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ブッフォン、マルディーニの記録に並べず? 唯一の道はCL優勝→引退回避

中村大晃カルチョ・ライター
2017年9月12日、CLバルセロナ戦でのブッフォン(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

例年と異なるウィンターブレイクを経て、セリエAは今週末から再開する。約2週間の中断期間は、一部選手のコンディション調整に役立った。だが、ユヴェントスの守護神ジャンルイジ・ブッフォンの復帰は先送りとなるようだ。

ふくらはぎの筋肉を痛めているブッフォンは、12月1日のナポリ戦を最後に、1カ月以上にわたって戦列を離れている。ユヴェントスは16日、状態は回復してきているが、今週は個別メニューにとどまると発表した。22日のジェノア戦には間に合わない見込みだ。

今季のブッフォンはセリエAで出場10試合。通算出場試合数は629で足踏みしている。ジャンルカ・パリュウカ(592)やハビエル・サネッティ(615)、フランチェスコ・トッティ(619)を上回る歴代2位の出場記録だが、トップのパオロ・マルディーニ(647)には18試合及ばない。

ジェノア戦を欠場すれば、ブッフォンが残り17試合となる今季中にマルディーニに並ぶことはできない。今月28日に40歳になるブッフォンはこれまで、今季限りでの現役引退を口にしてきた。このままなら、マルディーニと並ぶ偉大な記録を目の前にしてユニフォームを脱ぐことになる。

だが、18日付イタリア『コッリエレ・デッロ・スポルト』は、ブッフォンが個人記録のために引退しないという決断を下すことはないと報じた。現役続行に踏み切るのは、「強力な刺激」を追い求める場合だけという。それは、悲願であるチャンピオンズリーグ(CL)制覇を成し遂げたときだ。

数々のタイトルを手にしてきたブッフォンだが、CLでは決勝を3回戦いながら栄光を手にしていない。欧州を制し、クラブW杯で世界一を目指すことになれば、40歳にして新たな舞台に立つというモチベーションになる。実際、ブッフォン本人も以前、欧州制覇の場合は引退しないことでアンドレア・アニェッリ会長と合意していると明かしていた。

CL優勝はもちろん簡単なことではないが、達成できた場合でも、クラブは難しいマネジメントを余儀なくされる。「後継者」として今季獲得したヴォイチェフ・シュチェスニーが、ブッフォン離脱からの公式戦8試合で1失点と、期待に違わぬ好パフォーマンスを見せているからだ。ブッフォンが引退しなければ、ユーヴェは再びシュチェスニーを控えの座に甘んじさせなければならない。

それでも、ユーヴェやサポーターは、ブッフォンが現役を続けることを望むだろう。シュチェスニーへの誠実な対応は必要だが、ブッフォンがそれだけの選手であることに異論はないはずだ。

イタリアがW杯への切符を失ったことで、ブッフォンは前人未到の6大会参加という偉業を果たせなかった。そのとき、自分の記録よりもイタリアサッカーへの影響から号泣した彼の姿に感動した人は少なくない。

通算出場記録にこだわらずに現役を退くのか、悲願を成就させて新記録へ挑めるのか…いずれにしても、ブッフォンが納得する形で「その時」を迎えられるのを願うばかりだ。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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