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今年は黄砂の当たり年?北京では視界がぼやけ、息もできない……日本では12~13日に警戒レベル

中島恵ジャーナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

きょう4月12日~13日にかけて、西日本から北日本の広範囲で黄砂が舞うことが予報されており、気象庁などから警戒が呼びかけられている。

とくに北日本では濃度の濃い黄砂が飛来する見込みで、視程も10キロメートル未満となるなど、交通、人体への影響などが心配されている。原因となっているのは、中国内陸部で発生した砂嵐だ。

過去40年で最悪レベル

黄砂は中国内陸部のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠、黄土高原などで、風によって砂が高度まで舞い上げられることが原因で起こる。

それが偏西風に乗って、北京市や内モンゴル、吉林省、遼寧省などの華北地方を中心に、中国の広範囲、朝鮮半島、日本にもやってくるのだが、今年はとくに被害が甚大化しているようだ。

4月11日、北京市に住む友人に聞いてみた。

「10日に強い風が吹いて、目の前が黄色になり、砂ぼこりで目を開けていられなくなった。マスクをしていても、のどが痛くなり、息ができないほどだ。急いで家に帰ったが、部屋の中も砂っぽく、ザラザラしている。空気乾燥機はあまり役に立たない。黄砂は例年のことだが、年々ひどくなっているように感じる」

中国の報道によると、同日、北京市の気象台で警報が出された。大気汚染レベルも最悪となり、不要不急の外出を控えること、昼間でもクルマのライトを点灯することなどが呼びかけられ、一部の小中学校では体育の授業などが中止になった。

現地では「ゴビ砂漠、内モンゴルなどで砂嵐が発生したことが原因だ。今年は砂漠の雨が少なく、乾燥が進んだことで、例年以上に砂が巻き上がりやすい状況となっている。今年は黄砂の回数も多く、過去40年間で最悪のレベルともいえ、今年は黄砂の当たり年だ。過去20年の平均も上回っている」と報道されている。

また、「人口の3分の1に当たる4億人に影響が出るだろう」との見方もあり、ひどい地域では外出を控える人が続出しているなど、市民生活に影響が出ている。

日本にとっても他人事ではない

中国では、かつてほどではないが、PM2.5(微小粒子状物質)問題も存在し、黄砂の時期と重なることもある。

筆者も中国でPM2.5が最も深刻だった2013~2014年ごろ、ちょうど3~4月の時期に北京に滞在していたが、マスクの上から、さらに口を覆うようにして、息を止めるような状態で街を歩いていた。同じく視界は黄色く、かすんでおり、数十メートル先もぼやけるような状態だった。

黄砂問題は、日本にとっても他人事ではない。黄砂は例年飛来してくるが、地球温暖化の影響などで、今後はさらに深刻化していく可能性が高いからだ。

とくにアレルギー疾患、呼吸器疾患の悪化などが懸念されている。黄砂が最も多く飛んでくる3~4月は、日本では花粉症の時期と重なることもあり、予報が出ている日には、できるだけ外出を避けるなど、十分な対策が必要だ。

ジャーナリスト

なかじま・けい ジャーナリスト。著書は最新刊から順に「中国人が日本を買う理由」「いま中国人は中国をこう見る」(日経プレミアシリーズ)、「中国人のお金の使い道」(PHP研究所)、「中国人は見ている。」、「日本の『中国人』社会」、「なぜ中国人は財布を持たないのか」「中国人の誤解 日本人の誤解」、「中国人エリートは日本人をこう見る」(以上、日経プレミア)、「なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?」、「中国人エリートは日本をめざす」(以上、中央公論新社)、「『爆買い』後、彼らはどこに向かうのか」、「中国人富裕層はなぜ『日本の老舗』が好きなのか」(以上、プレジデント社)など多数。主に中国などを取材。

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