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侍J女子代表アジアカップ3連覇 報告会見。9月の女子野球ワールドカップへ意気込みを語る

中川路里香フリーランスライター
今大会チーム内ではやった、得点シーンなど盛り上がったときのお決まりのポーズ

 5月24日から香港で行われていた「第3回BFA女子野球アジアカップ」で、侍ジャパン女子代表が3連覇を果たし、帰国後、中島梨沙監督はじめ選手20名全員がさっそく会見に参加し、優勝の報告をしました。

 2017年に第1回が開催された本大会は、第2回大会が2019年に開催された後、新型コロナの影響を受け第3回は4年振りの開催となりました。

過去最多の13の国と地域が参加し確実に女子野球の裾野が広がっている中、世界ランキング1位の日本は全勝と変わらぬ強さを見せつけて優勝し、9月に始まるワールドカップでの7連覇へ弾みをつけました。

【参加国と地域(公式HPより)】

グループA  インド、マレーシア、タイ

グループB  香港、パキスタン、インドネシア、スリランカ

ファイナルラウンド

グループA  チャイニーズ・タイペイ、中国、香港、(インド)

グループB  日本、韓国、フィリピン、(インドネシア)

【日本の戦績(公式HPより)】

5月26日(金)  韓国 10-0 

5月27日(土)  フィリピン 7-1

5月28日(日)  インドネシア 27-0

◆スーパーラウンド

5月30日(火)  台湾 12-1

5月31日(水)  香港 15-0

◆決勝ラウンド   

6月1日(木)  台湾 8-3

全試合主導権を握れたのが優勝の要因

 中島監督は、優勝した要因について「6試合全てに先取点を取れたこと、一度握った主導権を離さずゲームができたこと」だと話しました。日本は世界ランキング1位。優勝は当たり前と言われる中での戦いだっただけに「決勝の台湾戦は、スコアだけ見れば圧勝でも、相手打線が良く、何点とっても足りないと思いながら戦った」とプレシャーがあったといい、「(優勝できて)ホッとしています」と振り返りました。

侍ジャパン女子日本代表、中島梨沙監督
侍ジャパン女子日本代表、中島梨沙監督

W主将が大会を振り返る

 今回の侍女子はダブル主将制で、そのうちの一人、川端友紀選手(九州ハニーズ)は「コロナ渦でいつ大会が行われるかわからない中、気持ちを切らさずに準備してきました。スタッフのみなさんが、ドリンクや氷など必要なものを用意してくださったおかげで、選手は最高の準備ができました」と感謝を口にしました。もう一人の主将、出口彩香選手(埼玉西武ライオンズレディース)は、「チームワークが日ごとに高まっていったこと、選手個々に力があり、どの選手が出ても活躍するという余裕があったからこそ、自分もここぞという場面で結果が出せたと思う」と優勝できた要因について話しました。

侍ジャパン女子日本代表の主将を務めた川端友紀選手
侍ジャパン女子日本代表の主将を務めた川端友紀選手

7連覇に挑む女子野球ワールドカップが9月スタート

 9月には、コロナのため延期されていた『第9回 WBSC 女子野球ワールドカップ』が2018年以来5年振りに開催され、日本は7連覇に挑みます。嬉しいことに、第一次ラウンド グループBは、今年の9月13日から広島県三次市で行われます(グループAは8月にカナダで開催。決勝ラウンドは2024年にカナダで開催)。国内開催は、2014年の宮崎会場以来9年振り(当時の大会名は第6回 IBAF 女子ワールドカップ)。今回のアジアカップ優勝は、7連覇へ向けて弾みがついたはず。

 中島監督は、「選手たちには、アジアカップ優勝は(WBSC優勝を目指すうえで)通過点だと伝えています」ときっぱり。帰国の途についたときにはすでに秋へと気持ちが切り替わっていたそうです。今回のアジアカップでは他国のレベルが上がってきていることを実感したといい、「どの国も、打倒、日本で向かってくるはず。今大会の決勝で戦った台湾が次に対戦するときは対策を立ててくるだろうという怖さもある」と、浮足立つ様子はありませんでした。台湾は、前回のWBSCでも準優勝しています。そんな中、「守備力、投手力はもちろん、つながる打線が日本の良さ。もっともっと力は上げられる。『世界一を取る』、という強い意志でしっかり準備していきたい」と気を引き締めていました。

第一次ラウンドは広島開催

 日本開催について、川端選手は「応援して下さる方々の前でジャパンのユニフォームを着てプレーできる喜びを感じています。活躍して恩返しができるよう、しっかり準備していきたいです」と話し、出口選手は、「中島監督がずっと私たちに言ってきた『女子野球が当たり前の文化に』という言葉の通り、日本開催を機に、より多くの方に女子野球を知っていただけるようベストパフォーマンスを見せたい」と意気込みを語りました。また、今回のアジアカップでMVPを受賞した田中露朝(たなか・あきの ZENKO BEAMS)選手も「一人ひとりが自分たちのやるべきこと、役割を今以上に理解して大会に臨みたいです。応援よろしくお願いします」と話しました。

もう一人の侍ジャパン女子日本代表主将、出口彩香選手
もう一人の侍ジャパン女子日本代表主将、出口彩香選手

MVPを獲得した田中露朝選手
MVPを獲得した田中露朝選手

先輩たちが築き上げてきたものを継承していきたい

 会見途中、中島監督はNPB女子チームができたことでの女子球界への影響について問われると「(埼玉西武、阪神、巨人)が女子チームを作ってくださったおかげで、小中学生たちに『あのユニフォームが着たい』という子たちが増えたことは事実。そして、他にも素晴らしいチームは全国にたくさんあります。ジャパンに集まってきている20名のプレーを見て、『私もこの(選手の)チームでプレーしたい』と思ってくれる子が増えていくことが、私たちの望みです」と答えていました。

 クラブチームは毎年増え、プレーできる場は広がり続けています。歴史あるクラブチームの活動はもちろん、女子プロ野球のあった時期を経て今日があります。今回のアジアカップで首位打者の活躍を見せた三浦伊織選手(阪神タイガースWomen)のWBSCへの意気込みを語った台詞が印象的でした。「私は長年、日本代表に選んで頂いていますが、歴代の先輩たちが築き上げてきたものを受け継いで、今、ここにこうしているのだということを忘れないようにしたいです。後輩たちにもこの思いを知ってもらうために、大会へ向けてしっかり準備していきたいです」。

首位打者の活躍、三浦伊織選手
首位打者の活躍、三浦伊織選手

1人でも多くの人に女子野球の活躍を知って欲しい

 アジアカップ3連覇からWBSC7連覇へ、まずは第一次ラウンドを勝ち抜くこと。「自分たちの野球をすれば、結果はついてくる」と話した中島監督。首脳陣が選び抜いた現在の侍女子は「日本で最強のメンバー」だと胸を張りました。3月のWBCで侍ジャパンが優勝したのに続き、9月に侍女子旋風が起こることを期待したいです。

笑顔でメダルを見せてくれた侍ジャパン女子日本代表
笑顔でメダルを見せてくれた侍ジャパン女子日本代表

(写真は全て筆者撮影)

フリーランスライター

関西を拠点に活動しています。主に、関西に縁のあるアスリートや関西で起きたスポーツシーンをお伝えしていきます。

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