Yahoo!ニュース

第27回全国高等学校女子硬式野球選手権 準々決勝(前半)

中川路里香フリーランスライター
準々決勝4試合はすべて熱戦続き

 全国高等学校女子硬式野球選手権は、大会7日目を迎え、つかさグループいちじま球場(兵庫県丹波市)で準々決勝が行われた。4試合ともに結果的に点差は開いたが、好ゲームとなった。

■横浜隼人3-7 駒大苫小牧

横浜隼人 100 000 2 3

駒大苫小牧 430 000 0 7

【バッテリー】

横浜隼人 倉橋、笹間-野口

駒大苫小牧 吹越-山藤

1点を先制された1回裏、駒大苫小牧は、3番・鈴木さんの左中間を破る三塁適時打で先制するなど4点を入れ逆転すると、2回裏にもまたも鈴木さんの適時打などで3点を加えた。投げては、吹越さんが6回まで許した安打は1本と隼人打線を完全に封じ込めた。横浜隼人は最終回に2ラン本塁打で一矢報いたが、序盤で許した大量リードが響き、追い上げには至らなかった。

序盤で勝負を決めた駒大苫小牧
序盤で勝負を決めた駒大苫小牧

駒大苫小牧・茶木圭介監督のコメント

「いつも相手チームに胸を借りるつもりで挑んでいるのがここまで勝ち上がって来ている要因。今日については、右の多い相手打線を考え、右のエース、吹越を起用した。初回こそ制球が乱れたが、よく投げてくれた。最終回はホームランを打たれたが、相手の実力を考えるとスムーズに終わるわけはないので、良く投げてくれました。本来は足を絡めながら1点ずつ取るチーム。それを忘れず次戦も自分たちの野球をやりたい」

横浜隼人・田村知佳監督のコメント

「倉橋は相手打線を考えて先発に起用。打たれはしたがよく投げてくれた。リリーフの笹間も何とか流れをこちらへ戻そうと懸命に投げた。打線については、各打者が慎重に行き過ぎたかもしれない。相手の先発投手が最終回まで投げてきたので、とらえられるチャンスは十分にあると選手たちには話していた。(ホームランが飛び出し)最後まであきらめずに力を出してくれた。うちが持てる力を全て出した結果です。良く戦ってくれたと思います」

劣勢に追い込まれながらも最後まで勝ちにこだわった横浜隼人
劣勢に追い込まれながらも最後まで勝ちにこだわった横浜隼人

■開志学園 0-7神戸弘陵(6回コールド)

開志 000 000 0

弘陵 010 222 x 7

【バッテリー】

開志  小西、水口、小黒-恩田

弘陵  樫谷、須崎-田垣

 初回、スクイズを失敗した神戸弘陵だったが、2回に押し出しで1点を先制すると、4回は四死球から、5回、6回は相手失策から得た好機を生かし連続得点で相手を突き放した。先発の樫谷そらさん(3年)は、5回を66球、被安打3、与四死球0と好投し、付け入る隙を与えず、

6回コールドで勝利をおさめた。

 開志学園は昨年、甲子園の決勝で好投した水口樹乃さん(3年)が先発・小西咲里さん(3年)を4回途中で救援したが、勢いに乗る相手打線を止めることはできなかった。

好投した神戸弘陵・樫谷そらさん
好投した神戸弘陵・樫谷そらさん

 

神戸弘陵・石原康司監督のコメント

「初回のスクイズで得点できなかったが2回の押し出しが効き、中盤での追加点を奪う攻撃に繋がった。ただ、4回にエラーから出塁を許し、結果併殺にできたが、あそこで1点でも返されていたら、展開が変わっていたと思う。その意味で樫谷が今大会一番の出来で流れを渡さなかった。

駒大苫小牧は、選抜で1-0で勝っているが、今大会はよく打つ印象。どれだけ投手陣が最少失点に抑えてくれるかがポイント。暑さで疲れているのはわかっているが、明日が終われば決勝まで2日空くので、必死でがんばれ、と。それだけです」

神戸弘陵・樫谷さんのコメント

「継投の予定だったので初回から飛ばして投げました。相手打線はあまり振って来ないというデータのもとに、どんどんストライクボールを投げるよう意識していました。先に追い込めたことで球数が少なくイニング長く投げることができました。制球も良かったし、今日の内容は、過去一番の出来だったと思います」

樫谷さんをリードした、神戸弘陵・捕手の田垣さんのコメント

「樫谷さんは持ち味全て出した最高の内容でした。強豪相手だっただけに、ピッチングから自分たちのリズムが作り守り勝つという弘陵の野球ができました。次戦の相手、駒大苫小牧は、選抜大会で1対0で勝ちましたが、今回はメンバーが入れ替わっていて印象が随分と違います。気を抜かず、今度はもっと得点して楽に勝てるよう頑張ります」

開志学園・主将、中谷さんのコメント

「『負ける気がしないよね』と、全員で気持ちを強くして試合に臨みましたが、相手の打線が止められませんでした。初回に相手のスクイズを阻止したプレーを攻撃につなげられなかった。こういう負け方はかえって悔いがないというか…最後まで楽しく野球ができました」。野球は引退すると決めている。「このチームは、みんなで助け合って支え合ってきました。自分の野球人生で一番のチームでした」。

試合後、スタンドへ向かって挨拶をする開志学園のナイン(中谷主将は左端)
試合後、スタンドへ向かって挨拶をする開志学園のナイン(中谷主将は左端)

(撮影は全て筆者)

フリーランスライター

関西を拠点に活動しています。主に、関西に縁のあるアスリートや関西で起きたスポーツシーンをお伝えしていきます。

中川路里香の最近の記事