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中国・李克強前首相が突発性心臓病で急死 SNSにアクセス集中

中島恵ジャーナリスト
李克強前首相(写真:ロイター/アフロ)

中国の李克強前首相が27日午前0時すぎ、上海の病院で死去した。68歳だった。中央テレビ(CCTV)など中国メディアが一斉に伝えた。

李前首相は上海で休養中だったが、26日深夜、突発性の心臓病を発症したという。

27日午前8時すぎ(中国時間)、速報が流れると、SNSの微博(ウェイボー)などで「李克強同志逝世」がたちまちトレンドランキングで1位になり、アクセスが集中している。

経済分野で手腕を発揮

李克強前首相は第17、18、19期の党中央政治局常務委員、第7代国務院総理をつとめた。習近平総書記(国家主席)に続くナンバー2として2期10年にわたり、総理として第一線で活躍した。

李氏は安徽省の一般家庭の出身。幼い頃から秀才と呼ばれ、北京大学に進学。法律を学んだあと、経済学で博士号を取得した。

1993年に中国共産党青年組織のトップ、共産主義青年団(共青団)の第一書記に選ばれた。河南省など地方のトップを経て、出世街道を駆け上がり、2007年に党最高指導部入りした。

李氏はまさに「エリート中のエリート」といえる存在だった。

とくに経済分野で手腕を発揮。自身の名前を冠した経済政策「リコノミクス」は国内外で注目された。英語も流暢で、その行政手腕は高く評価された。

李氏の死去を速報する中国中央テレビ(中国メディアより筆者引用)
李氏の死去を速報する中国中央テレビ(中国メディアより筆者引用)

一時、習氏より注目された時期もあったが、習氏が権力基盤をかため「習一強体制」を整えるなか、李氏の存在感は徐々に薄くなっていった。今年3月の全人代(全国人民代表大会)で引退したばかりだった。

中国では政府高官の失脚、更迭などが相次いでいる。李氏は病死とはいえ、あまりにも突然のことであるため、今後、死去の背景を巡り、さまざまな憶測を呼びそうだ。

ジャーナリスト

なかじま・けい ジャーナリスト。著書は最新刊から順に「中国人が日本を買う理由」「いま中国人は中国をこう見る」(日経プレミアシリーズ)、「中国人のお金の使い道」(PHP研究所)、「中国人は見ている。」、「日本の『中国人』社会」、「なぜ中国人は財布を持たないのか」「中国人の誤解 日本人の誤解」、「中国人エリートは日本人をこう見る」(以上、日経プレミア)、「なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?」、「中国人エリートは日本をめざす」(以上、中央公論新社)、「『爆買い』後、彼らはどこに向かうのか」、「中国人富裕層はなぜ『日本の老舗』が好きなのか」(以上、プレジデント社)など多数。主に中国などを取材。

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