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今年の全日本女子硬式クラブ野球選手権大会は、何かが違う⁈ 連盟が会見

中川路里香フリーランスライター
全日本女子野球連盟は第17回全日本女子硬式クラブ野球選手権大会の会見を開きました

全日本女子野球連盟は、6月28日に千葉県成田市で会見を行い、「第17回全日本女子硬式クラブ野球選手権大会」についての概要を発表しました。今年は実施要項が大幅に変更されます。女子の高校野球が注目されつつある昨今、その先にある女子野球ができる場の一つとして本大会が、さらに発展していく予感がしました。

第17回全日本女子硬式クラブ野球選手権

大会概要

主  催 一般社団法人全日本女子野球連盟  共  催 全日本女子硬式野球クラブ連盟

開催期間 2022年8月26日(金)~8月29日(月)     

     (予備日8月30日(火))

会  場 大谷津運動公園野球場(千葉県成田市)

     ナスパ・スタジアム(千葉県成田市)

    長嶋茂雄記念岩名球場(千葉県佐倉市)大会形式 参加35チーム、トーナメント方式

出場資格 日本国内において全日本女子野球連盟および全日本女子硬式野球クラブ連盟に所属し、中学生以上のメンバーで構成され活動するクラブチーム

会見には、全日本女子野球連盟の山田博子会長、昨年の大会覇者エイジェックの吉田えり選手、開催地となる小泉一成成田市長と西田三十五佐倉市長、そして、一般財団法人世界少年野球推進財団の久須美史子事務局長が出席しました。

開催時期や参加チーム数が変更に

開催時期が例年の10月から8月へ変更されました。それに伴い、開催地が千葉県袖ケ浦市、鴨川市から成田市、佐倉市へ変わりました。4日間3会場になったことで、昨年まで実施していた予選は無く、連盟に加盟する全35チームが参加(6月28日時点)。また、準々決勝が行われる日に、WCBF(一般財団法人世界少年野球推進財団)協同で、野球教室を実施する(会場は大谷津運動公園野球場)ことも発表されました。

全日本女子硬式クラブ野球選手権大会とは

日本国内において全日本女子野球連盟および全日本女子硬式野球クラブ連盟に所属し、中学生以上のメンバーで構成され活動するクラブチームで日本一を決める大会。2006年に8チームでスタートしました。地域のクラブチーム、企業チームに加え、2019年にはNPB球団の女子チームが誕生するなど、運営母体はさまざま。中学生が所属しているという女子ならではのチームもあります。

 山田会長は本大会について「連盟がプレミアム8と位置付ける大会の一つです。(女子の)高校野球が徐々に盛り上がってきているからこそ、彼女たちが卒業後もプレーできる場所であるクラブチームの盛り上がりが必要。実際、NPBが女子チームを設立して下さっているほか、全国各地にチームが誕生しています。それらを考えてもとても大事な大会。ブランド力をつけていきたい」と話していました。

大会概要や大会への思いを語る、山田博子連盟会長
大会概要や大会への思いを語る、山田博子連盟会長

大会概要が変わった経緯と今後

例年8月に行われていた全日本女子硬式野球選手権大会は、中高大クラブ各選手権大会での上位チームが集まる大会であるにもかかわらず、クラブ野球選手権大会は10月実施と時期がずれていたことから、調整したのだそうです。ただ、8月は従来の球場が空いておらず「途方に暮れていたところ、成田市、佐倉市が手を差し伸べてくれました」(山田会長)。

来年以降の会場について記者から質問が出ると、山田会長は「末永く同市とお付き合いできることを希望します」と答えていました。

野球教室開催も

WCBF協同開催での野球教室が開催されます。WCBFは、王貞治さんとハンク・アーロンさんが提唱し、野球を正しく全世界に普及、発展させると同時に、世界の青少年に友情と親善の輪を広げようとの趣旨で始めた世界少年野球大会を契機に設立され、1990年より毎年、世界大会を実施するなどの活動をしている団体です(財団設立は1992年)。

 久須美事務局長は「成田市は、日本での第1回と第2回の世界少年野球大会を開催した縁のある場所。野球人口が減っている今、勝った、負けたの前に、そもそもの野球の楽しさを女子野球の選手のみなさんと伝えたい」と話しました。未就学児から小学2年生までとその保護者を対象に「誰でも簡単で面白いと感じられるゲームを体験してもらう予定」と野球の虜にさせる自信をのぞかせていました。

OGがデザインしたアパレルの販売も

もう一つ、特徴があります。メイン会場となる、大谷津運動公園野球場では、キッチンカーや各チームのグッズ販売ブースを設け、球場外をマルシェのような演出を施すというのですが、他にも、かつて選手で現在はデザイナーをしているというOGがデザインしたアパレル販売ブースも登場することです。山田会長は「彼女たちのセカンドキャリアを応援したい。それも私たちの役目だと思う」と話していました。OGたちが会場へ足を運び、販売するそうです。

成田市と佐倉市は大歓迎

小泉成田市長、西田佐倉市長それぞれ、女子野球への注目が高まる中、連盟が打ち出すプレミアム8の一つである全国大会の開催地になることは光栄だと話し、「選手、関係者のみなさんに最高のもてなしで迎えたい」と歓迎を表明。成田市は、特典を受けられるクーポンを準備中とも。

山田会長からの「長いお付き合いをしたい」との言葉を受けて「成田は野球熱の高い町。『目指せ、成田!』と言われる位まで支援していきたい」と語りました。

昨年覇者、エイジェック・吉田えり選手

「チーム一丸となって二連覇狙う」

「女子野球の力で成田市、佐倉市を盛り上げたい」と話す、エイジェック・吉田えり選手
「女子野球の力で成田市、佐倉市を盛り上げたい」と話す、エイジェック・吉田えり選手

 昨年の優勝チームの代表として会見に出席した吉田えり選手。女子野球の魅力や二連覇への意気込みを聞かれると「成田市、佐倉市を熱いプレーで盛り上げたい。強豪チームが増え、二連覇は決して簡単ではないが、油断せず、チーム一丸となって戦いたい。幅広い年代の選手が同じチームで同じ目標に向かって、和気あいあいと野球に取り組めるのがクラブチームの良さ。女子選手のハツラツとした姿、声を良く出す元気なところは観ている方に魅力を感じてもらえると思う」と話しました。「私自身、楽しく野球ができていて、できる限り、現役でい続けたいです」とファンへ嬉しいひと言も飛び出しました。

(写真は全て筆者撮影)

フリーランスライター

関西を拠点に活動しています。主に、関西に縁のあるアスリートや関西で起きたスポーツシーンをお伝えしていきます。

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