GW中、中国人観光客が訪れた日本の名スポット、珍スポットはここだ

中国人にも人気の「あしかがフラワーパーク」

ゴールデンウィークも終わり。今年は日の並びがよかったため遠出した家族も多かったようだ。そんな中、各地で大勢の中国人観光客を見かけたという人の声を数多く聞いた。「爆買い」を繰り広げている彼らだが、買い物だけでなく「えっ、そんなところにまで?」と驚くほどマニアックな場所にまで観光に出かけるようになった。

中国人観光客といえば、これまでゴールデンルート(成田か羽田から入国、ディズニーランド→浅草・銀座→箱根→富士山→名古屋→京都→大阪から帰国)の団体ツアーが定番と相場が決まっていた。だが、昨今はビザが緩和されたこともあり、個人旅行が急増。自分で旅を組み立てるようになってきた。個人で来日する中国人の情報源は、在日中国人や、日本旅行をしたことがある中国人が発信するSNSの書き込みが中心だ。それらを見て「私もあそこに行ってみたい!」となるのだ。今や、日本中、どこにでも中国人観光客がいるといっても過言ではなくなった。

「日本ではちょうど今が花盛りだと聞いたので、在日の友人に切符を買っておいてもらって、楽しみにしてきたんです」という趙さん(35歳)。「'''あしかがフラワーパーク'''」で満開に咲く藤のトンネルの下をどうしてもくぐってみたかったのだという。「中国にはこんなにたくさんの花だけで魅せる観光スポットはありませんよ。もう大興奮です」。日本人が見ても圧巻の美しい花々に、中国人も酔いしれている。お花見シーズンを逃した中国人たちが殺到しているようで、同パークの外国人観光客数は、昨年の3倍に伸びているという。

中国にはない居酒屋「磯丸水産」
中国にはない居酒屋「磯丸水産」

趙さんは東京に戻り、友人のSNSで話題になっていた居酒屋「磯丸水産」に繰り出した。まるでそこに漁師がいるような活気のある店内、てんこ盛りのさしみの盛り合わせを自分も注文してみたかったそうだ。趙さんが住む上海でも、ここまで新鮮なさしみを食べられる店は少ない。日本料理店は数多くあるが、新鮮なものを食べようと思ったら、日本よりずっと値段が張るからだ。

北京の大手企業に勤務する蔡さん(42歳)は個人旅行で来日したら、ぜひ行ってみたい場所があった。東京・九段の「靖国神社」だ。かねてから興味があった。「中国でもよく報道されていますけど、一体どんな場所なのか? 中には何が置いてあるのか? 自分の目で確かめてみたい」と思ったそうだ。ツアーには組み込まれていない場所だけに、ゆっくり時間を取って見物したかったという。蔡さんのように、靖国神社を始め、日本にしかない神社仏閣に興味を持つ中国人は非常に多い。政治的な意図はなく、「ただ自分の目で見てみたい」というだけなのだ。

年収が日本円で2000万円以上の富裕層、夏さん(56歳)は、石川県の名旅館「加賀屋」に宿泊した。高級店ではないところでも、日本の隅々にまで行き届いたサービスには以前から目を見張っていたが、日本人でも関心するほどの最高のサービスをぜひ受けてみたいと思っていたからだ。帰りは福井県まで足を伸ばし、「'''東尋坊'''」を観光した。中国には断崖絶壁の海岸はほとんどない。テレビ番組で見たこの風景をバックに記念写真を撮影してご満悦だ。自動車が好きなので、愛知県の「トヨタ博物館」にも出かけたという。

瀬戸内海のうさぎ島。「かわいい」と大人気
瀬戸内海のうさぎ島。「かわいい」と大人気

日本オタクの朱さん(29歳)は、中国版ライン「微信(wechat)」で見つけた「うさぎ島」にどうしても行ってみたかった。「うさぎ島」は瀬戸内海に浮かぶ小島で、本当の名称は大久野島(おおくのしま)という。瀬戸内海国立公園に指定されており、野生のうさぎが多数生息している。海外からの観光客が多く、中国でも「ネットを駆使する若者の間では、けっこう有名な所です」(朱さん)。うさぎと一緒に記念写真を撮って、自分の「微信」に載せて、友だちに自慢したかったので、ようやく夢が叶ったとか。朱さんは東京・池袋など各地にあるオタクの聖地「'''アニメイト'''」にも出没し、アニメグッズなどを買い物して帰った。

拙著『'''なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか'''?』の中で詳しく紹介しているが、中国人の「爆買い」は自国製品に対する不満・不安が背景にあり、中国人は安心・安全で廉価な日本製品を求めて来日している。それは事実なのだが、買い物だけでなく、「中国には存在しない、日本独自のサービスや風景」にも強い関心を示しているのが今の中国人だ。

中国側の報道だけでは到底わからない。こんなに近いのに、なかなか伝わらない「日本の本当の姿」。それを追い求めて、中国人はこれから先も、ますます日本にやってくるに違いない。中国から比べれば狭い日本だが、この国にはまだまだ数えきれないほど数多くのすばらしい名スポット、珍スポットがあるのだから。ぜひ多くの中国人に、日本のよさを発見してもらいたい。