大谷翔平選手がイチロー氏に深々とお辞儀 「日本人らしい敬意」「心温まる1分間」と海外メディア
エンゼルスの大谷翔平選手が4月3日、米T-モバイル・パークで行われたマリナーズ戦の前に、マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏と交わした挨拶が、米メディアなどで大きく報じられている。
大谷選手は、レフト付近で練習中だったが、ライト方向に入ってきたイチロー氏を発見。すぐさま練習を中断し、ライト方向まで駆け足で向かうと、帽子を脱いで、イチロー氏に向かって深々とお辞儀をした。また、両手でイチロー氏が差し出した右手を包み込むように握手。約1分間、2人は談笑した。
この何気ないシーンが、米スポーツメディアなどで「お互いに抱く敬意がすばらしい」「エンゼルスのスーパースター(大谷選手)は、レジェンド(イチロー氏)を忘れない」などと褒めたたえた。
また、「大谷選手は最高の野球選手というだけでなく、すばらしい人間性を持っている」とも評した。
日本人は偉い人ほど腰が低い?
日本人が見ても清々しい風景だが、こうした「日本人らしい」行動は、米メディアだけでなく、アメリカ人や他の国の人々をも感動させたようだ。
もちろん、日本人の間にも、改めて、大谷選手の礼儀正しさ、謙虚さ、人柄のよさが伝わってきて、アメリカで行われたことだが、どこか、誇らしい気持ちになった人も多かっただろう。
筆者が専門とする中国では、あまり野球は盛んではないが、日本人が取る行動で、彼らが感動することのひとつが「日本人は偉い人ほど腰が低い」ことだ。
以前、取材した中国人はこんな話をしていた。
「日本では偉い人のほうが、なぜか腰が低いんですよね? これは、とても不思議。中国ではなかなか実現が難しいことです。もちろん、中には謙虚な人もいるのですが、多くの人は、常に相手に対して、自分をもっと立ててほしい。そう思っています。
だから、誰かに会ったとき、『俺のほうが偉いんだぞ』という態度をあからさまに取る人もいる。何かを譲らなかったり、やけに偉そうに見せたりします。こういう社会に常に身を置いていると、ホント疲れます」
日本語のことわざにもある
その人はこう続ける。
「でも、日本人は違いますね。社会的な地位が高い人も、何かで大きな成功を収めた人も、相手に対する尊敬(リスペクト)、敬意の気持ちを常に持っている。偉い人が偉そうな態度を取ると、逆に、その人は尊敬されないんですよね?
日本語の『実るほど頭を垂れる稲穂かな』ということわざを知ったときには、思わず、合点がいきました」
もちろん、日本にもさまざまな人がいる。日本人の美徳とされているもので、日本人が忘れかけているものも多い、と最近は感じるが、はるかアメリカで活躍する大谷選手の姿から、私たちも謙虚に学ばなければならない、と改めて感じさせられる。
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