」とし、記録樹立にかかわらず「彼はずっとナンバーワン」と賛辞を寄せている。

ワールドカップ予選で敗退したブッフォンの今シーズンは、約4カ月後に終わる。世界中でリスペクトされるユヴェントスとイタリアサッカー界の「生きるレジェンド」は、どのような決断を下すのか。繰り返しになるが、悔いのない決断をしてもらいたい。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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