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井山裕太本因坊、開幕2連勝発進 芝野虎丸名人は「耳赤」変調!?

内藤由起子囲碁観戦記者・囲碁ライター
本因坊戦第2局。井山裕太本因坊(右)と芝野虎丸名人=2020年6月14日筆者撮影

新型コロナウイルス感染予防で対局が停止していた囲碁界。

井山裕太本因坊に芝野虎丸名人が挑戦する本因坊戦七番勝負も、約1カ月遅れで開幕しました。

第1局が6月2、3日、第2局が13、14日に打たれ、井山本因坊が連勝スタートを切りました。

印象的だったのが、虎丸名人の不調です。

井山本因坊が好調というのもあるのかもしれませんが、あっさりと土俵を割ってしまうなんて、いつもの虎丸名人らしくない戦いぶり我慢や辛抱をしているような手が散見されました。

第2局は最初の戦いで誤算があったのか、不利な分かれになると、そのままいいところなく短手数で投了しました。

虎丸名人本人も「一方的な内容になってしまった」と認めていました。

ところで現在は、新型コロナウイルス対策で、体温が37,5度以上あると不戦敗になり、マスクをしないと反則になるという規則が追加されました。

局後の虎丸名人を見ていて気がついたのが、「耳赤」です。とにかくいつも冷静な虎丸名人ですが、こんなに耳が赤くなっていたことは記憶にありません

本因坊戦第2局検討風景。虎丸名人の耳が赤いのに注目。手も赤い。(筆者撮影)
本因坊戦第2局検討風景。虎丸名人の耳が赤いのに注目。手も赤い。(筆者撮影)

気がついて写真を撮ったときには、少し赤みも引いていました。もっともっと赤かったのです。

対局開始直前に検温をしているので、熱はないでしょうから、何か心の動き、動揺があったのでしょう

マスクをしているので、耳と目からしか表情をくみ取れないのは残念でした。

井山本因坊は、挑戦手合で勝ち星が先行するとだいたいタイトルを獲得しています。このままでは虎丸名人は大ピンチです。

さらに両者とも過密スケジュールが続きます。

井山本因坊は、本因坊戦の間を縫って早碁や名人戦リーグなどが組まれています。

虎丸名人は十段戦挑戦手合が17日から3週連続で予定され、週に2局が続きます。本因坊戦とのダブル挑戦は体力的にも大変でしょう。

まずは、虎丸名人が本来ののびのび鋭い碁を取り戻すのがいつかが注目です。

囲碁観戦記者・囲碁ライター

囲碁観戦記者・囲碁ライター。神奈川県平塚市出身。1966年生。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。お茶の水女子大学囲碁部OG。会社員を経て現職。朝日新聞紙上で「囲碁名人戦」観戦記を担当。「週刊碁」「囲碁研究」等に随時、観戦記、取材記事、エッセイ等執筆。囲碁将棋チャンネル「本因坊家特集」「竜星戦ダイジェスト」等にレギュラー出演。著書に『井山裕太の碁 AI時代の新しい定石』(池田書店)『囲碁ライバル物語』(マイナビ出版)、『井山裕太の碁 強くなる考え方』(池田書店)、『それも一局 弟子たちが語る「木谷道場」のおしえ』(水曜社)等。囲碁ライター協会役員、東日本大学OBOG囲碁会役員。

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