芝野虎丸名人、勝負の3、4月 十段戦挑戦手合と本因坊戦挑戦者決定リーグ戦
3月3日から十段戦挑戦手合が始まる。
井山裕太棋聖(30歳)から十段を奪った村川大介十段(29歳)に芝野虎丸名人(20歳)が挑戦するシリーズだ。
今年の囲碁界の勢力図を決める重要な勝負となる。
現在のタイトルホルダーをおさらいすると、以下になる。
井山裕太三冠(棋聖・本因坊・天元)
芝野二冠(名人・王座)
羽根直樹碁聖
村川十段
4月末までに決着
芝野名人はこれまで、登場したすべての挑戦手合でタイトルを獲得している。今回、十段を獲得すれば三冠となり、井山棋聖とタイトル数で並ぶということだけでも、注目度が高くなっている。
村川十段と芝野名人の対戦成績は、村川十段の1勝2敗。
直近は、芝野名人が2連勝(どちらも名人戦リーグ)しており、勢いは芝野名人にありそうだ。
十段戦は五番勝負。フルセットまでもつれると、4月28日に決着する。
井山の持つ本因坊も視野
さらに、井山棋聖の持つ「本因坊」の挑戦権も、芝野名人は手の届くところまで来ているのだ。
本因坊戦挑戦者決定リーグ戦はあと2ラウンド。大詰めを迎えようとしている。
現在、4勝1敗でトップ集団を形成しているのが3人。芝野名人、一力遼八段(22歳)、許家元八段(22歳)の「ポスト井山」の3人。「令和三羽ガラス」だ。
3月ラウンドで一力八段と許八段が激突するので、どちらかが2敗となる。
芝野名人が残り2局を勝てば、少なくとも同率決定戦に進める。
井山棋聖はこの3人すべてとタイトル戦で戦ったことがある。
一力八段は棋聖戦や天元戦など5回挑戦し、ことごとく敗退している。
井山棋聖がタイトル戦で負けたことがあるのは、許八段と芝野名人。
許八段には一昨年碁聖を奪われ、2度目の七冠が崩れたきっかけになった。しかし、昨年の天元戦で挑戦を退け、リベンジに成功している。
芝野名人とはまだ、昨年の王座戦の1シリーズのみ。王座戦は五番勝負で、持ち時間も3時間と短い。本因坊戦は持ち時間8時間、2日制で、井山棋聖が最も得意とする。
2日制でどんな戦いが繰り広げられるかも興味深いところだ。
本因坊戦の挑戦者は、4月上旬に決まる。
3、4月の芝野名人の活躍で、今年の囲碁界の勢力図が見えてくる。